第2話競り
車で1時間くらい走ると競り場が見えてくる。
俺たちの、犬舎は田舎にあるからちょっと街になるのだが、それでも何にもない、だだっ広い土地に大きな駐車場とその倍のプレハブのオークション会場で何百匹もの競りが行われる。
犬種が少ないブリーダーでも繁殖期には、一度に10匹から20匹くらい出品するブリーダーもいる。
それを競り落しにくる、ペットショップのバイヤー達は、
真ん中を中心に周りを机と椅子が並んでおり、真ん中のゲージに競りあう1匹、1匹をオークション会場の運営者が、ゲージに入れて、マイクで金額を呼び上げる。
「トイプードル、ホワイト、メス」
ゲージに入れられたそのトイプードルは、周りのバイヤー達に見られているのを、ビックリしてなのか、クルクルと回っている。
ビビってずっと、バイヤーを睨み吠えている、犬もいれば、おしっこを漏らしてしまうこもいる。元気に飛び回ってくれると、こっちは、嬉しい。だって、1番かわいい所を見てほしいから。
競りは、ブリーダーからの売値が出るや否や。
バイヤー達は手に持ったボタンを押す。
ボタンを押すと、バイヤーの番号が掲示板に出る。
1人に決まるまで、金額は1000円ずつ上がりながら、あっという間に競り落とされていく。
だいたい、5~6万円が妥当だが。
犬種や大きさ、病気がある、無し、歯並びなどでだいぶ値段は変わってくる。
生まれ持っての先天性の関節の病気、喉や鼻の病気、心臓や股関節、膀胱など人間並に色々な病気がある子もいる。
オークション開催日には、獣医が常駐していて、安く予防注射や診察、薬などを提供してくれている。
色々なグッズや首輪などもほとんど卸値で購入できるので助かる。
入り口近くでは、小動物のブリーダーが、インコや亀、ハムスター、ウサギなどの販売がある。俺もハムスターとウサギを去年ちょっとおまけしてもらって安く買った。
出荷する子犬達も、まず到着したらパルボウイルス感染症にかかってないか検査してから、箱に番号を付けられる。
パルボウイルス感染症は、命に関わる病気で子犬が死亡する危険性が高い事で、ブリーダーも、バイヤーも気をつけている。
「今日は、多いから時間かかるね。」
バイヤーの後ろに立ってブリーダーは自分家の子犬たちを、今か今かと心配で待っている。
可愛がって育てた大切な子達だ。
別れは、寂しいが生活がかかっている。
犬の値段 ハメリュ @megu4445
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