episode36 公爵と侯爵
「王国の王様はどうしてるの?この内乱を止められないのかしら?」
「お父様はもうお年であまり動けないのです。王の兵は近衛のみですから軍には対抗出来ないでしょう」
サリオン王子や侯爵は元から内乱を起こす様な人物では無いように思える。第三者の介入があるんじゃないかな…
「サリーはどうしたい?」
「… お兄様とは争いたくありません。しかし王国を不安にさせている以上、お兄様を止めなくていけません」
そうだよね、戦なんて一部の人間の利しか無い行為。その大半の犠牲者は真面目に生きている普通の人達だ。理不尽でしかない。
「サリーが戦うのなら私も協力するわよ」
「直子さん… ありがとうございます。ですがこれは王国内の争いですので他国のそれも女王となる直子さんが公に出ると問題が大きくなるかもしれません」
私は王国の人じゃないからね、それで良く思わない人達も居るでしょうね。
「それなら大丈夫よ、多分だけど今回の内乱は王国意外の者による陰謀だと思うからその元を私が請け負うわ!」
「確かにサリオン王子や侯爵の変わりようはそう考えるのが正しいでしょうな」
村長は憤慨し言う。
「そうであってほしいですね… 優しかったお兄様、侯爵に戻って王国の皆んなを幸せにしてほしい」
サリーは今にも泣きそうな顔をしている。
「任せるにゃよ!」
大福、なぜあんたがそこで言う⁈
「はっはー!大福じゃねぇが俺らの次期女王がやるってんだ。不穏な輩は蹴散らしてやるよ!なあ、ソニン?」
ギランッ
「お任せください」
ソニンが暗殺者の目になった。
メリーさんがサリーに寄り添い言う。
「サリー様、私が城へ行き王様にこの事を伝えてまいります」
「それなら禿衆を護衛につけましょう」
禿衆五人は村長の後ろで跪き待機した。
「我ら老体なれどまだまだお役に立てますぞ!」
「皆さんありがとうございます。それではメリーの事をよろしくお願い致しますね」
「「「「「はは!」」」」」
禿衆の五人は声を揃えて返事をした。
「サリー様、それでは明日朝より王国へ向かいます」
「メリー、大変な役をお願いするけどお願いね」
「はい、争いを終わらせまたきのこを食べましょう」
あのマンドラゴラきのこか。
美味しいもんね。
「ええ、そうね。気をつけてね」
食事も終わりそれぞれ部屋に戻って明日に備えた。
… … …
コンコンコンッ
「直子様、おはようございます。朝食の準備が出来ております」
「ふニャ!」
フカフカベッドで昨夜はすぐ寝てしまったみたい。
「はい!」
「失礼します」
ガチャッ
「おはようございます」
メイドさんは挨拶をすると私を鏡台へ連れて行く。
「「おはようございます」」
さらにメイドさんが二人入って来た。
昨日のお風呂担当の子だった。今日は普通のメイド姿だ。
「皆さんおはようございます」
鏡台の前で派手に飛び跳ねた髪をメイドさんに直して貰いながら挨拶した。
「メリーさん達は今日出発ですね?」
三人メイドの中でリーダー各であろうメイドが私が着る服を準備しながら答える。
「メリー様達は今朝出発されました」
え?
「もう?早いですね…」
もう行ってしまったのか。見送り出来ればよかったんだけど。
「まだ暗い時間でしたから皆さんへは知らせず行かれたようです」
「そう… 無事に王様と会えればいいわね」
食堂へ行くと窓の外を見ているサリーが居た。
「サリー、おはよう」
「直子さん、おはようございます」
元気がない、メリーさんを心配しているのか。それとも兄との争いが不安なのか… 両方かな。
「ハゲ爺達が付いてるから大丈夫よ」
「直子さんハゲ爺なんて言ったらあの人達落ち込みますよ」
少し明るい顔になった。
今は状況が進むのを待つしかない…
… … … 3日後
「サリー姫様、姫様を支持する者達が到着しました」
「そうですか、皆さんにご挨拶を致しましょう」
サリーはこのところ心配を隠す様に大福を暇さえあればモフっていた。
モフられ過ぎて大福が少し痩せて見える。
お疲れ大福…
サリーが覚悟を決めた顔をして屋敷を出る。
私達も付いて行った。
屋敷の広いに庭は所狭しとテントなど野営の準備がされている。それは屋敷の外にも広がっていた。
サリーを支持する者達は数千は集まっているようだ。
屋敷の玄関近くに建てられた一際大きな天幕から立派な鎧を着た若い男が出て来た。
サリーと同じくらいの年だろうか。
「サリー姫様、お久しぶりでございます」
サリーへ凛とした姿で挨拶をした。
「お久しぶりですね、アレン宰相殿」
あれは王国の現宰相か、随分若い。
あれ? なんかサリーの顔が少し赤くなっている気がする。
サリーはアレン殿を見つめていた。
「サリー、そちらの方をご紹介してもらえますか?」
「あ、失礼しました直子さん」
いつになく慌てているサリー。
うんうん、そう言う事ね。お姉さんは分かっているわよ。
「この方は王国の宰相をしているアレン殿、ドレーク殿のご子息になります」
なるほど、村長の息子だったか。どうりでイケメンなはずだ。髪の毛もフサフサでそこは受け継いでいないようだ。
「アレン殿、こちらは堅譲直子様。神の都の次期女王になられる方です」
アレン殿の顔がさらに凛とした表情になった。
「堅譲直子様、お初にお目にかかります。王国の宰相をしておりますアレン・フォン・ナーバと申します。堅譲様が王国に来られる事はお聞きしておりました」
若いが威厳のある振る舞いで宰相なだけはある。
「この度はこのような内乱に巻き込む形になりました事を王に代わり謝罪致します」
アレン殿は深々と頭を下げる。
「堅譲直子と申します。アレン宰相殿、サリーは私の親友です。親友の為に私も出来る事を協力させて下さい」
「そのお気持ちありがく頂戴致します。ですがこの戦は内乱であり堅譲直子次期女王様に何かあれば王国として責任は重大であります。決して無理はなさらぬ様お願い申し上げます」
確かにはよその国の者が自分の国の争いで傷付けば問題あるだろう。それが神の都の女王候補となれば大きな外交問題に発展する。
「わかりました。ご迷惑はお掛けしない様にしますね」
「ご迷惑などとは決してありません、どうか御身の安全を第一に考えて頂きたく思います」
「アレン殿。大丈夫ですよ。直子さんはあの神の都の次期女王、普通の方ではありませんから」
サリーがフォローする。
「そうでしたね。あまりに可憐な方でしたのでつい余計な心配をしてしまいました」
アレン殿は爽やかな笑顔で頭を下げる。
私が可憐な方ですって、なかなか見度ところがあるじゃない〜
サリーを見ると少し機嫌が悪そうな顔をしていた。
やはりサリーはアレン殿の事を思っているのだろう。
大丈夫よサリー、私の好みじゃないから。
「アレンよ此度の招集、ご苦労であった」
村長がアレン殿に声をかける。
アレンは混乱した顔をしている…
「そ、その声。まさか父様ですか⁉︎」
「当たり前だろう、父の顔を忘れたのか?」
「いやいや、今までまともに顔を見たことがありません!」
そうか、スキルが制御できたから光が消えて初めて顔がはっきりと見えたのか。
「おお!そうであった!そうなんだ!直子様のおかげでスキルを制御できる様になってな。この通りスッキリしたわ!」
村長は自分の頭をぴしゃぴしゃと手で叩きながら行った。
「なんと… 父様その様な凛々しいお顔であったとは…」
「うむ、久しぶりに自分の顔をまともに見れたわ!だいぶ老けたがな」
「母様もお喜びになられたでしょう?」
「うむ、この歳でそうなって良かったわね。などと言っておったぞ。若い頃だと別の意味で頭が目立ったでしょうだと!」
「母様も相変わらずですね…」
「まあ、儂の顔と結婚したわけでないから大丈夫と言っておったから問題無さそうじゃ」
惚気てる…
「父様の件で驚きましたがお伝えしなければならない事があるのです」
「王城がノーガスト侯爵に占拠されました」
「何!それは真か⁈」
「はい、私が近隣の街に魔物討伐に出かけているところを狙われ近衛騎士も応戦したのですが魔神と思われる者に不思議な力で動けなくなり囚われてしまったそうです」
魔神なんているんだ。
それにしてもなんで魔神が王国を襲ったのだろう。
「王と王妃はどうなったのです?」
サリーが心配そうに聞く。
「王と王妃は現在は軟禁されているとの事です」
「唯一魔神の技に抵抗出来た騎士団長も叩き伏せられ近衛騎士と共に囚われております」
「街の者達は無事なのか?」
「占拠されたのは王城のみで街に被害はなかったと聞いております」
「そうか… しかし魔神か。サリオン王子とどの様な繋がりがあるのか」
「お兄様が魔神と手を組むなんて信じられません」
「そうですな… サリオン王子はわんぱくなところはあったが城を占拠し妹君であられるサリー王女を亡き者にするなどその様な事は決して考えない方だ。やるとしたらノーガスト侯爵か…」
サリオン王子への皆の評価はそんなに悪くない様だ。人が急に考えを変わるとなると第三者の影響が大きいだろう。
おそらくはそのノーガスト侯爵の影響か…
「その魔神とやらはどんな奴なのだ?」
「女の様ですが黒いジャケットに真っ白いパンツを履き、黒いハットを被っていたそうです。そして肌が異常に白く目が吊り上がっており姿は人に見えますがただならぬ邪気を発していると」
「現在はその者とノーガスト侯爵が王の間に居座っています」
「なんという事か… それでサリオン王子は自ら戦にでているのか」
どう考えてもその二人が原因だね…
(ハクちゃん、その魔神って知ってる?)
(主、私の情報の中にはありません)
(昔、似た様な輩が暗躍していたとは聞いた事がありますのう)
ケンちゃんが念話に入って来た。
(ケンちゃん知ってるんだ?)
(噂でしか聞き及んでおりませんが古き国を内乱に導きその国を滅ぼしてしまったと聞いていますな)
(まさに今の王国と同じね…)
(確かその魔神の名前が… なんであったか…)
(おお、確かヴィライン。大国を滅ぼし魔女と言われていたとか)
(皆んな知らない程の大昔から存在してるのね…)
(本人かどうかはわかりませんがな)
「どうやらその魔神は太古の国を滅ぼした魔女らしいですね」
「おお、ご存知でしたか?さすが神の都の次期女王様、我々の知らぬ情報をお持ちだ」
「ヴィラインという魔女がその昔に存在した大国を内乱に導き国を滅ぼしたそうです」
「ヴィライン… 知らない名ですね」
サリーが他の人にも知っているかと目線を送る。
皆頭を振り知っていないと答える。
「そんな昔から存在していた者が現在の王国になぜちょっかいを出すのか…」
村長が首を傾げる。
「もう一つ情報があります」
アレン殿が思い出した様に話す。
「ここ最近、王国には帝国の間者が多数入り込んでいた様です」
「帝国か… ノーガスト侯爵は帝国と繋がっていると噂されておったからな」
また帝国か、神の都だけでなく王国も狙っていたのだろうか。
「ノーガスト侯爵は野心はあってもそれを実行する手がありませんでしたからそこに帝国が目を付けたのでしょう。しかし魔人までも関わってくるとなるとそれも帝国の仕業でしょうね」
アレンは腕組をして考える。
「どちらにしましてもこの戦はもう避けられない状態ですね…」
サリーが悲しそうに言った。
「向こうの将がサリオン王子であるならば戦自体はまだなんとかなるかもしれませんな」
村長が頭をキラリとさせて言った。
「そうですね、ですが魔神が介入してくる可能性もあるとどうなるか…」
アレンはどうしたものかという顔をしていた。
「しかしこのままでは王国自体がどうなるかわかりませんのでこのまま明日進軍致します」
サリーは大きくため息をついた。
「わかりました、明日は私も参ります!」
アレンが慌てる。
「向こうの狙いは姫様ですよ?危険過ぎます!」
サリーは今までにない真剣な顔をして言った。
「相手はサリオン王子が出て来ているのです。王女である私が行かなくてどうしますか?」
その気迫に皆黙ってしまった。
しばらくしてアレンはサリーの前で膝をつき頭を垂れた。
それに続き他の者達も一斉に膝をつき頭を垂れた。
神の都から来た私達以外全員が膝をつき頭を垂れている。
「これより、王国第三王女。サリーシャ・ウル・ザールファトミアが王城奪還に出向きます!皆さん、どうかお力を貸して下さい」
「「「「ははー!」」」」
跪いている者達が一斉に答えた。
「「「「「ウオォー!」」」」」
その後数千人の歓声が小さくはない村全体を揺らした。
さすが王族よね。カルムン村で会った受付嬢の姿からは想像出来ない王族としての気概で皆を引っ張って行ってる。
私も見習わなくちゃね。
その後王国へ向かい進軍を始めた。
私達もサリーと一緒に村長が用意してくれた馬車で戦場に向かう。
3日をかけて戦場となる王国城壁前の開けた場所に着いた。
既に先遣隊が陣地を形成しており到着した私達を加えると3万の軍になるらしい。
相手側は5万はいるとの事だった。
サリー達は本陣の天幕で打ち合わせをしている。
私達も賓客という事でその打ち合わせを横で聞いていた。
「相手は5万、まともにぶつかれば歯が立たないでしょう。我々の目的は王城の奪還、まずは相手の将であるサリオン王子を拿捕し広場の軍を無効化しその後王城へ向かうべきべきですな」
打ち合わせに参加していた立派な鎧を着た初老の男が発言する。
歴戦の将という顔つきだ。
「そうだな、相手の本陣は王国の入り口近くにある。そこを目指し中央突破しかあるまい」
アレンが腕組みをして答える。
「しかし突破できなれば一気に押し潰されますぞ!」
細身だが顔の頬に傷がありこれまた戦場を生き抜いて来た様な男が発言する。
「突破はアレン殿と某が務めましょうぞ!」
集まった中では一番体が大きく重そうな鎧を軽々と着こなしている熊の様な男が言った。アレンよりは年上に見える。
「アレン宰相とビューイック公爵か… それなら突破はできそうだが」
「この戦いは相手兵も完全に納得している者は少ないだろう王城を奪還するという目的にまとまった我々よりは士気が弱いはずだ」
アレンがイケメンな顔でキッパリと言う。
「そうである!こちらの勢いを絶やさず一気に行きましょうぞ!!」
ビューイック公爵が天幕が揺れる様な声を張った。
「わかりました、それではアレン殿とビューイック公爵殿にお任せしましょう」
サリーがあっさりと言った。
サリーの顔を見ると何やら企んでいるような顔だ…
もしかして後ろからサリーもカーシャと突撃するとか思ってないよね?
サリーがこちらを見てウインクしてる。
これは…本当に突撃しそうだ。
(姉さんは今回は出番がなさそうだな!)
セっちゃんが念話で話しかけて来た。
打合せに飽きたのだろう…
(私達が出てしまうと別の問題が出てくるからね。でも皆が危なくなったらそんなの関係なく行くけどね)
(ああ、そうだな。その時は俺に乗って行くといいぜ!)
(ふふ、ありがとうセっちゃん)
(物騒な人達だにゃ~ そうならない事を願っているのにゃ!)
(あんたはサリーの傍で励ましてあげたら?)
(にゃ!わ、我も行くと問題になるにゃよ~)
(あら、精霊なんだからいくらでも言い訳はできるでしょ?)
(というかサリーの傍に居て状況を教えてほしいのよ)
(ぬにゃ… し、仕方がないにゃね。いざという時は直ぐに来るのにゃよ!)
(ええ、見捨てたりしないわよ。たぶん)
(ひ、ひどいのにゃ!!)
念話を交わしている内に打合せは終わったようだ。
皆がバタバタと外に出て行く。
サリー、村長、アレン殿が残った。
「直子さん、これより開戦致します。直子さん達はここで見守っていてくださいね」
「伝令代わりにこれを連れてって」
大福をサリーに差し出した。
「大福様良いのですか?」
「当然にゃよ〜…」
微かに震えている大福。
「大福様は私がお守りしますね」
「心配いらないにゃ、我もやる時はやるにゃ」
「ふふ…」
サリーも緊張していたらしく大福を触り少し落ち着いた様だ。
「では、出ます!」
「気をつけてね」
「カーシャ、サリーをお願いね」
「はいなの!」
カーシャはそう言うと鎧の姿になりサリーを包んだ。そして天幕を出ていく。
私達も開戦の様子を見に外に出た。
サリー側の本陣は高台にあり緩やかに下った先に王国の城壁がある。王国の入り口である大門の横の大きな天幕がありそこにサリオン王子がいるのだろう。
ここからそこまでは2、3km程に見えた。
入り口の天幕を中心に5万人の軍勢が三日月型にコチラを囲む様に陣取っていた。
「三日月の陣ですね、あれだと中央が厚くなるので中央突破が遅れると両側に広がっている兵に囲まれてしまいます」
まるでこちらの戦術がわかっている様な陣形だ。
「兵力差を考えれば攻める手も限られて来ますから向こうもそれをわかっているのでしょうね」
「直子さん」
サリーが相手の陣を見据えながら言う。
「王城に向かったメリーと連絡が取れません。王城が占拠されたのを知らずに捕まったのかもしれませんね」
そうか、王城占拠のタイミングと入れ違う形で王城に向かったからね。無事だといいのだけど。
「これから皆で突撃しますのでその好きに王城へ向かいメリー達の救出をお願いできますか?」
向かうはいいがサリーに何かあった時に守れないな…
「直子様、私が参りましょう」
ソニンが生き生きとした顔で言った。
そうかソニンなら大丈夫だろう。
「お願いできる?」
「はい、お任せください」
「ソニンさん、大変な事をお願いしますがよろしくお願いします」
サリーが深く頭を下げる。
「ソニンなら救出だけでなく王城も取り戻せそうね」
「お命じあれば!」
ソニンの目がキラリと光った。
ソニンは大勢の軍相手よりこっちの方が向いているだろう。
「王城に着いたら状況を連絡頂戴ね」
「はい」
「ありがとうございます」
プオォーーー!
角笛の様な物を吹いた音がした。
戦場の広場を見ると両軍から出ていく者が見えた。
口上交換をするのだろうか?
こちらからはビューイック公爵が出ていく様だ。
遠くからでも一際大きいのがわかる。
相手からは青い鎧を来た者が出て来た。
両陣のほぼ真ん中で二人は止まった。
「これはこれはビューイック公爵、モンスターが口上に来たかと驚きましたぞ!」
「ノーガスト侯爵、相変わらず世渡りが得意ですなぁ!」
「はて、何の事でしょうかな?私はサリオン王子のお命を狙ったサリー姫を捉える為に奔走しておるのです」
「それは初耳ですな、貴殿がサリー姫のお命を狙っている事なら聞き及んでおりますがな」
「それだけでなく王国の簒奪まで考えておられるようだ」
「それはあなた方でしょう?我々は王より正式にサリー王女を連れ戻すよう命を受けているのだ。大人しくサリー姫をこちらに渡して頂ければこの戦による犠牲もないでしょう」
「王城を占拠しておいて良く吠える者よ!」
「どうやら闘いに置いてどちらが正しいが示すしかないようですな!ビューイック公爵!」
「うむ、これ以上時間を無駄に過ごす事もあるまい。後ほど相まみえましょうぞ!もっとも貴殿は出て来ぬであろうがな!」
「ぐぅ、まあいいでしょう。そちらに勝ち目はないでしょうから戦が終わってからたっぷりと尋問してさしあげますよ」
そう言うとノーガスト侯爵は馬をクルリと反転させ陣地へ走っていった。
「まったく、口だけは達者なやつだ…」
ビューイック公爵も相手が見えなくなると馬を反転し戻って行った。
「ノーガスト侯爵のあの自信、やはりこの戦は何かあるな…」
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