episode35 神の啓示

 メイド達に服を剥かれる。


「ささ、湯浴みの準備をいたしましょう。あら?この腕輪が外れませんね…」


 うう、サリーに言われていたからな〜

 仕方がない…


(ハクちゃんケンちゃんお願い)


 念話でお願いした。

 左のハクちゃんがシュッと消え壁の方に盾として現れ立て掛けられた。

 同じく右のケンちゃんも同じ様に右腕から消え剣になりハクちゃんの横に立て掛けられた。


「あ、ありがとうございます。不思議な腕輪でございますね」


 メイドの一人が驚きつつも手を止めず話す。

 その後あっという間に全ての服を剥がれた。

 すかさず真っ白いフカフカのローブをかけてくれたので少し安心。


「湯船はこちらでございます」


 メイドの一人が湯船がある部屋に案内する。


(行ってくるね)


(了解です主)


(ゆっくりされるが良かろう)


 ハクちゃんとケンちゃんを後に浴室に行った。

 浴室に入るとさらに二人のメイドが待ち構えている。

 浴室担当なのかスカートの丈がかなり短く細い足が眩しい。


「失礼致します」


 浴室担当のメイドがそう言ってローブを脱がした。


 クッ 浴室とはいえ私だけ裸なのはかなり恥ずかしい。


 湯船に入る様に左手を取り補助してくれる。

 湯船はアニメとかで見た事がある真っ白い四つ足のバスタブで私なら二人は入れそうな位大きい。

 ゆっくりと湯に浸かる。


「はう〜」


 神の都では大浴場だったがこのバスタブも良い。

 お湯加減も絶妙で思わず声が出てしまった。


「ではお体を洗いますね」


 あ、やっぱりそうなるのね…


 メイドが湯に何か液体を入れるとみるみる泡立って来た。


 これがあの泡風呂!

 子供の頃に憧れて自宅のお風呂に液体石鹸を大量に入れて怒られた事があったな〜


「にゃっ!」


 メイドが洗い用の手袋を付けて私の体を洗い始めた。結構激しい!


「あ、そこは… 」


「ふにゃー!」


 … … 徹底的に洗われてしまった。


「こちらが食堂でございます」


 お風呂の後お肌ケアと着替えをされ食堂へ案内された。


 コンコン!

 ガチャッ


「堅譲直子様でございます」


「おお、直子様。お美しい!」


 先に来ていた村長が迎える。


「そのドレスは私が宰相をしていた時に海国から頂いた物でして素晴らしきドレスだったのですがそれ故に誰も着る事ができませんでな。直子様ならとお出ししたのです」


 確かにこのドレスを見せられた時はあまりの綺麗さにこんなの着れないと思った。

 綺麗な海を思わせる下から深い青で始まり上になるほど淡い青に変化したドレスだった。

 スカートはそこまで膨らんでおらず動きやすい。

 あちこちに宝石と思われる石が散りばめられてキラキラしている。

 こんな豪華なドレス着れないと言う顔をして見たが結局メイド達に着せられてしまった。


「いやー!このドレスを着こなす方がいらっしゃるとは、直子様の美貌にドレスも霞んでおりますな!」


 妙に村長のテンションが高かった。


「本当に綺麗ですよ直子さん!」


 サリーも先に来ていた。サリーも私のドレスと変わらない程の綺麗な赤いドレスだった。


「サリーも綺麗ね!さすがお姫様」


 本当に綺麗に着こなしている。本物のお姫様だ。


「おおーい、早く飯食おうぜ〜」


「そうだにゃ、お腹空いて痩せ猫になってしまうにゃ」


 先に席に着いているセちゃんと大福がせがむ。

 セちゃんは作ってもらった服でバッチリ決まっている。

 大福は…


「あんたなんでそんな格好なのよ?」


 大福は白いベストに赤い蝶ネクタイ、なぜかフリフリの白いスカートを履いていた。


「いにゃ〜なんかメイドさん達が頑張ってたのにゃ、文句を言うのも違うかにゃと…」


「あんた女の子だったの?」


「我は精霊だから性別はないかにゃ」


「そう…リボンとか似合いそうね?」


「そ、そうかにゃ!メイドさんに頼んでみるかにゃ」


 性別が無いならあれでも良いのか。本人もまんざらでもなさそう。

 しかしあれは完全に着せたメイドさんの趣味ね…


「さあさ、お席にどうぞ」


 村長が席まで案内してくれた。

 席に座ろうとしたら椅子を引いてくれた。

 と思ったら椅子を引いたのはソニンさんだった。

 来た時と変わらずメイド服のままだ。


「あ、ありがとうソニンさん。ソニンさんも座りましょ?」


 ソニンさんは冷静な声で行った。


「いえ、私は神龍様に使えるメイドです。神龍のお孫さん、ましてや次期女王であられる直子様と同じテーブルに着く事は不敬に当たりますので」


 もう、ここまで一緒に旅をして来てそんな事気にしなくても良いのにな〜


「それと私の事はソニンと呼び捨てにして下さい」


 私を席に座らせると後ろにスッと下がり立っている。


 うーん、どうしたものか。

 真面目過ぎるのよね〜

 そうか、真面目を逆に利用すればいいのか。

 よし、ちょっと威厳を出して…


「それでは次期女王である私がソニンに命じます。席を共にしドレーク殿のもてなしを受けなさい!」


 ビリビリ…

 カタカタ…


 テーブルに置かれた食器が震えている。


「は、はい!直子様の命。申し付けられました!」


 ソニンさんがいつになく緊張した顔をして言った。

 顔も少し青ざめている。

 そして慌てて大福の横の席に座った。

 隣でも良かったのになぜ大福の横に座ったのか。


「おいおい、姉さん。覇気が漏れてたぜ!」


 セちゃんが教えてくれた。


 え?覇気⁈ 何それそんなつもりは全くなかったのに!


「ごめんなさい、そんなつもりじゃなかったのだけど」


「まだまだだな姉さん、もっと制御できねえとおっかないソニンでさえタジタジだ。大福とメリーなんか気絶してるぜ」


「ごめ…」


 ソニンさんに謝ろうとしたところをソニンさんが手を前に出して遮った。


「直子様、お気になさらずに」


 あれか、ここで私がソニンさんに謝ると体裁が取れないのか… 本当にごめんなさい。


「い、いや〜!さすが神の都の次期女王となるお方!なんたる威厳!この老獪も痺れてしまいました」


 村長はいつもより余計に頭を光らせて言った。

 村長は無事だった様だ。


 ちょっと感情を出すと出ちゃうのどうにかならないかしら…


(主、発生される覇気は主次第ですが周りへの影響は私の方である程度制御できると思います)


(本当⁉︎ そんな事ができるの?)


(はい、発せられた覇気を強すぎる場合はその分を魔力に還元し保管します)


(保管出来るんだ)


(保管した魔力は後程色々な事に利用が出来ます)


(ふむふむ、いいじゃないさすがハクちゃん!)


(ただ、発せらせる覇気が大きいと処理能力を超え制御出来ませんのでご注意下さい)


(あ、はい… 努力します)


「なんだよニヤニヤして気持ち悪りぃな」


 ハクちゃんとの念話が顔に出てたらしい。


「ふふん、ちょっとね。覇気の制御がうまく行きそうだったから」


「ほう、それは良い事だな。毎回これじゃ身が持たねえだろうからな」


 サリーは気絶した大福とメリーさんを起こしている。


 ごめん、サリー。


「でも村長は良く無事でしたね?」


「ドレーク殿は宰相ではありましたが歴戦の猛者でもあるんですよ」


 なるほどそれで耐えられたと村長の身体能力はかなり高そうだ。

 しかしメリーさんはともかく大福は情けない。


 ビアンカさんにもっと鍛えてもらいましょうね。


 しょっぱなやらかしたがようやく皆席に着いて食事が始まった。


「それでは宰相であった私がこの村で村長をやっている事についてお話ししましょう」


 村長は食事をしながら語り始めた。


「当時宰相を辞した後に隠居しようと安住の地を目指して各地を転々としたのですがこのなりでして… どこでも目立ってしまいましてな。困っておったのをサリー姫様にこの村をご紹介頂いたのです。」


 サリーが紹介したのか。


「この屋敷は元々サリー姫様の別荘でしてな。管理も兼ねて私が借り受けておるのです」


 どうりで大きい屋敷なはずだ。


「ドレーク殿には幼少よりお世話になっておりこの別荘も殆ど使用していませんでした。村の管理も執事が代行でやっていた為にこの際ドレーク殿に村長をして頂こうとなったのです」


 それで元宰相が村長になったのね。


「いや〜 このなりですからのうひっそりと暮らすと言うのは諦めておりましたが姫様のおかげでこの村でのんびりさせて頂いておる次第です」


 ほんとにその頭は目立つもんね。


「宰相としては威厳も保てて良かったのですが戦場では的にされ、どこに行くにもわかってしまいますからなかなか厄介でした」


「なぜそのようになったのでしょうか?」


「子供の頃は普通だったのですが成人を過ぎた辺りから毛は落ち、代わりにこの様に光を放つ様になったのです。私の一族には時折その様な者が現れており血筋でしょうかね」


「それはスキルにゃ」


 黙々と食べていた大福が突然言った。


「スキル?」


「そうにゃ、そいつの持つスキルが発動してるにゃよ」


 こんな鬱陶しいスキルあるのか…


「精霊の中にも同じスキルを持つやつがいるにゃ、人間では珍しいかもにゃ」


「どんなスキルなの?」


「聖なる気に反応してそれを世に知らしめるスキルにゃ!」


 何それ⁈


「その名もセイクリットシャイニングミラーにゃ!」


 カッコ良さそうな名前だがそのまんまの名前だ…

 しかし、ハクちゃんの鑑定で村長を見てもそのスキルは出てこなかったけど。


「本当にそんなスキルあるの?」


「あるにゃ!このスキルはエキストラスキルにゃ普通のスキルではなくかつて神の眷属だった者が持っていたスキルで神の威厳を示す為に与えられたスキルにゃ」


 頭を光らせて神の威厳は無理な感じがする…


「神様はそのスキルを持つ眷属を人間界へ送り神の存在を広めようとしたにゃ」


「神様もそんな事をするのね」


「私も物語で聞いた事がありますね。聖なる光を放つ神の眷属のお話」


 なるほど実話が語り継がれているのか。


「実際は違うにゃ、そのスキルを持つ者は聖なる気に反応するから神様の側にいると絶えず強烈な光を放つにゃ。神様は自分の元に居ると光が強すぎるので下界に送り神の存在を広めよと言われたのにゃ」


 つまり、神様も眩しくて鬱陶しかったと…


「なんと… その様なスキルが私に」


「エキストラスキルは本人がそのスキルの存在に気がついていないと感知できないのにゃ」


 こんな派手なスキルなのにスキルの存在はわからなかった訳ね。


(村長を再鑑定しました。確かに今はセイクリットシャイニングミラーが発動しています)


「え、それじゃあもしかして聖なる気を持つ聖女とかの近くだと光が強くなるとか?」


「なるほど、だからお姉様がお城にいらした時は余計に光っておられたのですね」


「おお、そう言う事だったのですね!長年の謎が解けました」


 すると私にも反応してるはずなんだけど…


(主の場合は私の結界が放出を抑えていますのでそこまで反応はないかと思います)


(結界で抑えてくれていたのね、ありがとう)


「そうすると直子さんのそばではそこまで光らないのはな…」


 サリーが思わず言った。

 急いでサリーの口を手で塞ぐ。


「むぐぐっ」


「とりあえずスキルであれば制御ができるようになるのではないですか?」


 別の事で話しを逸らす。

 私が聖女だとわかると余計な問題が出てくる気がするしね。


「むむ… いや〜出来そうもないですな」


「姉さん、そのスキルを制御するには他の人の力が必要にゃ」


「魔力が強い姉さんがちょうど良いにゃ」


(姉さん、このスキルは神の啓示が無ければ制御出来ないにゃ。聖女である姉さんなら出来るにゃ)


 大福が念話で話して来た。

 私が聖女というのがわからない様にしてくれているのだろう。意外と気が利く。


(わかったわ。何をすればいいの?)


「姉さん、村長の頭に手を置くにゃ」


 え、あれに触れと⁉︎


 皆んなが私を見る。


 し、仕方がないわね…


 諦めて村長に近寄った。

 近くで見ても光が邪魔で村長の顔はハッキリとは見えない。

 村長が頭を差し出す。

 右手を光の中に向けて頭に当たるまで前に出した。


 ペタッ


 手の平に何かが当たった。

 意外とスベスベしている。


「それで?」


「そのまま次の呪文を言うにゃ」


「エルバース、パナ!ナーストエルカ!」


 不思議な言葉だ。

 教わるがままに口にした。


「エルバース、パナ!ナーストエルカ!」


 唱えると私の中に今まで感じた事の無い魔力が溢れて来た。それをそのまま村長の頭に注ぐ。

 すると光がゆっくり弱くなって行った。

 村長の顔が次第にハッキリと見えて来た。


「まあ!」


 サリーが思わず声を上げる。

 そこに現れたのはかなりのイケメンだった。

 若くはないが歳を重ねたロマンスグレーの顔立ち。

 メリーさんもソニンまでざわついている。


「ドレーク殿初めてお顔を見る事ができました。改めてよろしくお願い致しますね」


 サリーが上品に挨拶をする。


「サリー様、今まで素顔をお見せ出来ずに申し訳ありませんでした!」


 村長はサリーの前にひざまづいた。


「これで家族にも素顔を見せてやれます」


 そうか、家族でさえまともに顔を見た事が無かったのか。それは辛かっただろうな…

 でもそんなんでよく結婚できたな…

 貴族の縁というやつかしらね?


「良かったですねドレーク殿、ささ、食事を続けましょう」


「ええ、ありがとうございますサリー姫様」


 村長が近寄って来て私の右手をがっしり掴み言った。


「直子様!ありがとうございます!このご恩は一生忘れませんぞ。神の都の次期女王様、王国との交渉もぜひ協力させて下さい!」


 近くで見る村長は確かに渋くグッとくる顔だった。

 今まで言い寄って来た禿げも沢山居たけどここまで爽やかで好印象の禿げは居なかった。

 こういう人が父親なら自慢の父とか言いたくなる。


「い、いえ。私は言われるままをしただけですので」


「いえいえ、直子様のお言葉。全てを解放された気分でした。ありがとうございました!」


 まあ、確かに私が聖女でなかったなら出来ない事だったのだろうけど。何にしても喜んでくれて良かった。


「所であの呪文はどんな意味だったの?」


「にゃ⁈ い、意味かにゃ?」


「と、特に特別な意味はないにゃよ…」


 なんか歯切れが悪いわね。


「私も聞いた事が無い言葉でしたな」


 村長の言葉にサリーや他の人も同意した。


(主、あの呪文は神語と呼ばれるもので神が話す言葉とされています。精霊の間では伝えがある様ですが人間達の中では伝承されず今では誰も知らない様です)


(神の言葉か、なんか神秘的ね)


(そんな良いものじゃ無いにゃよ)


 大福が念話に入って来た。


(そうなの?)


(あの呪文の意味はこうにゃ!)


(眩しいんだよ、このハゲ! 少し自重しろ! にゃ)


「ぶほっ!」


 飲みかけのお茶を盛大に吹いてしまった。


「直子さん大丈夫ですか?」


 サリーが心配してくれる。

 ソニンがいつの間にか側にいてささっとあと粗末をしていた。早い。


「う、うん。ちょっと衝撃的なな事が発覚というか。飲み物が喉に詰まったというか…」


「直子様、料理に何か問題がございましたか⁈」


 キリッとした村長が心配そうに駆け寄って来る。

 スキルは解除され光を放ってはいないが普通にツルツルの頭に部屋の明かりがキラリと反射している。


「クッ…」


 だめだ、見ちゃダメよ!耐えるのよ直子!


 自らその様なスキルを作り出した神様さえ眩しい頭だったと思うと笑いを堪えるのが難しい。


「ふー! 大丈夫です… お構いなく」


 なんとか耐え切った。

 落ち着きを取り戻し食事を続ける。


「それではドレーク殿の件も解決した事ですので現在の王国についてお聞かせいただけますか?」


「かしこまりましたサリー姫様」


 村長はスッキリした爽やかな顔で話してくれた。


「現在王国ではサリオン王子の率いる派閥とサリー姫様を支持する派閥で分かれておりサリー姫様が王国に戻られると知ったサリオン王子側はそれを阻止しようと兵を準備しております」


 よほどサリーが王国に戻るのが都合が悪いのか。でも派閥とはいえ今や二人しか居ない兄妹を殺そうとするものなのかしら…


「サリーとサリオン王子とは仲が悪かったの?」


「いえサリオンお兄様とは子供の頃はよく一緒に遊んでもらい私の事を守ってくれました」


「仲が悪い訳ではなかったのね、なんで今の状況になっちゃったのかな?」


「それはノーガスト侯爵によるものです」


 村長が悔しそうな顔で話す。


「ノーガスト侯爵はサリオン王子に取り入りサリオン王子を次期王にしようと画作しようとしています」


 ふむ、異世界物によくある貴族の陰謀か。


「ノーガスト侯爵には娘がおりサリオン王子の婚約者でもありますのでサリオン王子を王に祭り上げその後王国を操ろうと考えているのです」


「あのノーガスト侯爵がですか⁉︎」


 サリーが意外そうな顔をする。


「信じられません、あの優しかった人が…」


「サリーはノーガスト侯爵を知っているのね?」


「はい、サリオンお兄様と一緒によくお世話になったのです。あの頃は王国の事を第一に考えどのようにすれば王国を発展させられるかを一生懸命考える方でした。とても国を操ろうなど考える方ではありません」


「私もノーガスト侯爵は存じておりますがサリー姫様がおっしゃる通りの方でした。しかし現実に今は王国の簒奪を考えております」


「確かなのですか?」


「はい、私の禿衆かむろしゅうに調査させた事実でございます」


 かむろしゅう… かむろって禿はげって書くんじゃなかったかしら。

 なんかざわざわする…


「ドレーク殿の影、ですか… 」


「サリー、その影というのは?」


「私からご説明致しましょう。これへ!」


 村長が声を掛けた。


 シュシュ!


 すると村長の後ろに五人の黒装束を着た者達が現れた。


「これは私が召し抱えている密偵達でございまして宰相の時より情報収集など裏の事柄を行なってもらっております者達です。禿衆と呼んでいます」


「いや〜、ドレーク様のネーミングセンスは最悪ですぞ!」


 真ん中の者が顔を覆っていた布を取った。

 それに続き他の4人も布を取った。


「あなた達は…」


 この屋敷に入る前に村長と一緒に着いて来ていた人達だった。全員が村長と同じ位の年に見える。

 そして全員が見事に頭が禿げ上がっていた。


「それで禿衆…」


「いやいや、この組織が出来た頃は全員フッサフッサでしたぞ!」


 なんと、皆んなふさふさな時があったんだ。


「それじゃあなんで禿衆なんて… あ」


「そうですじゃ棟梁である村長の組織という事で付けられたのですじゃ。当時は皆嫌がりましたがの、まあ今は見ての通りで名のままの集団になりました」


「なんと皆はこの名前が嫌だったのか⁉︎」


「当たり前では無いですか我らを知る方達からはかむろではなくはげはげ言われておりましたからのう」


「おおう、すまぬかった。苦労を掛けた」


「ふふふ、我々は村長にお仕え出来て幸せでございましたのでお気に入りなさらずに」


「なんかチクチク刺して来るな…」


 なんだかんだ言って良い関係の様だった。

 しかし村長を含め皆さん見事な頭をしてるわね。

 まさにハゲ散らかしてるというのかしら…




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