第五話 「Игра в угадывание чисел(数当てゲーム)」

「おっ またコムソモーレツの二面に


 礼文の記事が掲載されてるな...」


「あ~、いや~....アハハ...」


"成果至上主義"


「ここん所のお前の記事の掲載率、


 かなり高いな...


 やっぱ、河野総局長と付き合ってるからか?」


「かも知れないですね...」


「(礼文・・・っ)」


編集長席の前に設置した衝立の影から、


室内で話し込んでいる中根と礼文に


隆和が目を向ける....


「これだけ掲載率が高いと、また


 別の役職とか付くかもな...モグモグ...」


「Вы можете уйти отсюда


 через немного больше


 времени

(アンタももう少ししたら、


 ここからいなくなるかも知れないね)」


「そ、そんな事ないっすよ~」


「(礼文・・・っ!)」


【掲載率至上主義】


"ダンッ!


「(礼文・・・っ!)」


"バララララララ....


衝立の裏から自分の席まで戻ると、


その席の上に積み上げられたピラミッドの形をした


トランプタワーが目に入ってくる....


「("礼文"よ・・・っ!)」


"ビュンッ!"


「ッ―――!」


自分の顔の高さ辺りまで積み上げられた


トランプのタワーに向かって、力を込め、


拳を思い切り振り下ろす!


"ダンッッ!


「――――?」


「――――ひ、ひぃぃぃいいっ!」


「どうしたんだ? 三咲?」


「い、いえ、今何か、物を叩く様な音が....」


「・・・・?


 気のせいじゃないか?」


「い、いえ、確かに・・・」


「・・・・」


三咲の隣に座っていた中根が


部屋の中を見渡すが、特に室内に


変わった様子は無い


"ダンッ!


「ひ、ひぃぃいいいいっ」


「おかしな奴だな・・・」


「(礼文・・・・っ!)」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


【掲載率至上主義】


「(礼文・・・)」


Earth nEwsがアラベスク、日朝本社の


合意形成の元に発刊し、


その影響かここ藻須区輪亜部新聞社で


仕事をする隆和たちの仕事の状況にも、


かなりの変化が起きていた...


「(基本は、局の人間でアロ・コムソモーレツや


  Earth nEwsの記事を


  構成するみたいだが...)」


アラベスク、そして日朝本社が合同で


電子版の運営に携わる


"Earth nEws"


のサイトに掲載される記事は、


各国のアラベスク、そして日朝の記者達が


自分達で記事をEarth nEwsに寄稿し、


その寄稿した記事が掲載されるには


河野やその他の国や地域を管轄する、


総局長と呼ばれる役職の


決済が必要になってくる...


「(Earth nEwsは、アラベスクそして


  日朝本社肝入りの


  インターネットニュースサイトだ...


  このサイトに自分が寄稿した


  記事が掲載されれば、


  それはイコール、


  "評価"や"出世"を意味する...)」


"シャッ!


「・・・・!」


自分の席の上にバラ撒かれていた


"スペードの8"を隆和は


素早く机の上から引き抜く!


「(そしてそれは、この藻須区輪亜部新聞社...


  この、アロ・!コムソモーレツ紙においても


  同様の仕組みだ....)」


"成果至上主義"


ヨーロッパ管区総局長、河野によって


新しく紙面が刷新された


この藻須区輪亜部新聞社では、


今現在日朝の局員達が記事を手掛けている


アロ!・コムソモーレツ紙においても


Earth nEwsと同様に、各自局員達が


自分達が取材した"ネタ"を寄稿する事により、


その掲載率で社内の仕事を


評価する様になっていた...


「(・・・・!)」


"シュゥウッ!


「(ダイヤの、"9"か....)」


続け様、机の端に置かれていた


"ダイヤの9"を力任せに引き抜く!


「(基本、紙面の大部分を構成する


  主要な記事は、各局の局員達が


  編成を組んで記事を上げる様だが....)」


"フリースペース"


「(だが、この成果至上主義によって構成された


  新しい、アロ!・コムソモーレツの


  紙面サイトは局の人間が全員で


  記事を寄稿する訳じゃなく、


  この、アロ!・コムソモーレツの


  ニュースサイトの記事欄の記事の何割かを、


  社員"個人"に寄稿させる事によって、


  記事の差別化を図っている....)」


"局欄と、社員欄"


「(インターネットサイトに、この二つの


  "個人"と"会社"の記事を掲載する事で


  河野先輩や日朝本社...そして


  Earth nEwsを立ち上げている


  アラベスクは社員個人個人に


  "責任"と、"評価"を


  与えている訳だ....)」


「(―――――、)」


そして隆和がこの、Earth nEwsや


アロ!・コムソモーレツの


紙面に携わる様になってからの社員個人個人毎の


記事の掲載率は、新人社員である


礼文 健一の記事が他の社員達の


掲載率を圧倒的に上回る様になっていた...


"ガタッ!


「・・・・・」


"シャッ!"


トランプを握りしめたまま


自分の席から立ち上がると、窓の側まで歩み寄り


ブラインド越しのモスクワの街並みを見下ろす....


「(クラブの7....)」


「おい! 礼文! こっちの記事はどうだ?」


「あ~いいかも知れないですね」


「そうか!」


「(―――――...)」


衝立の裏から聞こえてくる


自分の部下たちの声を聴きながら、


"コッ コッ コッ コッ....


「(これも、クラブの7...."アタリ"か...)」


"シャッ!"


隆和は、3組目の同じペアの


カードを手にしていた...


「(・・・神経衰弱って名前


  誰が考えたんだろうな...)」

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