Now who ya gonna call?

「しかし湿気た連中やなホンマ」

「ほんまですね! こりゃあウチらが相手するまでもありまへんね、旦那マスター

 腕組みして、ここ関東のヤビツっちゅー峠で地元の走り屋を観察してはる旦那マスター。そんで旦那マスターに倣ってウチも腕組みで関東こっちの軟弱なモトを牽制中ですわ。


 せやせや、自己紹介がまだやったね。ウチはケセラ! ケッセラッセラ~のケセラやで。

 関西はソルダーストアーハウスシティから来たモトやんね。K重工の生まれやでしかし。そんでウチの隣に立っとるんがウチの旦那マスターで秀吉はんや。裏六甲のエディーローソンっちゃあ関西で知らんもんはおらへんのやで。


「この峠で一番速いのはあいつやな」


 旦那マスターの目が光りました。その鋭い眼光の先には、布面積カウルの少ない青い服を着たモトの姿。おっ、スカートだけ黄色いコーディネートやな。全体的に緑やけどスカートだけは青をコーディネートしとるウチと同じでおしゃれさんやね。

 世の中の殆どのモトは黒スカートが多いからね。


 旦那マスターの視線に気付いたのか、モトとオーナーの女子おなごがウチらのとこにやってきよった。敵ながらえー根性しとるな。


「初めまして、こんにちは。私、麗子って言います。こっちは私の相棒の蓮浦」

 なんやのんこの子ら? ウチらにそないな挨拶は不要やで。出会って5秒でバトルレース! がこの世界の挨拶やないのん? ちぃとばかし美人やゆうても、ウチの旦那マスターがそないなハニトラに引っ掛かる訳ないで!


「ハ、ハジメマシテ。わ、ぼぼぼ、ぼく秀吉いいます。最近親の都合でこっちに越してきましてん」

 うっわーっぅ! アカン! 旦那マスターごっつデレとるやんか!

 ウチがしっかりせーへんとあかんやん。

「ウチはケセラや! 今からアンタらを負かすモトの名前や! よー憶えとき!」青いオフモト娘をビシッと指差したウチ。き、キマった〜!


「ボッボッボッ」

「やっと追いついたよ麗子」

 ん? なんや、この男は。こいつ男連れかいな。


「あれ? この人たちは? 麗子の知り合い?」

「秀吉くん。今会ったばかりだよ〜」


「ダーッ、あんたらどない呑気やねんっ! 勝負するんかせーへんのか?

 ウチと勝負するつもりがあらへんのやったらとっとと帰りぃ! どないすんねん?」

「誰? 蓮浦ちゃん」

「ケセラちゃんだって。ほらK社の」

「あー。K社の……」

「ダーぁほっ! K重工や、K・じゅ・う・こ・うっ!」

「そんでそのパセラちゃんがどうしたの?」

「アホかーいっ! パセラちゃうわ、ケセラや、ケ・セ・ラっ! ほなみんなで仲良ぉーカラオケでも行こかって、なんでやねん! んでコラボメニューもぼり過ぎなんじゃい!」

「ごめんパセラちゃん、ちょっと何言ってるかわかんない」

「だ・か・らっ!  一体誰を呼んどんねん! ケセラやケセラ! もうえーわ、あんたら二人ともいてもうたるわっ! 勝負じゃボケぇ」

「いいわよっ! じゃあ勝負の方法は私が決めるわね。勝負はゼロ100ヒャクよ!」

 あっちゃー、直線勝負かいな。やってもうた! しかも一瞬白いモトの口元がゆるみよった。挑発にのってもうたがな。せやけどこないなとろい4stモトウチ2stが負けるわけあらへんけどな。ただ旦那マスターとウチの華麗なワインディングを披露でけへんのが唯一心残りやな。


「……まぁええわい。ほなやろか」


 ウチの合図でクラウチングスタートの姿勢をとって横並びになった三にんのモトたち。勝負の行方はいかにっ、って続くんかーいっ!

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