31ページ目.そのときは彼女をよろしく
「あのさ、漫画部に新しく部員に入ったんだけどさ」
オレは
「その子、1年の女の子なんだけどね、昔のトラウマから人の視線が怖くなっちゃったんだよ」
「へぇ〜、何があったの?」
阿舞野さんがコーラをストローで吸う。
「なんでも小学生の時、劇をやって舞台に上がったら、お客さんの視線で緊張して台詞が出てこなくなって、舞台上で泣き出しちゃったんだって」
「マジ!? アタシなら舞台で注目浴びたら、かえって張り切っちゃうし」
「それで他人の視線から守るためにずっと前髪を下ろしててさ、すごく野暮ったくて暗いイメージなんだ。彼女、前髪上げたらすごく可愛いのに。だからなんか自信をつけさせる良い方法とかないかな?」
ライバーとして人前に出ている阿舞野さんなら何か答えてくれそうだと、なんとなくそう思った。
「その子、可愛いんだ。ゆらっちって後輩思いなんだね」
そう言った阿舞野さんは少し寂しそうな表情を見せた。
「ん〜、自信つけさせる方法かぁ。ってか、アタシ、ちょっとその子に会ってみたくなったな。ね、ゆらっち、会わせてくれない? 直接話した方が自信つけられるかもしれないし」
今度は表情を一変させて、阿舞野さんはニコッといつも通り笑ってくれた。
「うん。その子に聞いてみるよ」
ふわりちゃんにライバー部の人気者、阿舞野さんと会ってみないか、一度聞いてみよう。
彼女自身、何か変わるかもしれないし。
もしオッケーなら阿舞野さんによろしく頼もう。
「その子に会えるってなったら連絡ちょうだい。てか、アタシのコーラ無くなったから、ゆらっちのメロンソーダ、一口もらうね」
そう言って阿舞野さんはオレのメロンソーダのストローに口をつけ飲んだ。
って、これって間接キスじゃ!?
いや、マスク越しのキスしたぐらいだし、阿舞野さんはそういうの気にしないかな。
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