第113話 神様の存在を信じる男

親ガチャという言葉があるらしい。


自分の人生はどんな親のもとに生まれたかで決まるんだそうだ。

金持ちの家に生まれればラッキー、貧乏なら外れ。


親ガチャって言葉、オレは好きにはなれないな。


そもそも日本に生まれたという時点で、すでに宝くじに当選したみたいなもんだ。

日本人の平均所得は、世界でみれば上位1%なのだとか。


それに戦後80年近く、日本は1度たりとも戦争をしていない。

町も綺麗だし犯罪も極めて少ない。

それで何の不足があろうか。



オレとて世の中が不公平にできているのは否定しない。


「家が金持ちの奴はいいなあ」

「あいつはイケメンだから女にモテるんだ」


そう思っていた時期がオレにもあった。

学生の間くらいだけど。


でも他人をうらやんでも事態は変わらない。

いくらひがんでも自分が金持ちになったりイケメンになったりするわけではない。



社会人になってからオレは新しい美学を目指すようになった。

人を賞賛できる素直さと、負けを認めるいさぎよさだ。


お金持ちの友達がいたら「素晴らしい!」

女にモテモテの男を見れば「たいしたもんだな」


あれこれ努力した結果、自然にそう思えるようになった。



オレは神様の存在を信じている。

神様というより法則といった方が分かりやすいかもしれない。


愚痴をこぼしている人間に神様は微笑ほほえまない。

ひたむきに頑張る人間を神様は応援する。


親ガチャなどという呪いの言葉を吐いた奴は神様に懲らしめられる。

神様ってのは好き嫌いが激しいみたいだ。

だから、心の中で思うのは勝手だけど、恨みつらみを口に出すのはやめておいた方がいい。



人がそのような法則の存在に気づくのは20歳になってからか、それとも30歳までかかるのか?

一生気づかない人も沢山いることだろう。


法則を知っているか否かが人生を大きく左右するんじゃないかな。

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