第155話 魔人
§ sideリヒト
“【EXスキル】憤怒を獲得しました”
世界の声が聞こえた。
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない!!!!!
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!!!!!!
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる!!!!!!!
頭の中が怒りと憎しみと殺意で埋め尽くされた。
気配を消し、音も立てずにそっと、寝かされていた寝台から起き上がり、談笑を続ける神官達の喉を貫手で潰す。
自身の身体に刻まれたのが隷属紋だと言うのなら、隷属魔法を唱えさせる訳にはいかない…
声を発することができなくなり、俺を見て恐怖の表情を浮かべている神官達の首を力任せに捩じ切った。
ブシャア!!
勢いよく噴出る血を全身に浴び、手に持った首を無造作に床に投げつける。
ペタペタペタペタペタ…
血に濡れた足跡を残しながら、石の階段を上がっていく。
どうやら、自分の処置は地下室にて行われていたらしい。
暗い階段を登っていくと、ぼんやりとランプの灯りが見える。誰かがこちらに降りてきているようだ。
ガシャァン!
血塗れの俺の姿を見て驚いたのか、ランプを落としたのは城で働いている侍女のようだった。
すれ違い様に、その首を手刀で刎ねる。
ドサリ。
相手が誰であろうが、善人だろうが悪人だろうが関係ない。
ただ、眼の前の動くものは殺す。
何の感情もなく、ただただ、怒りと殺意を撒き散らしながら俺は歩き出した。
§
この国にとっての災厄が動き出した。
侍女、従僕、料理人、兵士、衛兵、宮廷魔道士、神官…
式典に集まっていた、貴族達とその護衛…
そして、国王、王妃、王子に姫とそれらを護る近衛兵達…
身分も立場も年齢も…何もかも関係なく、その
王城の中から、生命の気配が消え、その足は城下へと向く。
城門を出たリヒトは城を見上げ、魔法を放った。
ドッカァァァァァァァン!!!!
豪華で強固な王城がたった一つの魔法で跡形もなく吹き飛んだ。
「何だ…何だ!?」
「し、城が…」
「敵襲?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「た、助けてくれぇ!!」
「嫌だ…来ないで!来ないでよ化け物!」
逃げ惑う人々を埃でも払うかのように殺していく。
7日7晩、リヒトは王都で破壊の限りを尽くした。
ひっそりと息を潜め、王都から逃げ出した人々もそれなりにはいたようだが、まずは眼の前の動くものを殺すことを優先するように身体が反応して動いていた。
そして、王都から動くものの姿が消え、目ぼしい建物は破壊され、所々に焼け焦げた跡や大小様々なクレーターがあちらこちらに見受けられ、更地となった中心で、憤怒に支配されたリヒトの生命もまた燃え尽きるように失われた。
“憤怒の効果が発動します”
“魂の変遷を確認…”
“肉体の再構築を開始します…”
…
…
…
§ sideリヒト
「うっ…ここは…?俺は何を…?」
瓦礫が散乱する更地を見渡して、自身の記憶を辿る。
ぼんやりとではあるが、自分がしたことを思い出し、
「これを…俺がやったのか…?」
全身に浴びた返り血は、すでに黒く固まり、手に残る感触と、記憶の中で、泣き叫び、逃げ惑う人々…女、子供、老人…それらを無慈悲に殺していく自分。
正常な精神なら、発狂してもおかしくないような所業を行ったにも関わらず、不思議と、後悔も罪悪感も感じなかった。
そして、先程聞こえた世界の言葉のことを考える…
「ステータスオープン」
【名前】リヒト
【種族】魔人
【LV】999
【HP】45345/45345
【SP】99999/99999
【力】8980
【知恵】9999
【体力】8450
【精神】9999
【速さ】9260
【運】99
【アクティブスキル】
聖剣技LV10(MAX)、限界突破LV10(MAX)、気配察知LV10(MAX)、絶隠密LV10(MAX)、縮地LV10(MAX)、空歩LV10(MAX)、全属性魔法LV10(MAX)、魔力操作LV10(MAX)、魔力感知LV10(MAX)、無詠唱、思考超加速LV10(MAX)、並列思考LV10(MAX)、鑑定LV10(MAX)
【
身体能力超強化LV10(MAX)、超再生LV10(MAX)、回復量増加LV10(MAX)、魔力超回復LV10(MAX)、魔力回復量増加LV10(MAX)、物理耐性、魔法耐性、精神攻撃耐性、全状態異常耐性
【
勇者の一撃、女神の寵愛、憤怒
【称号】
元勇者、魔王を滅ぼした者、女神の下僕、虐殺者、
【状態】
隷属
「ははっ…」
自身のステータスを確認すると、乾いた笑いが漏れてしまう。
「魔人…か」
すでに人族ですらなくなってしまった事実に衝撃を受けることもなく、すんなりとその境遇を受け入れる冷静な自分に驚きすら覚える。
そして、最後の…隷属の文字。
「やはり、逃れられないか…」
その時、リヒトの身体に異変が起きる。
「ぐあっ!…な、何だ…これ…は…」
突然、身体の自由がきかなくなり、その場で膝をついた。
§
「破壊の限りを尽くした非道で愚かな勇者よ…汝の罪は我ら女神教が背負いましょう。汝は今この時より、女神様の忠実なる下僕として、女神様のため、世界のためにその生命続く限り働いてください」
高らかに宣言したのは、魔王討伐パーティーの一員だった、女神官だった。
「リヘ…ル…」
リヒトの意識は深く暗い闇の中へと落ちていった。
「ふふふ…少し手違いはありましたが…当初の予定通り、良い駒が手に入りました」
勇者パーティーの一員として魔王討伐を果たし、聖女として認定された女、リヘル・ジョアンナが妖しい瞳を輝かせながらほくそ笑んだ。
――――――――――――――――
あとがき。
リヒト、すでに人間じゃなくなってました。
聖女様の名前も決定です。すぐに退場しそうですが…
不定期更新で申し訳ないですが、これからも頑張って最後まで書き切りたいと思ってますので、お待ち下さい。
次回は…
再び話は現在へ戻ります。
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