第17話 合唱コンクール 前編
中学の時、誰しもが経験するであろう「合唱コンクール」。美しいハーモニーとは裏腹に波瀾万丈があるのは承知の事実。
男子は
「かったりー。なんでやんなきゃなんねーんだよ」
と非常にダルそうにやる。すると、何というか「合唱コンクール」をするためだけに生まれてきました!!と言わんばかりの女子達がキレる。
「ちょっと!男子しっかりやってよ!負けちゃうじゃない!」
と檄が飛ぶ。女子達にとっては「合唱コンクール」とは発表会ではなく「勝負事」な様だ。いつもよりも女子達の怖さが増す。指揮は勿論女子だ。
「なんでみんな……ヒクッ、ヒクッ、ちゃん……ヒクッ…と……ヒクッ……やってくれないのぉ?……ヒクッ」
クラスはその女子の泣き声以外声も音すらもない。そしてその子の友達が
「〇〇と〇〇がちゃんと口開けて歌ってないし、〇〇と〇〇と〇〇!ふざけないでちゃんとやれ!」
(こいつ、家でこんな感じなんだろうなぁ。もし、姉だったら何回ぶち殺されてんだろう……)
そう思っていると、次は先生のお説教が始まる。
「俺はお前達をずっと見てたけど、一度たりとも真面目にやってる姿を見れなかった。何故〇〇が泣いているのか分かるか?それは全力でやってたからだ。お前達はどうだ?涙が、悔しさが出ないことに対して悔しいと思わないか?」
(お……思わねぇ)
男子の総意はほぼほぼ同じであろう。続け様に先生は
「俺は良いよ別に最下位でも。でもお前達は悔いが残るぞ。なぁ、一度、本気でやってみないか?もう先生はこれから何も言わないから」
そう言って先生は教室を後にした。
後半へ続く
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