クイックちゃうな

 モビーです。

 マスターがデリバリーバイトの登録をしてから三日後、无婆飯店の配達用ソフトオカモチバッグが送られて来ました。


 まずは出費からスタート。初期投資ってやつですね。

 さらに緑ナンバープレートへの登録変更とまだまだ準備が続きますが、この辺はマリン・ロゼちゃんペアに丁寧に教えて貰って無事終了。但しゴッドアップルリバーシティの陸運局は僻地にあるので大変でした。


 无婆飯店では配達の基本料金に加え、ビジータイムボーナス・ファーステストラップボーナス・トロフィーゲットボーナスと三つの特別報酬制度があります。

 ヘルメット内に仕込んだスピーカーとインジケーターランプがナビゲーションシステムと連動して右左折の音声指示と曲がる方向を教えてくれます。

 走る場所ステージは主に市街地。同じお客様からのリピート注文の場合、そのルート上で最速タイムを出しているデリバリーライダーの幻影ゴーストがシールド内に映し出されるので、コース選択やコーナーリングを学習できますが、無理をして転倒してしまうと損害分の実費が給料から天引きされてしまいます。シビアです。


「って感じだけど。……だいたいわかった?」大学から一番近い无婆支店の駐輪場で呼び出し待ちの間、マリンちゃんから配達とシステムの説明を受けていたマスターがこくんと頷きます。

「三割は理解した」

「少ないな」

「ブッブブブ」マスターとマリンちゃんのスマホにアプリから配達依頼を知らせる通知が入ります!

「初仕事だね。譲るよ」とマリンちゃんがマスターに手の平を向けます。マスターが通知をタップし商品を受け取って大まかな配達先を確認。横から画面を覗いていたマリンちゃんが「そこ、行ったことある。ついてきて」と言いながらヘルメットを被りました。ロゼちゃんに跨りながらキックペダルを踏み下ろします。パィーン、パパパパパ。ロゼちゃんのお尻からは二本の白煙が。

 初めの一回だけ、マリンちゃんとロゼちゃんが先行して要領を教えてくれるそうで、マスターもヘルメットを被ってキックペダルを踏み降ろします。ヴィーン、ヴィルヴィルヴィル。私も負けじとお尻から三本の白煙を出して出発です!

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