第十一話 アライさんvsウニの家族

アライさんは寿司を食べた疲れから船の中で寝ていた。アライさんは一人旅出来たからツイッターか寝るしかないのだ。アライさんが寝るといつも夢枕には誰かが現れる。今日の夢枕に現れたのはあのずんだもん、では無かった。


「アライさん、生きてるか?私はウニの神だ。アライさん、ウニは好きだな?答えはいい、私はアライさんがウニ好きのSだということは知っている。だからウニは怒っているんだ。アライさん、私は気に入らない奴をぶん殴るのが好きなSのウニだ。近いうちにウニはアライさんを倒しにくるだろう。サンドスターで平行世界に逃げても無駄だ。ウニに震えて眠れ」


「は?夢の中だからって長文すぎやしないのだ?それにウニって」


明晰夢を使えるアライさんはそう小馬鹿にしたかのように言ったが、まさか後日、本当にウニが来るとは思っていなかった。

でも、ウニの神って何だよ。それにしてもウニって美味いのだな。サーモンが一番だけど2番目はいつもウニ、締めもウニか卵な位ウニが好きなのだ。ウニのこと考えてたらウニが食べたくなってきた。パークセントラルに着いたら回転寿司寄って帰るのだな。

今日の昼ごはんが決まったアライは二度寝、夢の中の30分は3分だ。夢の中でアライさんは動画編集の新テクを開発する。さらに、夢の中にずんだもんをたくさん配置する方法も開発した。アライさんキングダムの完成に一歩近づいた。現実世界でもアライさんキングダム、リリースしてみたいのだな。


「まもなく、パークセントラル。パークセントラルに到着します。」


セントラルの港は巨大だ。寿司屋もたくさんある。アライさんの行きつけの回転寿司があるからそこに向かう、ハズだった。

スマホがバイブレーションするとそこには非通知の電話。アライさんは肝が据わっているので電話に出るぜ。


「もしもし、アライさんはアライさんなのだ。」


「アライさん、起きたようだな。私はウニの神だ。さっきから見ているがまた寿司を食べる気だったな?これからウニに襲われるというのに、舐められてるのかな?」


「ウニの神?あの夢の中にいたやつか!?何で現実世界にいるんだ!ありえないのだ!」


「あり得てるんだよアライさん、現実だ。アライさん、私は感謝はしているぞ。このウニの神を作ったのはアライさんの夢だから。だが、ウニ食いは許されないし許さない。今アライさんの近くにウニのヒットマンを送っておいたよ。ダイオウセルリアン戦で疲れたアライさんに倒せるかな?楽しみに見させてもらうぞ。頑張れ!死ぬんじゃない!アライさん!」


よく分からないことを言って電話を切られたウニの神はアライさんが作っただと?確かに夢の中で生命を想像したことはあるけど...


「ん?まさか、あの時のだ!?一時期ウニを毎日のように食べてた時に作ったウニのマスコット、マジかよ。」


確かにアライさんはウニの神を作っていた。しかしとんでもないことになった。アライさんの夢が実体化するなんて、チョーSのパーク職員にバレたらサンドスターレベルに研究の対象になりそうなのだ。いや、そんな事を考えている場合じゃない、今からウニが襲ってくるのだ。ウニは強いぞ、毒を持ったガンガゼ、超防御のパイプウニ、物量のバフンウニ、潜伏のラッパウニ、俊敏なムラサキウニなんかもいる。油断はできない。フェネックも今日はバイトがあるから助けにきてはくれない。アライさんが何とかするしかないのだ。


「ミツケタゾ、アライサン。スイボツプレイ、シヨウゼ?」


何!?ここは陸上だぞ!何故ウニの声が!?

でもアライさんは海から10メートルは離れている、ウニに何ができるというのか。


しかし、その考えが甘かった。海面から無数の触手が伸びてきてアライさんを掴んだのだ。

このウニ、能力者だ!自身のトゲを変質させて触手のように伸ばしたのだ!


「ヤバッ!ぐおぼッ!」


「おい!今誰か落ちなかったか?あ、アライさん!?今助けてやる!」


「だ、ダメなのだ!漁師のおっちゃん来ちゃだめなの...だ。」


「なんやて?よく聞こえ、、グオっ!?」


鞭のような触手に打たれたおっさんは吹き飛び、建物の鉄骨に叩きつけられ気を失った。

なんてことを、


「ジャマモノハキエタゼ、アライサン、水中ブリッジ3分間、イケルヨナ?」


水中にいたのは直径50cmはある化け物級のムラサキウニだ。脳内に直接話しかけてくるし触手でアライさんを容赦なく水没させる!


「(マズイ、息継ぎをしなきゃなのだ)」


「させねぇよ、イケ!パイプウニ!」


「ウッス×複数」


「(のだ!?)」


さらに追い討ち、回転するパイプウニの集団がアライさんに襲いかかる。パイプウニは針が太く丈夫なので当たると痛い。アライさんだからいいけど人間なら致命傷の威力だ。くそったれ!痛い!

これは夢で開発した新テクの出番のようだ。

ウニの神が実体化したならアライさんの技も実体化できるはず。


「(アライさんラウンドスパーク!!)」


バチィイッ!!!


「グオォオオオオオオオオオオ!!」


アライさんの発した電撃で触手は離れパイプウニ共は海底に落ちていく。その隙にアライさんは浮上、息を吸って周りを確認。ウニ共のせいで陸から10メートルくらい離されてしまった。倒したらウニ寿司食べてやるからな。

その時、足に何かが刺さる感覚がやってくる。

この痛みは、毒ウニ、ガンガゼの毒針だ。アライさんは毒耐性があるからいいけど、痛いもんは痛いのだ。

海面から顔を出しているから海中の様子は分からないけど、きっと折れたガンガゼの針がそこら中に浮いて大変なことになっているハズだ。

アライさんのテク、水流操作でどかすしかない。


「ぬおおおおお!クソウニ共がああああああ!」


水中に竜巻のような渦を発生させると毒ウニの針を集めると海底にいるクソデカウニにぶつけておく。


「痛いじゃないか、アライさん。だが、ソンナ攻撃、ウンコだぜ。」


「そう言うと思ったのだ。コイツを喰らえ!アライさんシャーク!水のサメに食われるのだ!」


「ナニィ!?渦の中から無数のサメが!?ウワアアアアアア!!針を食うなあああああ!中身が出るウウウウウウウ!!嫌だ!助けて!ママァァァァアアアアアア!!くぁwせdrftgyふじこlp!!」


テレパシーで奇声を上げながらアライさんシャークに食われて50cmデカウニは絶命した。司令塔を失ったからか取り巻きのウニも大人しくなる。アライさんは海から上がることができたぜ。体中磯の匂いでキモいのだ。アライさんは近場でシャワーを浴びなければならない。


しかし、陸に上がって違和感を感じた。通行人がアライさんの方をギン目で睨みつけている。アライさんの激臭がそんなに気になるのかな?アライさんは尻尾は魅力的だから見惚れてるのかな?とか尻尾を弄りながら考えていると、なんと人間達が無言で殴りかかってきた。


「あぶな!何するのだ!、え?」


マジかよ。よく見たらコイツら目がイッちゃってる。催眠術にかかった人間の目だ。アライさんなら倒すのは簡単だけど流石に無実の人間を殺すわけにはいかないのだ。


それにしても、どうしたというのだ?まさか、ウニの攻撃はまだ続いているというのか?

さっき倒したウニが言っていた"ママ"の仕業なのだ?高度に進化したウニは超能力を使えるという、きっとそうだ。ならば、本体のウニを探し出して倒さなければならない。アライさんを正確に攻撃してくるということは、つまりアライさんを観ているということ。そう離れてはいないハズなのだ。


その時だった、海から不自然な水飛沫が見えた。イカ系シューティングゲームをしてたから分かるけどきっとあの場所なのだ。ウニは潜伏が下手くそなのかな、アライさんはそう思いながら催眠人間の攻撃をかわしつつコンクリートブロックを拾って投げつけた。

すると10メートルくらいはありそうなウニが姿を表した。なんと透明化していたのだ。

しかもあまりのデカさにウニの頭が水面から出ている。お化けなのだ。


「ヤバイ、見つかった。アライグマ如きが。人間!早くそのアライグマを始末しろ」


「グォォオオオオォオオオオ!」


ニンジャのように素早くなった人間がアライさんに襲いかかる!ウニの本気という奴だろう、だがそんなものアライさんには通用しない。

アライさんは水を操作して人間の口を塞ぐと水没プレイの開始だ。アライさんじゃなきゃ10秒も持たずノックアウトだ。


「人間に水没プレイだと!?鬼畜が」


「知らねーよ、そんなの」


催眠人間を無力化したアライさんは巨大ウニへ攻撃を始める。子供ウニみたいに水ザメの餌食にしてやるのだ。


「アライさんシャーク!!」


アライさんが出した水のサメがウニに襲いかかる。


「させるか!ニードルガード!!」


ウニも負けじと野生解放するがサメが一枚上手だった。


「くっ、何だこのパワー...ガードが、破られるッ!?ぐぬぬ...う、うわああああああ!!食われるうううううううううううううううううう!?」


巨大ウニは海の藻屑になった。

子供ウニから受けたダメージがまだ痛むけどアライさんの勝利だ。その時、脳内にあの声が響く。


「アライさん、流石だな。あの親子を倒すとは。だが我々は諦めない、マーライオンが負けようが私、ウニの神が負けようがお前だけは絶対に倒すぞ。アライさんのようなめちゃくちゃな性能のアライグマがいていい訳ないからな。」


そう言われた。


「温泉で戦ったマーライオン、ウニの神の知り合いだったのかよ。しかもアライさんを絶対倒す!?狙われる意味が分からねーのだ。」


アライさんが港を後にして寿司を食べに行こうとする。しかし、直後アライさんの視界がグルグル回る。ガンガゼの毒を受けすぎたのだ。そしてそのまま意識を失うと次に目覚めたのはジャパリ病院だった。視界にはフェネック。

フェネックが言うには半日ほど意識が無かったらしい、


「アライさん、ウニと戦ったのだ。」


「知ってるよ、ツイッターで話題になってるし。ほら」


ツイッターを見るとトレンドにアライさんの文字、ウニと戦う様子が動画で撮られていたのだ。アライさんのフォロワーはすごい増えてるし直前にツイートした「うんちなのだ!」が万バズしている。


「アライさんまたやってしまったねぇ、私も誇らしいよ」


「何でフェネックが自信ありげなのだ?...」


駆除業者でツイッタラーでアライグマなアライさんの評判がさらに良くなった。

アライさんの時代来ちゃうのかな(笑)









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