犬の値段

ハメリュ

第1話

「おーい、このダックスと、プードルも乗せてくれ!」

車には、沢山のペットキャリーに1匹ずつ子犬が入れられている。

先週も、今週も、競りで大忙しだ。

子犬の世話や親達の世話もあるから、朝早くから、今日は親の餌やりをして、まだ出荷出来ないパピー達のお世話や、もう生まれそうな、妊娠している、ダックスと、プードルとミニチュアピンシャーの様子を見てから、出荷の準備に取りかかっていた。

「今日は、いい値が付くといいんだが、他のブリーダーんとこと、被んなきゃいいんだがな。」

「大丈夫だ、この間の子は、心臓が弱かったから、安かったけど、今日は、いいべ。」

若くて元気な親の子は、いい子が産まれやすい。

母親が若ければ、ミニチュアでも4匹くらいは産まれる。

歳を取るたびに、生まれる数も減るし、リスクが出る。

リスクとは、早く言えば奇形の子犬が産まれやすい。

手がなかったり、目が見えなかったり。

そんな子犬は、目に見えてないと思って、処分するしかない。

いくら、育てたいと言ってもらってもそれが100匹産まれたんでは、飼ってくれる人を探すのも、それまで誰が育ててくれるのか、考えるだけで、大変な事だ。

それよりも先に、普通の捨て猫や、捨て犬の飼い主だっていなくて、殺処分されてるのだから。


とにかく今日は、ミニチュアピンシャー3匹、ミニチュアダックスフンド6匹、ミニチュアプードルは、今流行りのアプリコット3匹、レッドが3匹色違いで小さめだ。

この、小さめが大事!1桁違う値段で売れるから、ブリーダーは、色々な手を使いティーカップやタイニーを産ませたい訳だ。

(ティーカッププードルまでは、いかなかったのが残念だが、しょうがない。また、次のジャンボの子に期待しよう!)

和爺は、いつかティーカップをと思い、血統の良い親を日本中駆け回ったり、話をつけたり、日々試行錯誤していた。

ブリーダーの、仕事は本当に大変だ。

代々続けていくのは、さらに大変なのだ。

それは、犬も人間もだが、だんだん自分の所や近い所でばかり、繁殖させると、奇形や頭が悪い子が産まれる事が多くなる。

遠ければ、遠いに越したことはない。

遠くは、外国のブリーダーにかけ合ったり、日本犬を販売したりもある。

もちろん、外国から輸入して、珍しい新種の犬をかけ合わしたり、繁殖させたりもしている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る