第五話 サーバルってマジ狂乱
サーバルの額のM字は暴走すると呪になるんだって(笑)。昔住んでた村でイノシシみたいにでかい色黒のおっさんが言っていたのだ。
あのいつも見ているサーバルは真の姿を表していない、第1形態のサーバルだ。
知らねーよ。なんだその設定、ワザップにしかそんな情報載ってねーよ。とか思ってアライさんはまともに聞いていなかった。しかし、アライさんは新作サメ映画「帰ってきたスペースシャーク」を見に行った時にその呪サーバルに遭ってしまったのだ。
アライさんは今日は休みなので映画館にジャニ系の新作映画を見に行くことにした。フェネックはサメ映画アンチだしマネージャーは仕事で忙しい、カコミスル師匠はエルデンリングとかいうゲームで忙しいらしい。だから今日はアライさん一人で見に行くのだ。
さっそくパーク中をグルグルしているサーフ系の水色をしたバスに乗り込むとセントラルパークの繁華街まであっという間に到着。映画館の前まで来たのだ。しかし、ここでアライさんは違和感を覚えた。普通の映画館のハズなのに中からは強烈な殺戮オーラが漂ってくる。アライさんはアライグマのフレンズだ。匂いで危険な奴がいるかどうか分かってしまうのだ。
少し警戒しながら中に入ってみたが殺戮オーラを放った人物は見当たらない。
「気のせいだったのだ?ならいいのだが」
そう独り言をつぶやきながら発券機でチケットを取るとポップコーンとコーラを買ってスクリーンに進んだ。座席はほぼ満員、流石公開初日だ。パークでは最近サメ映画ブームだ、あのマーゲイもペンギンアイドルでサメ映画を撮影して「フレンズもサメになるんだな」「マーゲイ監督はフレンズの撮り方が素晴らしい、サメになっても相変わらずですね」「ペンギンサメアイドルなんて発想どっから出てくるんだ?」
と話題になっていた。
今回見る"帰ってきたスペースシャーク"は前作で宇宙に追放されたスペースシャークが再び地球に飛来、宇宙遊泳中に身につけたあらゆる新テクで日本をパニックに陥れる。そんなストーリーだ。予告映像で全部ネタバレしてしまう辺りがサメ映画らしいのだ。しかし、ネタバレされたからといって面白さが減らないのがサメ映画だ。サメの演出、CG、効果音、人間の悲鳴、監督の趣味嗜好、全てが楽しみなのだ。
そして映画が上映、
「船長!何かがこちらに向かって落ちてきます!」
「何だって!?あの形は、サメじゃねーか!」
「きゃあああああ!スペースシャークが帰って来たんだわあああ!日本も終わりよ!」
「ああ、どんなものにも終わりは来る。だが今じゃない!ウィイイイン(チェーンソー起動)」
「スペースシャークの宇宙線だ!お前達!アレを実行するぞ!」
「了解!CODE:EL!電磁バリア展開!」
「出力安定!艦体損傷無し!やりました!」
「今よッ!!」
「最後はやはりあの男か...行け!ぶっ倒しちまえ!!!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
「グオォオオオオ!!?」
という感じだったのだ。アライさん的には◯なのだ。特にサメのCGは前作から進化していてサメ映画らしからぬ迫力のある画に仕上がっていた。そしてシナリオも悪くなかった。所々に見られる名作映画のパロディ、無駄な人間パートを入れず常にサメ中心でストーリーが展開される点もストレス無く見れて良かった。映画館に来て見る価値はあると思うのだな。
サメ映画を楽しんだアライさん、結局殺戮オーラの正体は何だったのだろうか?と考えもせず映画館を出た。その時だ、アライさんの横を見慣れたフレンズが通り過ぎた。
サーバルキャットのサーバルだ。サーバルも映画館に映画を見に来ていたのだ。
「おお!サーバルも映画を見に来ていたのだな!これから帰るのだ?じゃあ一緒に映画の感想でも語り合おうなのだ!」
「......の...のろ...」
「え?何なのだ?」
「呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪」
「ヒィッ!?なのだ」
サーバルはあのルーラーセルみたいに首をガタガタさせながら"呪"と連呼を始めたのだ。よく見たら目がおかしい、薬をキメた人間のソレだったのだ。
「何だ何だ!?あれはサーバルちゃんじゃないか?」
「おい、様子が変だぞ!救急車呼べ救急車!」
「待って!何か言ってるわ!」
「ママ、アレどうしちゃったの?」
「見ちゃダメよ」
「こ...ろ...ろす...ウリィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!」
それはいきなりだった。サーバルはよく分かんねー奇声を上げたかと思うと野生解放して通行人に襲い掛かったのだ!!
「ッッ!?何してるのだ!?サーバル!!」
アライさんが間に入り腕に纏った氷の鎧で爪を受け止める。よく見たら頭の文字が"呪"になっている。いつものサーバルじゃない!
「まさか、野生暴走なのだ!?」
「グルルルルルルル...」
昔聞いたことがある。フレンズには稀に野生暴走という現象が起こるという。野生暴走したフレンズは獰猛になり、体の一部が変化することがあるらしい。確かサーバルの場合は頭に"呪"の字が浮かび"呪バル"を名乗るようになるのだ。
「呪バルは、呪バルは...最強のフレンズなんだよおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「意味不明なのだ!?頭を冷やせなのだ!」
このサーバル、マジ狂乱なのだ。この場にアライさん以外に戦えるフレンズはいなそうだ。
アライさんが止めるしかない!
「サーバルは友達だが、少し手荒に行かせてもらうのだ!」
「アライグマ如きが、勝てるわけないんだよ!」
サーバルの爪は強力だ。アライさんが出した水柱を全て切り裂き距離を詰めてくる。
爪の射程に入ったらアライさんに勝ち目はない。バックステップでサーバルから距離を取ると同時に氷の壁を出現させ進路を妨害する。
壁はサーバルの爪でも破壊できない。だがそれはいつものサーバルの話だ。
「漆黒のサバンナクロー...」
バキィイイインッ!!!
サーバルの爪は黒くなり氷の壁を簡単に破壊したのだ。
そしてサーバルはアライさんの目の前、爪の射程だ!このままではやられてしまう!!
「ッ!?ヤバいのだ!?」
「これで終わりだよ!疾風のサバンナ...」
絶対絶命だ!
しかし、アライさんは視界の端にあるものを捉えた。拳大の小石だ。
「これだ!サファイアスプラッシュ!!」
水流で小石をサーバルの顎めがけて打ち上げる!!
「んにゃあああああああああ!!!!」
クリーンヒット!サーバルは回転しながら地面に落下、たまらず悲鳴を上げ転げ回る!普通の人間なら意識を失うのに流石のフレンズだ。
「悪く思わないで欲しいのだ、マジカルウォーターハンド!」
アライさんの手からでた水の龍はサーバルの首に噛みつき、そのまま絞め落とした。
気絶したサーバルの頭の文字は"M"に戻っていたが魔人の"M"だったら困るのでジャパリ病院に連れて行って検査をしてもらった。
「サンドスターの流れが不安定になっていますね。放置したらまた野生暴走してしまうかもしれません。入院してもらってしばらく様子を見ましょう。」
「分かったのだ...サーバルの野生暴走は無くせないのだ?」
「暴走するのを抑える薬はありますからそんなに深刻に捉えないで下さい。野生暴走はフレンズにはありがちですからね。」
「そうなのだな。サーバルを頼みますのだ。」
サーバルは入院することになった。サーバルの同居人?にも連絡してアライさんは帰路についた。
「今度見舞いにジャパリバーガーでも買っていくのだな。」
映画を観に行っただけなのにまた戦ってしまったのだ。アライさんは強いけど休日くらいはゆっくり休みたいのだな。
さて、家に帰ったら今日の冒険をフェネックに話してやるのだな。
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こんにちは、筆者のてんてんです。
今回戦った相手は暴走サーバル、頭の文字が"呪"になったサーバルでした。ツイッターで攻撃的なツイートをするサーバルアイコンを見て「次の対戦は暴走したサーバルにしよう」となりました。呪サーバルはアライさん強さランキングのAランク相当の強さで大体無印の巨大セルリアンを1人で倒せるくらいです。野生暴走の力を完全制御できればアルティメットサーバルになれるかもしれないです。現状Sランクのアライさんにも勝てるかも!?
今回、架空のサメ映画と架空のサーバルについて妄想をそのまま書けたのは楽しかったです。
次は何と戦わせようかな?
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