episode37 開 戦

 ビューイック公爵とノーガスト公爵の口上が行われる前日、王国城壁に六つの動く影があった。


「ここですぞメリー殿」


「壁ですね…?」


「少々お待ち下さい」


 禿衆かむろしゅうのリーダーは他の禿衆に手で何やら支持をする。

 一人が城壁を背にし何やら唱える。


「かの風の精霊よその創見なる力で不可視のへきを纏わせたまえ!」


 呪文の様なものを唱えると皆の周りに風が起こった。そして周りに風の壁を作り外が見え難くなった。


「これで外からは見えず音も漏れません」


「こんな魔法があるのですね、ですが見えなくして音も漏れなくしたと言う事はまさか城壁を壊すとか下を掘って入るのですか?」


「いや、さすがにそれは無理ですじゃ。まあ見ていてくだされ」


 リーダーはそう言うとまた手でジャスチャーをして支持する。

 今度はリーダーを中心に両側に二人が壁に向かい並んで立つ。


「我ら禿衆、ドレーク様が配下!その証をここに!」


 掛け声と共に皆被っていたフードをは外した。


「王国に忠誠を!」


 五人は頭を壁に向けた。


 ピカァー!


 五人の見事に禿げ上がった頭が見事な光を放ち壁を照らした。


 メリーはこの不思議な儀式にただ呆然とした。


 五人の頭から放たれた光が壁の一部を照らすとそこに四角の入り口の様な影が現れた。


 ガコーン!


 扉は人一人がやっと入れるくらいに開き止まった。


「ささ、ここから中に行けます」


 メリーは目パチパチさせていた。


「しかしドレーク様もこんな開け方にしなくても良いでしょうに…」


 禿衆の一人が言った。


「仕方があるまい、これはドレーク様用に作られた扉だ」


「確かにあの方は呪文も何も無しで近づいただけで扉が開いておりましたから」


「わしらは五人揃ってやっと開けれるからのう」


「ですが年を重ねこの頭になってからは以前よりも素直に開く様になりましたな」


「うむ、やはりこの頭じゃと光具合が良いらしい。フォッフォッフォ」


「城壁にこんな仕掛けがあるとは…」


 呆けていたメリーがリーダーの笑い声で正気に戻った。


「ここはドレーク様と私らしか開きませんでな、知らないのも当然ですだ。さ、中に入りましょう」


 禿衆とメリーは狭い扉に入って行った。


「ここはどこに通じているのでしょうか?」


「王国の色々な場所と王城の数カ所に通じています」


 ガコーン!…


 入って来た扉が閉まった様だ。真っ暗になるはずがまだ良く見えている。

 それもそのはず禿衆五人の頭が光り周りを明るく照らしていた。


「便利なんですね…」


「フォッフォッフォ、松明たいまついらずですのう」


 リーダーが頭をピシャピシャしながら先を進む。


「このまま謁見の間近くの物置部屋に出ましょう」


 一同は幾つもの分かれ道を迷う事なく進んだ。


「ここですじゃ」


 狭い扉を音も無く開ける。先にリーダーが中に入る。


「大丈夫の様ですじゃ…」


 中からリーダーの声がする。


「メリー殿お先にどうぞ」


 一人がメリーが中に入るのを手伝ってくれた。

 中は窓も無く薄暗かったが禿衆のお陰で良く見えた。掃除道具や幾つかの武器や防具が並んでいる。


「ここは… 謁見の間西側の倉庫ですね」


 メリーはサリーの姉と王城にいた時にこの倉庫も入った事があった。その時はまさか外へ通じているとは思わない。


「このまま謁見の間に参りましょう。この時間であれば王が居るはず」


「わかりました」


 リーダーは倉庫から出るドアをゆっくり開け周りを確かめる。問題ない事を確かめサッと外に出た。


「さ、いきましょう」


 メリーは黙って頷くと外に出た。

 外に出ると豪華ない装飾と肖像画などが飾られて居る通路だった。


 以前はここもエリノセス様と良く通った回廊…

 お優しかったエリノセス様を思い出しますね…


「メリー殿急ぎましょう」


 思い出に浸る間も無くリーダーに急かされ謁見の間へ向かった。

 謁見の間はこの先を左に曲がった先にある。

 リーダーが曲がる前にピタッと止まった。

 手鏡をそっと左側の通路に出し先の様子を見る。


「いつもの近衛ではありませんね…」


「何かあったのでしょうか?」


「わかりませんがここは行くしかないですな」


「はい!」


 皆、息を整えてメリーが先頭に禿衆はその後を着いて行く形で向かった。

 謁見の間の入り口まで来た。

 二人の近衛が槍を門前で交差させ侵入を防ぐ。


「何用だ?」


 近衛の一人が落ち着いた声で言った。


「王様へ御目通りを。禿衆の皆様をお連れしました」


「禿衆… ああ、あのハゲの集まりか」


 禿衆は言われ慣れているのか涼しい顔をしている。


「確認する待たれよ」


 そう言うともう一人の近衛が何やら首飾りを手に話している。今まで見た事の無い物だった。

 新たに導入されたのだろうか。


「お会いになるそうだ、入れ」


 謁見の間の大きなドアが開かれる。


 ゴゴーン…


 重い音を立ててドアが開かれた。

 メリーを先頭に中に入る。

 謁見の間は広く王が鎮座している所まではかなり歩かなければならない

 メリーは頭を下げながら前に進んだ。

 王が居る王座を見ると何か違和感がある。


 王座には豪華な椅子が二つありその二つどちらとも見慣れた姿はなかった。


 どう言う事でしょう、王座に座っているのがなぜノーガスト侯爵様なのでしょう?


 それに王妃の席にも知らない女性が座っている。

 ドレスではなく黒いジャケットに真っ白い緩めのパンツを履いており肌が何か塗っているのかと思うほど白い。

 謁見の位置まで進むと止まり禿衆を紹介する。


「ドレーク様が配下、禿衆の皆様でございます。この度は王様へ進言されたい旨があると尋ねて来られました」


「王様はどちらでしょうか?ノーガスト侯爵様」


「サリー姫の侍女、メリーか。そしてそ奴らが禿衆… ハゲか」


「ノーガスト侯爵、お初にお目にかかります。ドレーク様の臣、禿かむろ五人衆でございます」


「ああ、聞いておるよ。ドレーク殿を補佐し時には暗躍も行うと言うハゲの集団を…」


「ぷっ」


 隣の王妃席に座って居る女性が思わず吹いている。

 しかしそれだけでメリー達はその女性がこの国の者ではないと分かった。


 禿衆をハゲ呼ばわりして笑う者は王城に居ない。

 ドレーク様が宰相現役の頃、内に外にその活躍を見せていた禿衆を皆一目置いており警戒する者はあれど笑う者は居なかったからだ。


「して何故貴殿がそこに座っておられるのですかな?」


「んん?わからんか?ここに座れるのはこの国の王のみ。つまりそう言う事だ」


 禿衆のリーダーがさっぱり分からんと言う顔をした。


「そこまで馬鹿とは。貴殿がこの国の王になどなれるわけがあるまい。寝言は寝て言われるのですな」


「それにそちらの方も王妃には見えませんが?」


「これは私の妻だ」


 王妃の席に座っている女性は何か言いたそうな顔をしている。


「この方が貴殿の奥方ですか?どうやら外国の方の様ですが?タニフィラ殿はどうされた?」


 ノーガスト侯爵には正妻としてタニフィラと言う女性が居る。


「あやつか… 私が王になると言ったら出て行ったわ。愚かなやつよ」


「なるほど、タニフィラ殿はまともな方だったらしい」


「何とでも言うがいい、私は王より全権を任せられている。そなたも控えよ!」


 リーダーは更に何を言ってるのだこやつは?と言う顔をメリーに向けた。


「なぜ一介の侯爵である貴殿に国を任せるのだ⁈王はどうされた?」


 リーダーはノーガスト侯爵の話を微塵も信じていない。その堂々とした態度にノーガスト侯爵はたじろいだ。


「お、王は自室でお休みになられている」


「ではお会いして参ろう」


 そう言って出口に向かう。

 その時後ろからただならぬ邪気を感じた。

 そして何かに纏わりつかれた様に全員が動けなくなった。


「まーたく、あんたってダメなんだから〜そんなんじゃこの国を手に入れても苦労するわよ〜?」


 王妃の席に座っていた女が高らかな声で言った。

 皆が動けない原因はこの女の術によるものだった。


「あんた武勇もないんだから言い合いで負けてんじゃないわよ!」


「そ、そんな事は…」


 ノーガスト侯爵は緊張し少し震えている。


「グゥ、やはり…人では無かったか…」


 リーダーのみが話す事が出来る様だ。他の者はメリーも含め言葉を発する事もできないでいた。


「あら〜 あなたすごいのね?私の束縛を受けて話す事が出来るなんて!これじゃノーちゃんじゃ歯が立たない訳ねぇ〜」


 女は王妃の席で優雅に足を組み吊り上がった目をニヤリとさせる。


「ハゲ共せっかく来たが無駄に終わったな、明日サリー姫の軍と開戦する。お前らは牢で主の敗退を聞く事になるだろう」


 皆が動けなくなった事がわかると強気に出るノーガスト侯爵。


「ドレーク様達が…己らになぞ負ける…ものか…」


 リーダーが気力を絞って言い返す。


「ふん、明日になればわかるだろうよ。おい!こいつらを地下牢に入れておけ!」


「はは!」


 近衛がどこからか現れメリーと禿衆を連れて行った。


「明日は頑張ってね〜ノーちゃん。応援してるわ〜」


「いざとなったら私を呼びなさい〜助けてあ・げ・る〜」


「私は戦場に向かう、頼んだぞ!」


 女を左手ヒラヒラさせてノーガスト侯爵を見送った。


「ま、あの男じゃ確実に私に出番が回ってくるわね〜私も準備しとこうかしら〜」


 そう言うと女は黒いモヤと共に謁見の間から消え失せた。


 ◆ ……… ◆


 戦場では口上交換を終えたビューイック公爵が本陣の天幕に戻って来た。


「只今戻りました姫様」


「お疲れ様です、公爵。ノーガスト侯爵はどうでした?」


「相変わらずの腑抜けではありましたが妙に自信めいた態度でしたな。あれでは背後にかの魔神が付いて居ると言っている様なものでした」


「やはり魔神が出てくるか…」


 ドレーク殿が頭をピシャリと叩く。


「魔神がどれ程のものかわかりませんがまずはサリオン王子の確保です、ビューイック公爵。派手に参りましょうぞ!」


 アレンがイケメンスマイルでキラリと宣言する。


「うむ、アレン殿。参りましょうか!」


 ビューイック公爵も負けじと宣言した。


 この二人は気が合うみたいね。

 イケメンと熊でバランスも良さそうだ。


「姫様、これより敵本陣へ突入致します!」


 アレンは自身の胸に手を当て軽くお辞儀をすると天幕から出て行った。

 続いてビューイック公爵も出ていく。


 二人が居なくなった天幕でサリーが呟いた。


「どうかご無事で…」


 サリーの軍はアレン殿とビューイック侯爵を先頭にゆっくり相手の本陣に向かい進み始めた。

 二人は馬に乗っておりそれに続き後続の軍も付き従う。

 相手軍の中央、広場の中程まで進み止まった。


「皆の者!臆する事は無い、王城を取り戻し王国の民を守るのだ」


 アレン殿が声を上げた。


「アレン殿と我に続けー!!」


 ビューイック公爵が槍を空に突き上げる。


「「「「「うおぉぉーー!!!」」」」」


 続く兵士達が声を上げる。


 アレン殿が馬を巧みに操り走り出した。

 それに続いてビューイック公爵も出る。

 サリーの軍が突撃を開始した。



 サリオン王子が居る王国の入り口付近天幕では…


「報告致します!サリー姫の軍は進撃を開始しました。この天幕へ向かっているものと思います。先頭はアレン宰相、ビューイック公爵です!」


「陣を崩さず迎え撃つのだ」


 ノーガスト侯爵が伝令に伝える。


「サリオン王子、開戦でございます」


 サリオン王子は天幕中央に置かれた椅子に座っている。


「ふう… やはりあの二人が来るか…」


「こちらは5万の正規兵、あちらは3万しかも近隣地方から寄せ集めた兵です。心配はありませんぞ」


 ノーガスト侯爵がサリオン王子の横で説明する。


「心配はしていないさ…」


(この男に乗せられここまで来たが、まさかこんな事になるとは。アレンとこの様な形で戦うとはな…)


 サリオン王子とアレン宰相は歳が近い事もありよく二人で剣の訓練などをしていた仲だった。


(サリーがアレンの事を思っている事もアレンも同じく思っているのも知っている。二人には一緒になってもらいたかったのだが。何処でおかしくなったのか俺はミーシアと一緒になれればそれでよかったのに…)


 ミーシアとはノーガスト侯爵の娘であった。

 ミーシアに婚姻を申し込んだが父であるノーガストの評判がすこぶる悪く周囲からは猛反対されていた。


(ノーガスト侯爵が何とかすると任せたがまさか魔神を連れて来て王城も占拠するなど…何とかする、の範囲を超えてるだろ… 馬鹿なのかノーガスト侯爵。そう言えば他にも色々言われて無茶な事をしたな。おかげで私までも同列に見られる始末だ)


(しかし魔神はやばい。人間では誰も敵わんぞ…)


「はぁ〜」


 サリオン王子は大きくため息を吐いた。


「王子どうされましたか?まもなく敵を排除したのち王国は我らの物ですぞ!」


(我らじゃなくてお前のだろ?ミーシアはあんなに聡明で分を弁えているのに父親のこいつは何でこう馬鹿なんだ… ミーシアの父親と言う事で色々と協力はしてやったがおかげでサリーにも嫌われているようだし。全てがこいつのせいとは言わないが現在の状況はこいつのせいだ。そういえば奥方も出て行ったと聞いたな。ミーシアは一緒なのか?)


「ミーシアは何処に居るんだ?」


「ミーシアですか?王城に待機させておりますが」


(やはりそうか…自分の父を嘆いていたからな。王城でノーガストを説得するつもりだったのだろう)


「大丈夫なのか?王城にはあの魔神がいるのだろう?」


「ヴィリですか、あれが居るおかげで王城を抑える事が出来ましたので大丈夫でしょう」


(何がヴィリだよ、本当に夫婦にでもなったのか?会った時は確かヴィラインと言っていたな)


「お、先発が接触する様ですぞ!」


(アレン、死ぬなよ…)



「おおおー!」


 ビューイック公爵がサリオン側の兵を一蹴する。

 馬上から自分の背丈の倍はあろうか槍を軽々振り回し一振りで十数名を吹き飛ばしている。

 アレンはその後にすかさず入り込み敵の中から周りの敵を一掃した。


「ビューイック公爵はわかるけどアレン殿も強いのね?」


 サリー側の本陣のある戦況を見渡せる位置で始まった闘いを見ている。


「ええ、サリオンお兄様と小さい頃から剣の修行をしていましたから。ビューイック公爵が居なければ宰相ではなく将軍になっていたでしょう」


「心配?」


「アレンは王国を預かる宰相です。彼も覚悟は出来ていますので」


 そう言うサリーの顔は心配で堪らなさそうだ。


「それに… いえ、何でもありません。ただ絶対に死なせません」


 何かを言いかけたサリー、今は決意の顔をしている。


 うーん、やっぱりサリーも突撃しそうよね…

 カーシャが居れば大抵の事は大丈夫だけど。

 魔神の存在が気にかかるわね。


「まずいですね、中央の進撃が鈍くなりました。両翼の陣も動き出してます」


 アレンとビューイック公爵が強くても中央には万を超える兵士がひしめいている。進みも鈍くなるだろう。何とか両翼の陣に囲まれる前に突破しないと厳しいだろう。


「直子さん、出ます!」


「え?」


 やはり自分で行くのか。


「直子さんは私に何かあればここから離れて下さい」


 そう言うと側に連れていた白い馬に飛び乗り駆け出して行った。


 ちょ、おーい、行動早いな。もう!

 お、あれは… よしよし。ちゃんと仕事してるじゃない大福!


 馬で駆け出して行くサリーの後ろにはいつの間にか大福が乗っていた。


(大福頼んだわよ!)


(任せるのにゃ!でも危なくなったらよろしくなのにゃ!)


 少し心配になって来た…


「だ、大福様?いつの間に?」


「我はサリーに付いている様に言われたにゃ、離れられないにゃ!」


 サリーは馬を走らせながら考えている。


「も、申し訳ありません。大福様危なくなったら逃げてくださいね!」


「そうするにゃ!」


「でも、サリー武器は持っているにゃ?」


「私は魔法で何とかします」


「そう言えば魔法が得意だったにゃ。カーシャ、サリーは何の魔法が得意にゃ?」


「サリーお姉ちゃんはビリビリするのが好きなの!」


「雷属性かにゃ」


 そう言うと大福は何かブツブツ言い出した。

 時より戸惑ったり頭を下げたりしている。


「ふう… 全くビアンカ様は無茶を言うのにゃ…」


 どうやら上司のホーリーバニー、ビアンカに連絡していた様だ。


「ほれ、これを使うにゃ!」


 馬を操るサリーの目の前が光出しそこから何かが現れた。


「こ、これは?」


「ビアンカ様から借りたにゃ、あの人は色々拷問道具… 武器を持ってるにゃ!」


 サリーの目の前に鞭の様な物が浮かんでいる。


「ビアンカ様が… やはり鞭ですのね」


「ですがありがたくお借りします!」


 サリーが馬を操りながら右手で鞭を手に取る。


 バリバリ…


 鞭を振り伸ばすと鞭に沿って雷撃が生まれていた。

 鞭はビアンカの鞭だけあって全体真っ白で鞭の部分がイナズマの形をしておりそこから雷撃が生まれている。


雷撃繩らいげきじょうと言うにゃ!」


「使う者の魔力を雷撃に変えて攻撃出来るにゃよ。我も何度それでビリビリさせられたか… にゃにゃ!」


 大福は身震いした。


「これは… まさに今必要な武器です!ありがとうございます大福様!」


「我も役に立っておかないとお仕置きされるにゃ。あ、それとそれを貸し出す条件で王国の美味しいお菓子をビアンカ様にあげるのにゃ!」


 サリーが嬉しそうに笑った。


「ええ、飛び切りのきのこスイーツを用意しますわ!」


「いや… それはあのきのこにゃ?どうかにゃ…」


「カーシャ、どう?やれそう?」


「はいなの!このビリビリはとっても気持ちいいの!頑張るの!」


 バリバリバババババッ!


 鞭に纏った雷撃が数倍に増えている。

 サリーの魔力がカーシャを通して増幅されていた。


「大福様このまま行きますよ!しっかりと掴まっていて下さいね!」


「言われなくても絶対離さないにゃ!」


 サリーはクスっと笑いその後直ぐに真剣な表情に戻り前を見据えた。前方では今にも両側から大勢の兵が押し寄せて来るところだった。


 サリーはその中央に向かい進む。

 カーシャの鎧【純愛の加護】を身につけ。

 ビアンカ秘蔵の雷撃繩を右手に…

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