RPG
ブゥンと音を立ててマスターが振ったバットが空を切ります。
黒いスウェットパンツを履いてやはり黒いパーカーのフードを被った怪しい男が、バットを避けてバランスを崩します。
「今だモビー! 煙幕攻撃!」
「はいっ! マスター!」
振り返ってお尻を向けて三本の尻尾からブェベェーンという音と共に白煙を撒き散らします。でもこの攻撃って私がおならしたみたいなビジュアルで嫌いなんですよね……。
「げほ、げほっ」と男が咳き込みます。
「えいっ」とマスターがバットでとどめを刺しました。
本日、私たちはビル警備のバイトをしています。今ので三人目の泥棒退治。
最近の私たちは、私の
翌日、寝坊しているマスターを起こして大学に急ぎます。見た目はボロボロな私ですがエンジンや足回りなどの走りに直結する
そうは言っても
信号待ちでお隣に並んできたバイクも、綺麗な外装の……でもないですね。私ほどじゃないけどヤレ気味なバイク。无婆飯店のソフトオカモチを背負ってるからアルバイト中でしょうか? って、あれ、あれれ?
「もしかしてロゼちゃん?」最近のモト娘に明るくない私でも一目でわかる見た目と音! 同年代のY社製モト娘の
「あれ? マリンちゃん?」マスターはマスターでロゼちゃんのマスターとお知り合いみたい。あとでマスターから聞いたのですが、マリンさんは原付二種時代に良く一緒にツーリングに行かれていたお友達の一人だそうです。
「……ねむそう」おっとりとした口調で淡々と話すマリンさん。
「夜勤のビル警備のバイトであんま寝てないんだよね」
「それなら私と同じバイトにすればいい」そう言ってマスターに背中に背負った緑のロゴ入りオカモチバッグを向けるマリンさん。『无婆飯店』は電話注文のお客さんに美味しい中華料理を運ぶデリバリー専門の中華チェーン。
「その、无婆飯店って儲かる?」
「単価は低いけど、走った分走行ポイントは溜まるし、標準タイムより速く届ければその分チップが貰える。じゃ、また」信号が青に変わるやいなやバイーンと白煙を残してロケットスタートしていくロゼちゃんとマリンさん。
私たちも後ろの車にプップと軽くクラクションを鳴らされ、慌ててスタート。
もしかして次回はデリバリーバイト編?
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