第151話 驚くべき夢を見る男

日曜日の朝の良い所は二度寝、三度寝ができることだ。

幸せな夢を見ることもあれば悪夢を見ることもある。

どちらにしても現実離れした世界を経験することができる。


****


オレは真新しく広い病院で外来診察をしていた。


次の患者は車椅子で来たが、御付きの者が数名いた。

顔を見たオレは「おっ」と驚いた。

近隣国の独裁者だったからだ。


とはいえ、世界三大独裁者の全員が日本の御近所さんだ。

だからこの情報だけでは特定できない。

その中の1番若い人だと言えば分かるだろうか。


まずは御付きの者からオレに感謝状らしきものが渡される。

オレは立ち上がって両手で受け取った。

ハングルで書いてあるので中身は分からない。


続いて問診にとりかかった。

ここからはあくまでも医師と患者の関係だ。

通訳なしでやりたいが、オレたちに共通言語があるのか?


ところが彼は日本語を話した。

流暢とはいえないが、少なくともオレの英語よりは上手い。


オレはまず身長と体重の確認をした。

医師なら誰でも気になるのが、いわゆるメタボの状況だ。

血圧、血糖、コレステロール値も知っておきたいところ。


動脈硬化がどのくらい進んでいるのか。

父親の糖尿病体質を受け継いだりしていないだろうか。


驚いた事に独裁者は快活で話が上手い。

1対1で話をする限り、非常に魅力的な人物だ。

恐怖だけでは人々を支配することはできない、ということか。


****


ふと目が覚めて、オレはトイレに行った。

外はまだ暗い。

何となく幸せな気分に包まれながら再び布団にもぐりこむ。


****


オレはなぜかオランダの郊外をさまよっていた。

何らかの事情で遭難したらしい。

救援隊がやってきて食料を手渡してくれる。


これから原子力潜水艦で脱出するのだそうだ。

艦を操るのはトム・クルーズ。

身分を隠してはいるが、元潜水艦乗り。


彼は教官にレクチャーを受けながら操艦方法を学んでいた。

でも途中から勘が戻ったのか教官よりも鮮やかな手つきになる。


そして「押忍!」と一礼し、艦をスタートさせる。

彼には空手の達人という隠れ設定があったのだ。


****


再び目が覚めた。


外はすっかり明るく、せみちから一杯鳴いている。

まさしく日本の夏だ。


時計を見ると6時14分。


おのれに課したカクヨムの投稿時刻をとうに過ぎている!

まあいいか、遅ればせながら投稿するとしよう。


金正雲キムジョンウンとトム・クルーズ。

登場人物に不足はない。


ネタは新鮮なうちに料理するに限る。

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