第4話 “華麗なる勘違い野郎共” 再臨!!
ハルピュイアのバルバリシアと主従の契りを交わしたエルフのリルフィ。
その彼女が一人前の冒険者と成るまでの面倒を見る【アルテミス】ことアグリアス。
ここにリルフィとアグリアスの2人を中心とするPTは結成されました……が、目下の処と言えば―――
「ねえアグリアス、どうするの残りの構成員。 これって『募集』の依頼書を出した方がいいのかなあ?」
「ふむ……それも一つの手だが、既に貼り出されているのもいくつかある。」
「ふ~~~ん……確かにいくつもあるんだけど、丁度いいのがないのよねえ~。」
「あのぉ~~~コレなんかはどうでしょう?」
「ふむ…………条件は満たされているが、なんとも胡散臭いな?」
「胡散臭い?」
「本来ならば募集をする側も自分達の事を知ってもらう為に程度の“紹介”はするものだ、だがコレにはそんなモノが一つとしてない……」
「ふぅぅ~~ん……けど『2人組みを求めます』って言うの、これしか見当たらないし―――ひとつどんな人達なのか会ってみようよ。」
大概は不足分の構成員の補充をする為の『募集依頼』は、補充員が来てもらいやすいようにPTの紹介文を書いたりしたものでしたが…彼女達が見つけた『募集依頼』にはそんなものは一行も……
「(―――まずい……まずいいぞうぅっ~~~?これは………これは間違いなく―――!)」
リルフィ達の中では冒険者として一日の長があるアグリアスは、その2人を見て直感してしまいました、そう―――『まずい』と……
ではなにがどう具体的に『まずい』のか、それは―――……
「ねえええ~~~コーディ~~~!良かったよおぉ~~~私、辛抱強く待ってて……良かったよおおぉ~~~!!」(感涙)
「フッ―――この感動に打ち震えなさい!そして
「ヒュー♪ヒューー♪かぁっくいい~!さあっすがコーディ~!☆」
「(あ、のお~~私達……)」
「(ゴメンなさい、ゴメンなさぁ~~い!私が見つけてきたばかりに~~~)」
「(いやあ……この人達に会ってみよう―――って言い出したの私だしぃ……そんなに簡単に謝っちゃダメだってばよ。)」
「(いや……それよりも―――だ、な、ちょっとまずい事態になってしまったぞ。)」
「(えっ?どう言う事?まさかアグリアス、この人達の事を―――)」
「(知らなかった……方が幾分か良かったかもな、ああそう言う事だ、この者達こそ『要注意人物』―――)」
その“自称”を『
その言動の数々が頭の
「ハア~~~イヤイヤ、ここんとこ私達に声かける人ってトントいなくなっちっちきちーだからね~★爪に
「しかあーしッ!あなた達は実に恵まれてるッ!この神にも匹敵する実力を持ち合わせる我らか参入すれば、必ずやあなた達の名声が爆上がりする事をお約束いたしましょう!!そして……これによって、確実に魔界の歴史が改変されるにちがいありませんヌ!!そ~~~う、言うなれば新たなる歴史が紡がれる瞬間―――ヲッ??あっ、コラ待ちなさぁ~いっ!どこへと行くと言うのです。」
「あ゛~~~今回はご縁がなかった―――て事で……」
「どぉお~~しよお~~コーディー!私、今日食べるの乾燥した木の根っこの
「あ、あっ?!は、放してください~~どさくさに紛れて、私にしがみ付かないで下さぁ~~い!」
「ぬっ、ふっ、ふっ、ふっ、ふっ、ふ―――捕まえたわよぉお~?さああ~~どうしてくれようかしらねえ~~?」(ギラギラ)
「フッフッフ―――私の慧眼にはもう、『唐揚げ』や『タンドリーチキン』、『親子丼』から『もも焼き』にしか見えなァ~い、さあ~~さああ~~~この鳥が可愛いのだろう?ならばこの私達をPTに参入させるがよいぃ~~~!!」(じゅるぅり)
「ふえっ?私もう食材でしか見られていない??」
「ぬぐぐぐ……ひ、卑劣なッ!あんた達サイッテーよ!!」
「にゅふふふふ―――なんとでも言いなさぁ~い、それほどまでに私達は追い詰められているのよぉぉ~~困窮してるのよぉぉ~~~お腹ぺっこりぃーぬなのよぉおン!」(ハアハア フンスフンス )
~ぐぎゅるる……~
「(今……すっごい音がしたわねえ?)」
「(あ、ああ……これはこれで看過できないというか―――)」
どうやら“自称”ちゃんの証言―――『
{*ちなみにではあるが、厨二病患者(錬金術師)の方は大袈裟な身振り手振りの
「イヤ~ッハッハッハ―――助かりました、いくら無から有を生み出す我が魔法でも腹が満たされるモノは創造できませんからなあ~~」(ゲフゥ)
「(ふぅぅ~~~ん……そうなんだぁ……てかこの野郎共、
「あっ、スミマセーン! ここタピオカ一つ追加でお願いしまあ~す!☆」
「まぁだ食べんのカヨ!もう私のサイフ一文も残ってやしないわよ??」
「まあ……足りない部分は私が出してやろう。」
「あ、ソーナンデスカ~~やた~☆」
「あ、でも、もう注文の方はナシの方向で。」
「トホホホ……さげぽよぉぉ~★」
「そ~~れはいいんだけど、
「(……)えっ、じゃあ私達とPT組んでくれる―――って言う事でいいんでぷかあ?ヤター♪」
「(あ・れえ~?普通こう言う事を言われたんなら
見るに見かねて
そしてその心配はものの見事に
「(お……おいおい―――これって“酷い”ってもんじゃ…………)」
今の時代に於いてはあまり知られていない―――『迷惑コンビ』の復活は……今、ここにこうして―――成れり。
足りなかったPTの構成員を補充した―――までは良かったものの、その2人をPTに組み入れた事はリルフィの後悔する処……
あ、いえ間違いました―――訂正させてもらいます。
激しく大後悔していたのでありましたッ!!!
「いぃっくよぉお~っ!? 〖我と契約せし水の精霊たちよ、今こそ
「凄いです! あの人魔法も唱えられる魔法剣士さんだったんですね!」
「いやあ~~感心するとこそこじゃないって……ああ~~もう!そこら中“水浸し”にしちゃって―――」
「ああ……しかも―――」
どべっちゃあ~★
「ぶわああ~!また泥だらけになったあ~~~★」
「よく……足下が、見えてないんですかねえ?」
「いや今のも自分が作った足下の
「フッ―――ならばここは私の出番のようですな!……って、何をする、は、放せえ~~!!」
「いやいやいや、あんたの土魔法なんか使わさんよ?第一あの人の“水溜り”の上に土なんか加えたら、私達まで
「む? ならばもう一つの得意としている雷撃系の魔法など……」
「使うな―――ちゅうの゛!他人の話しを聞けえ~~!!こんな水気の多い処で電撃放ったら、ま・た・全員
「そうですよぉ、コーデリアさんも今少しばかりは……」
「―――では、私の華々しい活躍は?」
「お疲れでしょうから休んでください。」(ニッコリ)
「えっ?ですがしかし―――」
「お疲れでしょうから、どうか、休んでてください、いいですねッ!?」(ニッコリニコニコ)
「は、はい…………」(しょぼくれん)
「(
リルフィが心配していた事とは、自分の冒険者としての華々しい活躍のページが『
それにこの2人をPTに加えてみて判ってきた事と言えば、2人とも魔法の心得がありまた“高等”な魔法の使い手である事―――までは良かったのですが……まあ何と言いますか、使い処が少々間違っている―――水系の魔法を得意とする軽装剣士は辺り所かまわず“水浸し”にするし、土系と雷撃系を得意としている錬金術師は軽装剣士のフォローをしたいのかしたくないのか、いずれにしてもリルフィ達が迷惑になるような事しかしなかったのです。
{*その事について、普段は柔和で温厚なアグリアスさんが割と強めの表現で中止を求めたのはそう言った背景があるみたいである。}
しかも差し迫った事実として、この2人の妨害行為(?)によってクエストを受けてから3日経った今でも恐ろしいまでに進捗が進んでいないこの状況にリルフィは危機感を募らせるばかりだったのです。
それに―――面倒事はそればかりではなく……
「それでは、今から私めが上空からの偵察をしてまいりますね。」
「うん、頼んだよバルバリシア。」
「はいっ!どうかお任せください、私リルフィ様のお役に立ってみせます!!」
「(な―――ん・だ・と・お?)」
その一言は、PTの構成員ではない―――けれども一人の構成員の“従者”が口にした、他愛のない一言でした。
「(上空―――か~ら~のぉ~~て・い・さ・つ、だとおぉお~~!!?)」
そう、彼女……バルバリシアは
な・の・で・し・た・が??
ここに鳥の獣人族の少女が口にした言葉に、激しく対抗意識を燃やしちゃってしまっちゃった、ちょっと困った人が(笑)
「(ゲッ―――このバカ……なにハルピュイアの言動に対抗意識燃やしちゃってるのよ!?)あ……あのぉ~ぅコーデリアさん?どしちゃったんですぅ~?★」
「ゆ………ゆゆゆゆゆ赦さんゆるっさぁ~~ん!こぉーの私を差し置いて、大空を駆け巡るなどとおおお~っ!!」
「へっ? あの……私、何かまずいコトしましたっけ??」
「ええ~~っと……ナニコノヒト、発作?」
「ああ~~~いやいやいや―――……{ちょぉおおっと、あんた何やっちゃってくれてんのよお!?}」
「
「はい?いやですからこの者はハルピュイアで、私達にはない“翼”と言うモノを持っているから―――なのですが?」
「つぅ~ばぁ~さぁ~?翼なら持っているぞォ?ほら、その証拠に―――」
~ガッスン☆~
え゛っ??
「アラアラコーデリアさんの後頭部にきっしょい虫があ~~思わず力強く
「(今―――軽くキャラ崩壊……しかけましたなあ?リルフィさんや。)」
「(みたいだね……と言うより、この子に対抗意識を燃やすだなんて―――なんで?)」
「(ふえええ~~すみませんですぅ~~~!)」
今現在では、本来の自分達の
* * * * * * * * * *
{う゛~~~……むう?ここは一体―――}
{あんたバカなの?ねえ、あんた本当にバカなの??}(ずずずいっ)
{う゛……顔が近いです―――出来ればもう少し離れて……}
{そこじゃないでしょに゛っ!あんた自分とこの眷属の子に、なんで対抗意識燃やしたり嫉妬したりしてんの゛!!}
{えっ、あっ、いやまあ……大空を駆け巡るのは私達の専売特許でありまして―――}
{(コレダヨ……)あのねえ~今あなたのお蔭で軽く私のキャラ崩壊しちゃったんだよ?これでバレてちゃ元も子もないでしょーがっ!!}
{反省―――しておりますです……ハイ。}
そう、『大空を駆け巡れる』と言うのは翼を持つ種属にとっては他の、地上で暮らすどの種属よりも優位性と言うのはあったのです。
なぜなら移動に関して言えば地形に作用―――または影響されず、こうした冒険や戦闘に於いても上空からの攻撃や高高度からの偵察など、他の種属からしてみても羨ましい限り……だったようでしたが―――(ただし、天候に左右されてしまう嫌いはあった模様)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます