第2話 急転直下
夫から連絡があって、送って欲しい荷物をまとめておいてくれとのことでした。ダンボール2箱になって、それを山下さんが引き取りに来てくれました。
山下さんは筋張った長い腕で2箱を積んで一度に持ち上げ、微笑みながらエレベータに乗り込みました。
上の子の入学式と下の子の入園式が重なり、私が小学校へ、山下さんには幼稚園へ行って動画を撮ってもらいました。
山下さんは仕事で、その数日後にうちへやってきました。
「すみません、入園式の動画、遅くなりまして」
山下さんに上がってもらい、私たちはスマホで動画を確認しました。しかし番号やアカウントなどを教えたものか、なんだか変な空気になってしまい、山下さんはUSBにして渡しましょうかなどと提案しました。
平日でしたが、山下さんは私服でした。
「時間あったら、お菓子でもどうですか」
山下さんはスマホで時計を見て、
「あ、じゃあいただきます」と答えました。
仕事中のようですが、うちの家の仕事であれば、任せられているみたいでした。
「いつもすみませんね、夫の部下とはいえこんな雑用ばっかりで。コーヒーとお茶どちらにし・・・あ、和菓子なんでお茶にしますね」
私の天然というかおっちょこちょいな様子に、山下さんははじめて笑いました。
「山下さんは、ご結婚は?」
山下さんの指にはリングはありません。
「いえ、ぜんぜん。相手もいませんし」
「そう」
もてるタイプではありませんが、背は高いし、ルックス的には、まあ好みはあるでしょうけど、不細工というわけではありません。それに勤め先はちゃんとした、いちおう上場企業です。
「彼女、いないの」
「いたんですが、別れました。今まで数人、お付き合いは・・・でも短いんです、すぐ別れちゃって」
どちらかというと、遊び人ではなく一人と長く付き合うタイプだと、私は勝手にイメージしていただけに、意外でした。
「あら、どうしてかしら」
さほど興味があったわけでもありません。ただ他に話題もなかったので、きいてみただけです。
山下さんは、もじもじしながら、
「いや…そのなんていうか」
「きっと、あなたに合う子がいなかったのよ。気にしない」
私はそう言って山下さんの肩をぽんと叩いて励ましました。
「さ。仕事なんでしょ」
結局動画はラインで送ってもらうことにして、アカウントだけ交換しました。
その夜、山下さんから動画が送られてきました。上手に撮れていました。
――ありがとう。助かりました。
返信して、その日は終わりました。
翌日になって、山下さんからラインがきました。
――昨日の、彼女と続かない理由なんですが、今まで誰にも言ったことないんですけど、たぶん僕に合う子なんていないと思うんです
私はすぐに返信しました。
――そうかしら。そんなに変わった性格には見えないけど。きっと大丈夫よ
――いえ、合わないのは性格じゃないんです
山下さんからも、すぐにこう返信。
ここから2ラリー、では何がそんなに問題なのか、とやりとりがあり、
――要するにその、ぼくの『アレ』が。すみません。恥ずかしいです。
と、告白されました。
といっても、『アレ』がなんなのかは私にも見当はつくんですが、『アレ』がどうなっているのか、わかりません。
――つまりその、入らないっていうんです
あー。そういうことね。聞いたこと、ないこともない話。
――ということは、今までに一度も?
――いえ、何人かは
――入ってるじゃん。大丈夫じゃん
――違うんです。そういう女の人は友達か誰かから聞いて、興味本位でためしに来てるんです。だから付き合ったりはできなくて
なるほど。
でも私は、この時に山下さんのことはほとんど考えていませんでした。考えていたのは、夫の前に付き合っていた元彼のことでした。元彼は家具屋さんで配送の仕事をしていて、もともとラグビーをやっていたのですが、体格は良く、『アレ』も入らないというほどではないにしてもまあ立派なものでした。私には元彼と夫とあと学生の時のひとりで、基準が3つ、3人、3本しかないのでよくわかりませんが、そのなかでも最大は元彼、次に学生の時、最後に夫、です。結婚前、元彼を見慣れていた(身体も慣れていた)私には、はじめて夫のを見たときに驚きました。こんなに違うものなんだ、と。
とはいえ、それもまた慣れてしまえばさほど気にならず、夫のでもまずまず気持ちも良く、というより気分の持ちようといいますか、ふんわりとした気分になれるのです。夫はとにかく顔がタイプで、小柄ながら鍛えていましたので、そっちのほうでじゅうぶんカバーできていました。「今、このルックスの素敵な男に私は抱かれている」という満足感でエクスタシー同様の感覚を味わおうとしていたのです。
だから夫にも行為そのものにも強い不満はありませんでした。ただ、元彼とはちょっと違うタイプの性のいとなみであり、どっちが良くてどっちが悪いではなく、みんな違ってみんないい、というやつだと思っていました。
山下さんの告白は10年近く前のそんなことを思い出させました。
その夜、私は実に10年ぶりにオナニーをしました。はじめは指で触ったり、1本、2本と挿入したりしてみましたが、身体が満たされることはありませんでした。
山下さんのは、いったいどのくらいのサイズなんだろう。・・・しかし、そんなことを考えてはいけない。私は自分にそう言い聞かせるばかりでした。
興味本位で近づいてくる女性、と山下さんが言っていたのが、わかるような気がしました。たとえば、男性なら一度くらいものすごく「胸が大きい女」と・・・といった興味、欲望に近いのかもしれません。
夫から、「荷物をひとまとめにして送った」ダンボールを山下さんがうちに持ってくる、という連絡がありました。直接うちに送ればいいのに、と思いましたが、山下さんが来るということに私はドキドキしてしまい、外出するわけでもないのに化粧をして、ダンボールを受け取るだけなのに胸元の開いた服に短めのスカートをチョイスしてしまいました。「私は何をやってるんだろう」と思わなかったわけではありませんが、もう既にこの時は本能が勝っていたのです。確かめたい、確かめなければならない、と。
私はわざわざ平日日中の、子供がふたりともいない時間帯を指定しました。
「こんにちわ」山下さんがやって来ました。
玄関にダンボールを置いて、山下さんは恥ずかしそうに頭を掻きました。
戸惑った様子で、視線を私の胸の辺りから脚へ、忙しそうにいったりきたり。目のやり場に困っているようです。
「すいません、頼まれたので」
私は山下さんのズボンをちらちら見てしまいました。少し膨らんで見えるのは気のせいなのか、見てはいけないと思えば思うほど視線がいってしまうのです。
「では」
山下さんが帰ろうとしました。
「あ。まって」
思わず声が出てしまいました。
振り向いた山下さんに、
「あの、彼女とうまくいかないって、その、理由についてなんだけど」
「いやぁ、すいません、ラインでは言ってしまったんですけど、そんなこと奥さんに言ったって仕方ないことなのに」
「もしかしたら相談に乗れるかもしれないし、えっと、私がなにか勘違いしててもいけないから、うん、よく聞かせてもらおうと思って、そう、ここじゃあれだし、ちょっとだけ」
私はややしどろもどろになってしまいながら、今思えばずいぶん大胆な行動に出たものだと自分で自分を褒めてあげたいくらいです。
「か、勘違い、ですか」
山下さんは首をかしげながらも靴を脱いで、無事にうちへ上がってきました。
「大丈夫かしら。お仕事、忙しかったらあれだけど」
「いえ、それはぜんぜん」
コーヒーを淹れて、私は歩いたり前かがみになってみたり、ソファに座った山下さんから見えるように意識しました。私のほうはソファに付いた山下さんのズボンの膨らみに釘付けになってしまいました。
「えっと、つまりあなたの説明だと、要するにあれが大きすぎて、普通の子ではなかなかうまくいかない、ということかしら」
「そうですね、もちろん他の人と比べたわけじゃないんで、あくまで女の子たちがそう言ってるってだけなんですけど」
「うん、でもひとりやふたりじゃなくて、何人も同じことを」
「はい」
「でも、興味本位で近寄ってきた子は、そうじゃないのよね」
「そうですね、そういう子は、なんていうかわかってて、これが目的できてて、でも見るとびっくりしますね、で、すんなりではなくて一応ちょっと苦戦しながらだけど入れることはできて、終わるとしばらくグッタリしてます」
私の心配は、山下さんから見て、「この奥さんも興味本位なのかな」と思われることでした。山下さんは続けました。
「実を言いますと、今すごくきつい状態なんです」
「えっ、きつい?」
「はい、すいませんが、今日、奥さんがその、やけにセクシーな格好なので、つまり、元気になってしまって、いけないとわかってるんですけど、こればっかりはなんとも」
私は山下さんのズボンを見ました。見ている私を山下さんが見ていました。山下さんがソファから立ち上がって、どうなっているかを示すように腰を前に突き出すように。
股間は盛り上がっていました。信じられないくらいに。テントを張るとはこのことです。
「ごめんなさいね。私のせいで。開放してあげないとかわいそう、ね」
私はズボンのチャックを下ろしました。うまく下がらないほどきつくなっています。
「それに、本当に差し支えるほどのサイズなのか、私もアドバイスできるかもしれないし」
パンツが、ペニスに引っかかってなかなか脱がせません。ゴムが伸びてしまうほど引っ張って下ろすと、ぶるんっ、と棍棒みたいなのが揺れました。
「あぁ・・・」
言葉が出ませんでした。元彼のより大きく、夫とは比べ物になりません。
思わず握ってしまいました。右手、左手、と両手で握って、まだ先端が出ています。気持ち、左に曲がっています。
「やっぱり、差し支えますか、これ」
「う、うーんそうね、たしかに想像以上、だけど、ぜんぜん無理っていうわけじゃ」
「でも、まだマックスではないんです」
たしかに、身体に対して直角の角度、上を向いているわけではありません。
「じゃ、ちょっと、助けようかしら、あたしでできることなら」
私は大胆にも半立ちの山下さんを口に入れました。入れたといっても、先端の亀の頭がやっと入るくらいで、それ以上は進めません。
私は夫の時と比べずにはいられませんでした。夫のをフェラするときは、口に入れたと思ったときにはもうあらかた根元近くまで含んでいます。本気を出せば軽く丸呑みできてしまいますが、山下さんのは本気で口を開けても亀の頭が引っかかります。そのまま舐めるだけで、あとは長く太い竿の部分を握って動かすしかできません。すぐに固くなり、サイズもさらにアップしました。
たまらず私は口を離してしまいました。
「うはっ。苦しい」
無理もありません。マックスになった山下さんは握っても指が回らない太さなのです。夫の時はそんなこと考えもしなかったので指なんて見ていませんが、そもそも握るというより摘まむというほうが近いのです。
「やっぱり、入りませんか・・・」
山下さんががっかりしています。
「ううん、口には入らなくても、女の人のあそこは伸縮できるから」
私はスカートを脱ぎました。いつのまにかあそこは溢れるように濡れていました。
「ここへ、横になって」
自分で挿入をコントロールできるように、騎乗位を選択しました。
「ちょっと、待ってて」
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