手紙

 昼の光がカーテンの隙間から差し込んでいる。なぜ空は晴れるのか。腹立たしいことこの上ない。しかし電気が止まっている今、部屋の中はその光がなければ見えない。僕は夏の熱がこもった部屋の中で、酒瓶を探した。寝起きは特に具合が悪い。手に取ったボトルから直接液体をのどに流し込み、エチゾラムを口に放り込んだ。


 正気を取り戻すと、窓際に置いてある机の上に一羽の鳩がいることに気付いた。窓が開いていたらしい。追い払うと鳩は静かに空へ帰っていった。


 鳥の足はグロテスクだ。うろこのようで、かたそうで。そう思っていると、机の上に封筒が落ちていることに気付いた。鳩が置いていった手紙。僕は笑ってしまった。クサをもらってくればよかった。もっと笑えたのに。僕は手紙をつまみ上げた。


「ラブ&ピース」


おもてにはそれしか書いていない。どうやらクサすら必要なかった。鳩のラブ&ピース。アル中には十分すぎる。僕はしばらく一人で笑い、もう一度手に取り、幻覚でないことを確認してまた笑った。


ラブ&ピース。くそったれのジョンレノン。中が気になる。震える手で慎重に封を切ると、物語が綴られた便せんが入っていた。


書いてあったのは戦争反対のメッセージを綴った物語だ。悪い話じゃなかった。心に訴えかけるものがある。読み終えた頃には、少し世界の悲しみに触れた気持ちになっていた。


「世界平和か。アル中には壮大すぎる話だ」


 久しぶりに無力さに取り憑かれた。


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