第208話 麻雀卓を囲む男

 いささか旧聞に属するかもしれない。

 黒川検事長事件というのがあった。


 東京高等検察庁の黒川弘務検事長が朝日新聞の元記者1名と産経新聞の記者2名とともに賭け麻雀をしていたというものだ。

 黒川検事長は当時の安倍総理大臣寄りの検事だったということで、メディアの猛烈な追及を受け、とうとう2020年5月22日に辞職してしまった。

 賭け麻雀ごときで、とオレなんかは思う。

 が、安倍にくしと思う人たちにとっては攻撃材料は何でもいいのだろう。


 しかしこの事件、オレにはに落ちないことが1つある。

 誰も突っ込みを入れていないのだけど。


 そもそも朝日新聞と産経新聞の記者が同じたくを囲むことがあるのか?

 左の代表である朝日と右の代表、産経だぞ。

 呉越同舟ごえつどうしゅうというのはこのことだ。


 一般の人はそんな事を考えたりしないのか。

 そして新聞業界では当たり前すぎて議論にもならないのだろうか。


 昔、オレは勤務していた救命センターで医局の秘書に言ったことがある。

 複数の新聞を並べるときは順番があるのだと。


「左から朝日、毎日、日経、読売、産経の順番にしておいてくれる?」

「そんな決まりがあるんですか!」

「あるよ。朝日と毎日が入れ替わったり、読売と産経が入れ替わっても許容範囲だけど、朝日と産経が入れ替わったりしたら殺されるから」

「ええっ、誰に殺されるんですか?」

「両方の会社に、だよ」


 このギャグが彼女にどこまで通じたかは不明だ。

 でも、それぞれの新聞の立ち位置を意識して記事を読むことは社会人として大切だと思う。


 ちなみに、新聞業界では当たり前、と言ったのは、麻雀卓を囲むのにイデオロギーは関係ない、ということだ。


 これについては、次回、元新聞記者の伯父に登場してもらおう。


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