《一葉のクローバー》少しの焦りと羞恥心

(これは不味い……恥ずかしがり屋の僕に、さらにいろんな子が集まってきたら………特に、男子校の僕からすると女子生徒が近づいてきただけで体がクラスター爆弾化してまう。どげんかせんといかん!バッグに……てパンパンだし。仕方ない、学ランの中に入ってもらうことで勘弁してもらうか……)


赤ちゃんがいる家庭はこんな感じなんだろうか、なんてくだらないことを考えつつも乗り換えの電車に乗った。すると気がついたことがいくつか。一つ、周りの人にはザシコの存在が見えてない。二つ、トンネルに入る際、ガラスに映るザシコが映らないのだ。そして、ザシコの体重は殆どなく、そこにいることが確認できる程度の重さしかないのだった。改めて振り返るとおかしな事だらけだ。まるで少し重さがある幽霊のような。


(これなら周りに怪しまれる心配はない)


そう思ったのも束の間、隣の人の髪の毛を引っ張る、メガネを外す、他人が食べようとしているおにぎりを具だけほじくり食べる、飲み物を飲み干す等見過ごせないレベルまで悪戯をしていたのだ!

居た堪れなくなって一つ前の駅で降りてしまった。というよりなんで気づかないのか!


「座敷童子なら家にいろっつーの!!」


一人ボソッと怒鳴る青年に、世間の視線は冷たかった………。

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