第三話 シマハイロボと握手会

この間のスズメバチ退治の時にシマハイロボ握手券を貰ったアライさん、今日はフェネックと一緒にシマハイロボのお披露目会&握手会をしにセントラルパークのショッピングモールに来ていた。


「アライさ〜ん、シマハイロボのお披露目始まっちゃうよ〜」


「待つのだ!アライさんを置いてかないでなのだ!フェネック〜」


2人は階段を駆け登ると5階のシマハイロボ特設会場に着いた。そこには、既にたくさんのヒトとフレンズが長蛇の列を成していた。


シマハイロボってパーク1の人気者なのだと思って列に並んでいると会場にシマハイの声が放送された。


「はいコンコン!キツネ系Vtuberのシマハイイロギツネと申します!ってことで何とシマハイロボットになってしまいました!みんなたちもシマハイロボ、最強のシマハイロボの握手会!是非是非楽しんでいってください!」


「うおおおおおおおおおおおお!すげぇ!☆本当にシマハイの声で喋ってる!」


「シマハイロボかわいい!!早く私の番来ないかなぁ」


「ロボットになっても尊いだと!?こんな、こんなの僕のデータに無いぞ!?」


「おぉ〜すごいねアライさん、ガチのシマハイだね〜。私シマハイガチ勢だからこう見えて今野生解放しかけちゃったよ」


「うんうん、アライさんにもその気持ち分かるのだ!今の内に話す内容考えとかないとなのだな」


「うっ、何か緊張してきた。大好きなシマハイを前に意識を保てるかなぁ?アライさんで落ちつこうか〜」


ギュッ!


「そんな強く抱きつくんじゃないのだ!」


2人で仲良くシマハイ愛を語っていると、遂に握手の順番が回ってきた。

先に行くのはフェネックなのだが...無事にできるのだろうか?


「わっ!本当シマハイだ!私シマハイ大好きなんです毎日見てます最高すぎて泣く、あっ...」


「シマハイすこすこ侍ちゃんいつもありがと!センキュッ!ばいコンコーン♫」


フレンズとは思えない裏返った声が聞こえてきたがなんとか生き延びたようだ。


次はアライさん...と思ってシマハイロボの方に向かっていると


「モォオオオオッー!!」


何と、隣の牛追い祭りの会場からアライさんの倍くらいはある黒い牛が突進してきたのだ。

当然アライさんはフレンズらしく機敏な動きで避けた。だがその先にある物がマズかった。


ガッシャアアアン!!


「シマアアアアアアアア!!!!」


シマハイロボだ、シマハイロボが牛に跳ね飛ばされてしまった。その衝撃はロボット一台破壊するのに十分だった。


「シマハイロボ!大丈夫なのだ!?」


すぐにアライさんはシマハイロボに駆け寄ったが様子がおかしい。


「シマ、シマシマ、シマハイハイ、シマシマシマシマシマシマシマシマハイッて誰だ?シマハイはシマハイではない?なら誰?人間?神?ズババババババ」


思考回路が完全に破壊されマジ狂い、クスリをキメたビルダーみたいにロボガタイを痙攣させる 訳わからない声をあげていた。


「ダメみたいなのだ...死んじゃうかもしれないのだ...何とかしないと」


「私、スタッフを呼んでくr」


フェネックがスタッフを呼びに行こうと動いた瞬間だ、何者かによってフェネックが勢いよく吹き飛ばされた。


「グオォオオオオ!!ナンデシマハイの家にニンゲンがいるんだよォオオオオ!!駆逐シテヤルウウウウウウウウウウ!戦闘モードに移行しシマス」


「フェネック!が心配なのだが...何か暴走し始めてないかなのだ?」


そして次の瞬間、シマハイロボがアライさん目掛けて飛んできたのだ!

両手からはビームソードのような物を出していて当たったらフレンズでも真っ二つにされてしまうだろう。

しかしそこはアライさん、ロボットの殺気を読んで攻撃をかわす。


「攻撃は単調で避けやすいのだな、後は隙を見て緊急停止ボタンを押してやれば勝ちなのだ」


アライさんはロボットには大体付いている緊急停止ボタンを探していた。能力のウォータカッターでバラバラにしてもいいのだがシマハイロボを破壊するなんて残酷なことはできない。

アライさんは優しいアライグマなのだ。


「おケツにボタン見つけたのだ!とりゃあああああああ!」


ロボットの背後を取ったアライさんがボタンを押そうとする。

しかし、


ギュイン!ギュイン!


衣装のスカートの中からビームを発射してきてアライさんはなんとか回避したが牛に直撃。首と胴体が真っ二つに切り離され絶命した。


「モォオオオオ'''!!!コ°ッ!!」


「なんてことを...南無阿弥陀仏なのだ」


そう言っている間もシマハイロボの攻撃は止まない。


「アライグマの三枚おろし!ヤキニク!細切れ!!」


斬撃とレーザー攻撃でアライさんは全く近寄れない。そして攻撃の度に建物が破壊されていく。倒壊しちゃうかもね(笑)


その時だった。ロボットの管理者らしき色黒マッチョのイケメンがバックヤードから出てきた。早く暴走を止めて欲しいのだが...


「シマハイロボ!そこまでだ!今遠隔緊急停止ボタンを押してやるからな。堕ちろ!」


カチッ!


カチッ!カチッ!


何度かボタンを押すとシマハイの動きが止まる。


「やったのだ!?」


「システムエラー、コマンドを実行できません。エラー、エラー、自爆プログラムを実行します。いいよな?」


「よせ!シマハイ!君は初の完全自律フレンズロボなんだ!爆発なんて早まるな!...くそっ、ダメだ。一度ああなったら何も受け付けないんだった...みんな逃げろ!このロボットはあと10分で爆発する!急いで!」


シマハイの爆発が決定した。自爆機能ってちょーSだよな?なんてこと言っている暇はない。

アライさんは気絶したフェネックを持ってショッピングモールの外に避難した。


迅速な対応のおかげか死者は出なかったのだがフェネックのように軽傷者が何人か出てしまったのだ。主催者も会見を開いてしジャパリニュースで2日以上?3日以下?話題になった。


「近年、ロボット産業が盛んになってきているのだ。今日のシマハイロボのように突然暴走する事故もあるかもしれない。人とロボット、そしてフレンズとの共存が課題になってくるのだろう。ロボットはロマンである。しかし、レーザーや自爆機能は必要だったのだろうか?カッコいいのは分かるのだが、安全性は考えなかったのだろうか?開発者の方々にはよく考えてもらいたい。ロボットがいる社会でどのようにするのが理想か、フレンズにも受け入れられる優しい世界観を含んだロボットは作れるのか、どうしたらアライさんと戦わずに済むのか、考えてくれなのだ。アライさんが言いたいのはそれだけなのだ。災難な握手会にはなってしまったけどフェネック的には満足だったみたいだから良しとしようなのだな。」


終わり


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第三話 シマハイと握手会、握手会に参加しただけのアライさんがまたしても戦うことになってしまいましたね。まぁ、これからもアライさんは色んな強敵、災難と戦うことになるんですけどね(笑)、でも安心してください。アライさんは無敵です。戦車で轢かれようが何しようが死なないはず...さて、次に立ちはだかるのはどんな敵なのでしょうか?第四話に続きます。
















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