第16話 馬鹿じゃないの?
中学の期末試験前、もうテストを諦めたのか、前の席の○浦という奴がちょっかいを出してくる。
(うぜぇ)
そう思っていると
「ほりぃくぅん、ほりぃくぅん、ひてひて(森君、森君。見て見て)」
と○浦の野郎が僕の新品の消しゴムを口の中に入れている。人生で口に消しゴムを入れている奴を初めてみた衝撃と、消しゴムどうすんの?という怒りで頭が真っ白になり煙が上がっていた。すると奴は
「森君そう怒んなよ。ほら」
(ああ、新しい奴を用意してたのね)
「ったくヒヤヒヤさせんなよ、もう試験始まるし、勉強させてくれ」
「ごめんごめん、ほら」
コロンっ
転がってきたのは僕の消しゴムだった。更に奴は歯型をつけて返してきたのだ。唖然としていると先生が教室に入ってきて
「静かにしろぉ。これから試験を始める。これから変な行為をしたら、それもカンニングとみなすからな!」
新品の消しゴムを噛まれたことのショックが大きく、先生の話が耳に入ってこない。
そして最悪だったのが、プリントを配る前に○浦が、
「そいやぁ、俺消しゴムねぇんだわ。貸して。」
と消しゴムを取っていったのだ。焦る僕。小声で
「返して、ねぇ、返して」
と言っていると先生が
「そこ喋んなぁ!!」
とのお叱りが。結局シャーペンの裏の消しゴムでなんとか乗り切った……。許せねぇ。いざという時以外には使いたくないシャーペンの裏の消しゴムを使わせやがって……。
「森君助かった!これ返す」
と歯形がついた角を遠慮なく四つ全部使った消しゴムが返ってきた。僕は無言でゴミ箱に叩きつけた。
次の日、奴の椅子にチューイングガムをくっつけてやった。やられたらやり返す。当たり前。タダでは転びませんよ、僕は。
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