お前が軋む音が聞こえる

マサキチトセ

お前が軋む音が聞こえる

お前が軋む音が聞こえる。

泣くことのできないお前が、唯一悲しみを伝える手段。

いつか音を奪われても、私は耳を傾け続けるだろう。


お前が軋む音が聞こえる。

油を差してもらえないお前が、何とか生きようとする音。

陽の光がお前を包む時、私はそこにいられるだろうか。


お前が軋む音が聞こえる。

平気そうな顔をしたお前が、捻り出す作り笑い。

お前を緩ませるものが、私以外であったって構わない。


お前が軋む音が聞こえる。

思うように動けないお前が、それでも踏もうとする一歩。

踏みつけてやれ、踏み潰してやれ、お前を傷つけるものを。


お前が軋む音が聞こえる。

痛みに耐えきれなくなったお前が、立ち止まり降ろす腕。

雨上がりの街灯が、お前の代わりに泣いている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

お前が軋む音が聞こえる マサキチトセ @GimmeAQueerEye

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ