ツーリング

 影布です。


 初のサーキット走行で頑張り過ぎて大転倒してしまった私。マスターが最低限走る為に必要な所だけ、貯金を崩して直してくださいました。

 ……凹んだ胸はそのままですょ。


 当分の間サーキットや峠はお預け。麗子さん蓮浦ちゃんペアと秀吉さんケセラちゃんペア、マリンちゃん美能ちゃんペアのみんなで神奈……ゴッドアップルリバーシティのツーリングスポットへ観光に行く日々です。


 四台で千鳥走行していると、後ろから反対車線にはみ出して抜いていく中型バイクがいました。

 その人は反対車線が混んでいる区間は後ろに居て、十分に空いている区間に入ってから私たち四台を一気に抜いていきました。ケセラちゃんが隊列を外れて追いかけてっちゃったけどあっという間に置いていかれてしまいました。

 私のマスターもいつかあんなモト娘さんと一緒になるのでしょうか。もし、いつかそんな日が来るのなら、どうせなら野空先輩のお姉さんや私の親戚ホンダの方々と一緒に歩んで欲しい。あっという間に離れていく中型モト娘さんたちの背中を眺めながらそんな事を考えていました。


 ツーリングから帰ったら、ご主人様がいつもよりも念入りに私を洗って呉れて。

 シャンプーの匂いに包まれて、幸せな気持ちでバイクカバーお布団をの中で眠りにつきます。

「マスター。何となくわかっちゃった。お別れの時なんですよね。私は貴方の初めてのバイクになれて幸せでしたょ」

(マスター! 今日も楽しかったね! また明日も一緒に走ろうね!)

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