第2話 時間はウクライナの味方である
アメリカの衛星画像を取り扱う会社から、一枚の写真が公開されました。
それは、ベラルーシからキエフに進撃しているとみられる、ロシア軍の車列の写真でした。
ロシア軍の車列は報道機関の発表によると、60Kmに渡って続いているようで、これらの部隊がウクライナの首都キエフを包囲する為に、展開しているとの事でした。
これが事実であるかどうかは、私ごときには分かりませんが、一つ違和感を覚えました。
「車列が長すぎる」
一本道に大量の軍用車両が並んでいるのです。
大部隊が展開しているといえば、その通りなのですが、車間距離があまりにも短く、走行しているようには見えない。
私はロシア軍が、渋滞で動けないのではないか考えました。
大部隊が展開中と、補給部隊が渋滞で動けないとでは、意味合いが全く違います。
アメリカ政府の高官の話では、ロシア軍は補給に苦労しているようだとの声明が発表されていましたし、もしかしたらロシア軍は、兵站線が破綻しているのではないでしょうか。
渋滞のなか、ウクライナ軍に攻撃されると大損害が出るので、補給路の両側、数キロに渡ってロシア軍が展開して、補給線を防衛する警戒線を構築しているはずですから、その負担は膨大です。
ウクライナ軍も、警戒線に対してハラスメント攻撃を止めないでしょう。ロシア軍としても実際の損害よりも、損害が起きる可能性の為に、多くの戦力が警戒線に結束されるはずです。
この状況下で、果たして広範囲に部隊を展開できるのか、やや疑問に思います。
そして、断言できるのは、ロシア軍の段取りは、めっちゃ悪いことです。
流石に南下する複数の道路に展開しているとは思いますが、それにしたって渋滞しすぎでしょう。
渋滞しているという事は、前線に物資が届いていないはずです。
これでは短期的な戦果の拡大は難しいでしょう。
ここまで考えると、あと一ヵ月、いや、二週間粘れば、ウクライナに勝利の目が出てくるかもしれません。
気温が上がれば、降り積もった雪が解けます。
ウクライナでは春になり雪が融けると、一面が泥濘と化すそうです。
泥の絨毯ですな。
こうなるとロシア軍の補給は、さらに困難を極めるでしょう。
戦闘は道だけで行うものではありません。当然、泥の上でも発生するでしょう。
第二次世界大戦で、実際に発生した情景です。
拡大した戦域に、渋滞続きの車列、泥の上でもがくロシア軍。
これならば時間が稼げます。
恐らくですが、ロシア軍は長期戦をする力はないでしょう。軍事力はありますが、それを支える経済力が弱い。
燃料、食料、医薬品の全てが不足するはずです。
そうなれば、占領下の確保だけで精一杯でしょう。西側の経済制裁もじわじわ効いてきます。やがては戦略的重要地以外からは撤退するでしょうね。
国土の一部が占領されたままにはなりますが、全土が制圧されるというような、最悪の事態は免れるでしょう。
ロシア国内の変化次第では、占領地も早期に放棄するかもしれません。
春まで、雪が融けるまでが正念場だと考えます。
時間の女神はウクライナに微笑むでしょう。
「命は死を乗り越え、光りは闇を振り払うだろう。ウクライナに栄光あれ」
ウクライナ大統領。ゼレンスキー氏 2022/3/1 EU議会にて
ウクライナに栄光あれ。
終わり
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