第117話 自らを神様だという男
医療の3要素とオレはよく説明している。
科学であり、戦争であり、そしてサービス業だ。
科学というのは言うまでもない。
オレたちのやっている西洋医学は根拠に基づいたものだ。
新しい診断や治療法は必ず多くの医療機関で追試される。
そしてその存在や効果が実証されたものだけが生き残る。
医療はまた戦争でもある、というと物騒だろうか。
人体を戦場とした病原微生物や悪性新生物との殺し合いである。
ただし、必ずしも決着をつけるわけではない。
実際の戦争と同じように膠着状態や停戦もあり得る。
そして医療はサービス業だ。
人を相手にする接客業だから、当然、好ましからざることもおこる。
いわゆるクレームの
「院長を出せ!」
「あんたが私の立場だったらどう思うの!」
「税金で食わせてやっているんだぞ!」
最後のヤツは税金を払っていない人に限って言うセリフだ。
中には仰天ものの発言もある。
「お客様は神様だろうが!」
自分で自分の事をお客様だとか神様だとか、よく言えるもんだ。
とはいえ、言われっぱなしではプロとして失格だ。
いつも怒鳴られているなら、返す言葉くらい準備しておくべきだろう。
オレが耳にしたのではこんなのがあった。
「お静かになさってください。他の神様の迷惑です」
なるほど、うまい。
しかし、相手を神様と認めてしまっているので追撃をかわせない。
なので、オレも言うべきセリフを考えた。
まだ使っていないけど。
「神様だったら病気くらい御自分で治せますよね?」
神様というのは崇めるものであると同時に万能のものである。
「崇めるもの」を強調してきた相手に、「万能のもの」で返すのがキモだ。
でも、実際にこのセリフを言ったら火に油を注ぐようなものなんだろうな。
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