第44話 『大芝居』の舞台裏

その大木の根元にうずくまっていたのは、この程雇い主から追加の任務で示された標的ターゲット―――元スゥイルヴァン女王の忠実なる影武者シルフィでした。

刺客から逃げおおす為にエルフとしての特性を生かし、入り組んだ木々を縫うかのように駆け抜ける≪森林走破≫を駆使した―――ものの…運悪くか、果てまたは年齢としの所為でもあるのか、大木の根元につまずいて左足の爪先を割ってしまった。 その負った傷口より流れ出る血潮、いくらエルフと言えど足を怪我してしまえば満足に動く事など出来なくなると言うのは道理と言うものでしたでしょうか。

それに刺客にしてみればこれほど容易く終わらせられる任務しごともあったものでもなかった―――今や元スゥイルヴァン女王の影武者の生命も、風前の蝋燭の灯にも似たもの……だった―――?!


「その傷口では最早逃げられたものではない事を覚ったようだな…元スゥイルヴァン女王の影武者―――シルフィ、お生命頂戴する!」


        ―――ン・フ・フ・フッ…ハハハハ……アハハハハ


「(!)何が可笑しい―――生命の危険の前に気でも障れた…」

「ザア~ンネン―――“私”でしたあ~!」(ゲヒャヒャヒャヒャ)


下卑た笑いに表情―――とでもじゃないが一国の女王陛下の影武者として立身をしていた者とは思えないものがそこにはありました。 それに“白い”刺客は知らなかった…影武者には唯一真似のできない女王の仕草があった事を。

そう―――シルフィは“対外”への(女王としての)広告塔の役割があった。 “清廉潔白”“眉目秀麗”“才色兼備”…それらは確かにシェラザードも持っていたものでしたが、彼女シェラザードにあって彼女シルフィにはなかったもの…それは―――

             『女王らしからぬ言動』

 

500年―――いやそれ以前にまで遡りますがシェラザードの言動とは、とてもではありませんが“お綺麗お上品”とは言い難かった…確かに王族言葉遣いはそれなりに出来るのですが、油断をしているとすぐに出てしまう“癖”―――それにシェラザードの言動は確かに“お綺麗お上品”とは言い難いものでしたが、その事が逆に市井しせいに暮らす者達からしてみれば、自分達と同じ目線に立って話しが出来ると好評を博していたりもしたのです。


                で・す・が


「まっ―――まさか、シェラザード女王陛下ご本人?!だけど…」

「“私”は、死んだハズ―――か、なら今ここにいる“私”は幽霊かあ?けーど見てみろやあ~この“すらあ”とした脚―――“むっちむち”の太腿―――足のついた幽霊なんて古今東西聞かない話しだなあ?それに…この“すっべすべ”“もっちもち”のお肌―――間違っても動く屍体ゾンビなんかじゃねいぞ~う。」

「じっ―――じゃあ…」

「ああそう言う事さ…騙されたんだよ、あんたんとこの雇い主は。 なまじ私から貴族に任命されときながら長年の恩を仇で返そうってな“粋”な連中がいるお蔭で、私も楽に隠居出来ねえわあ~~。」


“白い”刺客が自分の新たな標的ターゲットと見定めた元女王の影武者は、実はだった?

いや…その前に、そのご本人様女王はこの程自分の手により死に追いやった…―――? それがなぜ、悪人顔負けの今世紀最悪の悪い顔をして“ぬたり”とわらっているのか、訳が分かりませんでした。 しかも“悪党”よりも“悪党面”が程よく似合う―――その“白い”刺客も自分の雇い主が悪人である事は判っていました、が…今は主従の契約を交わしている事もあり、雇い主が間違いを冒していると知っていても従者としては従わなければならない。 けれども思ったのです、“悪”を駆逐する呑み込むには更なる強大な“悪”のみがそれを為せれると。 現・スゥイルヴァン女王でありながら“清廉潔白”と“五濁悪世ごじょくあくぜ”が同居する―――平和を望みながらもは混沌を糧とする化け物なのだと覚ったのです。


           ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


事態がこうなる前―――確かにシェラザードは不覚を取っていました。

それはある依頼の為レゾーラの森深くに分け入っていた時の事…不意に、自分の首元に“痛み”がはしった―――滅多と不覚は取らない超一流の冒険者が、一体何の先触れだろうか…それに自分の首元にはしった“痛み”とは何なのか―――探ってみると、なんとも小さな“針”ものだった。 だとて、幸いと言っていいのか身体は不調を訴えていない、けれど“万が一”の事を考えてマナカクリムまで戻る事にしました。 レゾーラの森からマナカクリムまでは直線距離にして5kmあまり、普段のシェラザードなら半日もあれば辿り着く事が出来たものを、10時間かけてつくのがやっとだった。 それに道中シェラザードは自分がある種の毒に冒されている事に気付いたのです。 けれども気付いたのが遅かった、しかもマナカクリムにはあと少しで到着できる距離…シェラザードは這ってでも辿り着こうとしましたが―――その直前で力尽きてしまった…自分達の国の女王様が城下の大門前で行き倒れとなっている事を見つけた門番は、至急親衛隊に渡りを付け主治医である典医や女王所縁の者達も駆け付けた…その事によってどうにか大事は取り留めたのでしたが―――


          * * * * * * * * * *


{この国の女王が自らの城下の門前で行き倒れていたなど前代未聞、さりとて女王の身を蝕んでおったのは毒と言う事で相違ないな。}

「ああ…それがどうも遅効性だったらしい―――しかもお誂え向きに体内深くに残るモノだそうだ。」

{これは少し、女王に冒険者としての行動を自粛して貰わねばいけませんかな。}

「問題はそこにはありません―――今問題とするべきはこの毒がどこから用いられたのか…」


どうにか生命は取り留めた―――とは言ったものの、依然として重体である事には変わりはない。 そう、シェラザードに用いられた毒は、遅効性であると共に体内に深く留まる類のものだったのです。

それに―――それにそこに居合わせた者達はどことなく判っていた…そう、今回シェラザードに用いられた毒の種類を。 けれど所詮は知らん顔を決め込もうとしていた―――様にも見受けられなくもなかった。(それも特に【宵闇の魔女】は、なのですが)


それから数日後―――


「たは~イヤー参ったわ、私の≪閉塞する世界に躍動する“光” グリマー≫の効きが弱くなったのか、あの程度の毒を無力化するのに手古摺てこずっちゃってさあ~。」

「それはようございました陛下、つきましては…」

「なあーにお堅い事言っちゃってんのよぉーササラぁ、私達ゃ仲間なんだから―――」

「昔はそうでも今は立場なりとて違います、私は私で〖昂魔〗のとして“クソロリばばぁ”の役割をこなしていますが、あなたは魔王様の右腕としての『スゥイルヴァン女王』の役割があります…さて、一体どちらが立場が上なのでしょうね。」

「(あははぁ~)あのーーーまだ捕まんないの?」

「まあ…捕まんないからササラが“クソロリばばぁ”なんて毒吐いてるわけだしねえー。」

「それよりシェラザードの自浄能力も衰えてきているのは否めませんかな、それが今回はその出所から解毒剤を提供してもらったのが幸いに転じたものか…。」

「(…)そこは、申し訳次第もありません―――まさか黒豹人族私達の一族の毒が用いられようとは…ですが、そこを万象繰り上げて現在の“お館”である私の叔父より早急に解毒剤を取り寄せ、陛下に叛意なきを示させたのですが―――」 「(…)いや、そこは責めないよ。 私に盛られた毒の解毒剤を提供してくれた事により、黒豹人族の忍の里自体に叛意が無い事は判った事だしね。」

「ありがとうございます―――…」

「それより、だとしたなら誰が里から秘蔵の毒を持ち出したのかしらね。」

「(…)それは、心当たりがあります。」

「ん?どう言う事だササラ。」

「叔父の話しでは、一人研鑽を積む為に修行の旅に出た者がいるそうで…」

「―――では…」

「はい、恐らくは高確率で私の姪に当たり叔父の娘でもある者が、何らかの事情によって不正貴族共と主従の契約をものと。」

「『結ばされた』―――って言う事は、その子の意思とは関係なく?」

「恐らくは、その様であると推測されます。」

「聞くと何だか気の毒な話しだなあ。 なんかさ、私達の手でどうにかならないかな…。」


その本来ならば『エニグマ』の闇の勧誘すら退ける強い光の権能チカラ…それがエルフの王族に伝わる固有能力ユニークスキル閉塞する世界に躍動する“光” グリマー≫なのですが、今回判ってしまったように例え秘蔵であると言っても忍の一族秘伝の毒の効果を消し去る事は適わなかった…それが『弱くなってる』に繋がるのですが―――


{*この事は以前にバルバリシアがエニグマに捉われそうになったた時、リルフィの身を呈しての庇護により実証されている。 それはつまり≪閉塞する世界に躍動する“光” グリマー≫は正統に正しくリルフィーヤに受け継がれていると言っても差し支えないだろう。 ただ…ひとつ疑問に思うのは、ならばシェラザードはその権能チカラの継承をしたのだろうか?}


それはそれとして黒豹人族であり優れた忍である母を持っていたササラは、今回の毒を持ち出した者に心当たりがありました。 それがササラ自身の“姪”であり、現在『お館』として忍の里を纏めている“叔父”―――その“娘”が、忍の腕を磨くために修行の旅に出ている事を知っていたのです。 その事を叔父からの連絡により知らされ、近くに寄ったら自分の処に訪れるように―――との話しを持ち出していたのに…それが幾月か待っても訪れなかった、その最中さなかでのこの事件、推測とはしながらも怪しまないわけにも行かなくなった…しかも用いられたのが忍秘伝の毒―――ササラが子供の時に母であるノエルから聞かされた事がある、『この毒は無味無臭にして遅効性、更には体内に潜伏させて必ずや標的を殺せるモノ』なのだと。 その事を知っていたがゆえに同じ黒豹人族のササラは苛まれずにはいられませんでした、自分は忍ではないとしても毒の事に関しては多少なりと知識として知っておく必要がある、そこの部分だけを取り上げてみれば自分の一族はその事に長けた処があると内心では喜んでいたものでしたが…旧き知り合いでありまた時として気の好い仲間だった女王陛下シェラザード―――その生命が狙われた事に心穏やかではなかったのです。


それに―――…


「いえ、やはり今回の事は信賞必罰を明らかにしないと…確かに私が可愛がっていた姪ではりますが、例え契約とは言っても事の善し悪しの判断が出来ないようでは私達一族の沽券にかかわります。 よって、厳正な罰を―――捕えたら事の如何を問わず極刑に処すべきかと…」

「ササラ―――…」 「確かに…言っている事は判るけど。」 「うむ、何も『事の如何を問わず』は厳しすぎるのではないのか。」

「いいえ、これは明らかなる罪です、本来なら今回の様な不届き者を出した里の責任は重大…即刻里の滅亡を打診するべきでしょうが―――彼の里の忍は優れた情報提供者でもあります。 なので…そこの処はご容赦のほどを……」


これが乱世―――850年前実際にあった苛政、『暴君』ルベリウスの時代に起こされた『叛乱』ならまだ理解があった事でしょう。 けれど現在は違う、『暴君』の二の轍は踏まないよう善政を施す現・魔王―――それを支える超大国スゥイルヴァン、その女王であるシェラザード、一体どこに叛乱を起こす理由が存在するのか。 だからその事を知っていたササラは、例え可愛がっていたとはしても今回間違いを犯してしまった姪一人の生命で里を救おうとしたのです。


          * * * * * * * * * *


それから数日後の事―――竜吉公主がシェラザードをおとないました。


「ん―――?どしたんりゅうちき。」

「(あ・の・ねえ~)まあいいわ―――今回はちょっと今後の事を話しておきたいと思ってね…その説明の為に提案の発起人の話しを聞いて貰えないかしら。」

「『提案の発起人』…なんか面白そうな話だなあ~。」


幸い毒は抜けきったものの、まだ静養は必要―――(と言う名目の下、しばらく冒険者としての活動を停止させられてしまっているシェラさん)

そんなところに竜吉公主がお見舞いを兼ねての表敬訪問をしてきた―――その理由もどうやら『ある提案』を持ち出して来た人物がいると言うのですが…


「(ん~?)ヘレナんとこのベサリウスじゃん、どったの。」

『“我がマイマスター”にはご健勝でありますようで―――』

「あのなあ~『ご健勝』て言われたって私ゃ毒盛られたんだが?何の皮肉だよ…」 「あはは~~ちょっとベサリウスあんた何考えて―――」


その提案を持ち出してきた人物とは、現在吸血鬼族ヴァンパイアの『公爵』として知られているヘレナを…元魔王軍総参謀ベサリウス―――この人物は850年前、現在魔王に君臨している人物に対抗する為にと、当時の魔王にして『暴君』として歴史に名を遺しているルベリウスが起死回生の為に魔王軍に採用した鬼謀の持ち主でした。 しかし今この人物が身を寄せているのは〖聖霊〗の神仙族の実力者…竜吉公主の下、それに竜吉公主とベサリウスとは浅からぬ因縁もありました、その因縁と言うのが前述したようにベサリウスは先代魔王ルベリウスによって召し抱えられた者―――片や竜吉公主は同じ時代に悪政・苛政を行う『暴君』に対し叛旗を翻した者…それより以前に、竜吉公主は彼の才を認め私財を投じて育てようとするなど力の入れ込みようだった―――のでしたが、竜吉公主が召し抱える前に『暴君』に横獲りヘッドハントをされてしまった……と言えば判り易かったでしょうか。

それが巡り巡っての現在、ベサリウスは竜吉公主の下に囲われている…(『召し抱えられている』と言う表現ではない事に注目を)

そう言った者が何かの『提案』を胸に秘めスゥイルヴァン女王の下を訪れた―――


{*ここで一つ、これから彼が提案する事を、実は公主は知らない…}


「で、何の『提案』だって?」

『“我が主マイマスター”死んでくれません?』

「(…)は―――?」

「(へ?)ななな…なんて事言うの~?あああ~~~す、すみません悪戯が過ぎちゃってえ~…」

[(……)なあ~面白い事ぬかしよんのぉ?ベサリウス君…おどれはこの私に『死ね』と?『死ね』言うたんかいやこるぁ。](エルフ語)

「あっ…あああ―――ちょ、ちょっと待ってね?シェラザード…ちょっとベサリウス!あんた言うに事欠いてなんて事を言うのよ。 それに、今回あんたから『現状の打開策としてとっときの案がでましたから』と言ってたじゃない!そりゃあんたからの案だからさ、間違いないと思って事前に聞かなかった私も悪いけれどぉ~~~」


なんともあった話しもないもので、超大国の女王陛下でもありヘレナ自身の“我が主マイマスター”でもあるシェラザードに真っ向から『死んでくれません?』と言って退けたのです。 その事を初めて耳にしたシェラザードに竜吉公主は色を成してしまい、シェラザードは感情的になってしまうと出てくる種属特有の“訛り”(?)に、竜吉公主は青褪めてオロオロしてしまう始末…しかしどうしてベサリウスはこんな突飛もない案を提じたのか……


『フフン―――フッククク…そうそう、それそれ、その反応が視たかった。 “我が主マイマスター”にしても公主様にしてもさぞや驚かされた事でしょうなあ。』

「お―――驚くのにきまってるじゃない…ああ~~申し訳ございません、陛下にお伝えする前に私の方でも聞いておくべきでした。」


「……。」


「あ、あのぉ~~~シェラザード―――陛下ぁ?」


するとベサリウスは彼女達の反応を見るや、自分の期待通りになった事に北叟笑ほくそえみ出したのです。 現在囲っている竜吉公主や『血の盟約』に従い“我が主マイマスター”と成っているシェラザードを揶揄からかって何がしたいのだと―――すると…


「―――なあベサリウス、あんた別に私達を揶揄からかおうってんじゃないんだよな?」

『“オレ”が揶揄からかう?冗談にしちゃ出来過ぎだ…それより聞いた話しによると“我が主マイマスター”は一時重体になったそうじゃあないですか…』

「それは―――本当よ…あの時どうしてかシェラザードの≪閉塞する世界に躍動する“光” グリマー≫の効果が見られず…それでササラの里の長殿から解毒薬を提供するなどして…。」

『で―――?その後はどうしましたか。』

「『どうしましたか』…つて、今視ての様に私ゃ全快復してんだが?」

『ですが…広く民衆には報せていない―――と…。』

「ま、早晩そうするつもりだけどさ。」

『(フフン―――)そいつは良かった、。』

「(ん?)どういう意味だ?そりゃ…」

『言葉通りですよ。 今“オレ”が発案したのは“我が主マイマスター”が全快復した事を『広く民衆にしらせた』後じゃ手遅れなんです。 なので―――しらせる前に『女王陛下は死んだ』って事にして貰わないと都合が悪い…』

「つまり―――“虚報”を流す…と。」

『ええ、まあ公主様の言っている事はそれで行程の半分なんですがね。』

「(フフフン…)なあーんか面白そうな話しじゃないか、“私”が『死んだ』事にする事が半分だなんて、そっから先の事―――とっくりと聞こうじゃなあ~い?」


事実、シェラザードは不正貴族が放った刺客の手によって一時重体にまで陥った…ものの、その後の応急処置で事なきを得たのですが、今回の事が突発出来だった事もあり、まだ詳細は広く民衆には報せてはいない…(とは言っても『快復の方向にはある』程度の事は流布されていたようで) そこへ―――鬼謀の才が言うのには『女王陛下が死んだ』事にすればいいと…これが揶揄からかい半分ではないならこの者が意図している事とは?


それがこれから話される…


『今回はちょっとばかり大芝居を仕込もうかと―――』

「『大芝居』?てなにするのさ。」

『“我が主マイマスター”の気心が知れた連中一揃え―――そこにゃもちろん公主様もですし、王太子のリルフィーヤ様、なんなら“主上リアルマスター”にも協力してもらいましょうか。』

「(な―――)魔王様まで?巻き込んで…何をしようと言うの。」

『おやあ~?おかしな事を言うものだ公主様。 個人が死んだとなりゃ付き物があるでしょうに。』

「『葬儀』―――それでリルフィーヤも参加なわけね。」

「なるほど…そこへ魔王様直々に弔意を示したとなると―――」

『フフン…いい具合に判って来たようじゃあないですか。 そう王太子の涙ながらの別れの演技に“主上リアルマスター”の哀悼のことばが付け添えられりゃ今回の事を画策した用心深い連中も警戒が払われる。 そしてお次は影武者殿だ、彼女はこれまでよく女王陛下の“影”としての役割を全うしてくれた――― 一部では女王陛下と知れずの内に交代を…との声も持ち上がる一方。』

「ああーーーあーれなあー、私としちゃ面白くもない話しだったんだが、ほらシルフィって私の身代わりやらさせてた頃からメキメキと私に迫る勢いで(内政の)技能スキル習得しちゃってさあ~。」

「(シェラ…あんたそれ、洒落んなってないわよ)でも、なんでシルフィが狙われなくちゃならないの。」

『少し、知恵の働く者でしたら、『実は女王陛下は生きていました』と、シルフィ殿を担ぎ上げようとするでしょう…向こうさんがそこまで読んでシルフィ殿に手を出したとするなら、そこが運の尽き―――てヤツです。』

「なるほどぉ~つまり私ゃ本当に死んでない訳だから、シルフィを襲おうとしている不正貴族からの刺客を前に、『ザア~ンネン―――“私”でしたあ~!』てなりゃ…」(ククク…)

『さあっすが“我が主マイマスター”理解が早くて何より。』(クフフフ…)


そう、そこにあったのが前述のやり取りの―――死んでいたと思われた人物が実は生きており、女王の死と共に超大国を乗っ取ろうとしていた不正貴族共の裏を掻いたのです。


{*余談ではあるが自分が囲っている者と女王陛下の、悪人顔負けの『今世紀最悪の悪い笑顔』を視てしまった竜吉公主は、『こんな表情民衆には見せられないわ』とさながらにして思ったようで…しっかし、全くの悪人顔が板についてしまった女王陛下って…一体。}





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る