第149話 鬼神隊
「召喚!!!!!」
俺の周りに魔法陣が輝き、魔物たちが現れると同時に、
影の魔人達が攻撃を仕掛けてきた。
ドォォン!!
ズガァァァンン!!
シュバッ!!
バリバリバリ!!
ゴォォオオオオ!!!
多種多様の魔法攻撃が俺達を襲う。
「無駄だよ」
アルスがその全てを受け止める。
先制の魔法攻撃が全く効果がなくとも、影の魔人達は、動揺することもなく、今度は手に持つ武器で攻撃を仕掛けようと動く。
「実力差もわからないお馬鹿さん達なのでしょうか?」
「いえ、そもそも自我があるかもわからないわね」
「ただ目の前にいる者に襲いかかっているだけやもしれぬな」
ミラとリーナ、ジークが影の魔人達を批評している。
「大将!姐さん!ここはあっし等に任せてくだせえ!」
幹部たちが動けば、この程度の数など、ものの数分で討伐してしまうだろう未来が訪れる前に、自身の部隊を率いる魔物が名乗り出た。
赤銅色の身体に浮き上がるのは鍛え上げた筋肉。ぼさぼさの真っ赤な髪と、その額には黒光りする2本の角が生えている。
使い込まれた革鎧とその手に握る直剣から歴戦の戦士であることが伺える。
「シュラか。いいぞ。ここはお前たちに任せる」
「はっ!」
俺が許可を出すと、俺に背を向け、影の魔人達を牽制しながら、シュラと呼ばれた鬼が答えた。
「聞いたか?お前等!魔王様より許可が降りた。存分にやれぃ!」
シュラと呼ばれた鬼の側には似たような風貌の鬼が4体。それぞれ異なる武器を構えている。
「はっはっは!腕がなるぜぇ!」
巨大な戦斧を背負った鬼が肩をぐるぐると回すパフォーマンスでやる気をアピールしている。
他の鬼と比べて一回り大きな体躯で、はち切れんばかりの筋肉の鎧に、急所だけを守るような革の胸当てをしている。
身体は黄土色で、短めの茶髪、額には1本角が生えている。彼の名は、フキ。
「待ってましたぜ!お頭ぁ!」
「おい、ケンキ!お頭って呼ぶなって言ってるだろうがっ!」
ケンキと呼ばれた鬼はその手に持つ双剣の片方を肩に担ぎ、もう片方を敵に向けて、いつでも飛びかかれるように力を溜めている。
小柄で敏捷性の高そうな印象で、身体は黒に近い灰色。片目が隠れるくらいの髪は
「久方ぶりの戦闘だ。我が槍の錆にしてくれるわ!」
自身の背丈よりも長い槍を担いでいた鬼は、その槍を敵へ向けて構える。
「貴方達!逸る気持ちはわかるけど、魔王様の前で無様な姿は見せられないからね!」
薄っすらと桃色がかった肌の色に、白い長髪は腰まで伸び、額には白磁の2本角が煌めいている。
扱う武器は今は見えないが、その実力は疑うべくもない。
革鎧の上からでも、その豊満な胸がわかる、そのスタイルに目を惹かれる、鬼の中の紅一点。彼女の名はシキ。
「真央、この人?達は…?」
「ん?ああ、そういや、みんなは初めて見るか…あいつらは…ん〜…魔王軍の切り込み部隊ってところ…かな?」
俺がそんな説明をしているうちに、5体の鬼は俺達を包囲している影の魔人達の中へと切り込んで、各々の武器を振るっている。
「ミラ、頼みたいことがある」
「なんなりとお申し付けください」
俺はシュラ達に影の魔人達への攻撃を任せた裏で、ミラに頼み事をした。
シュラの振るう直剣は炎を纏い、斬撃によって斬られた影の魔人達を燃やし尽くしている。
フキはその巨大な戦斧に土属性の魔力を伝わらせ、自身の身体と共に回転しながら周囲を巻き込んで多大な被害を与えている。
ケンキが身に纏うのは、紫色の雷。反応速度が飛躍的に上がった状態で、的確に相手の首だけを刎ねながら、影の魔人達の間を縫うようにして移動している。
ソウキの槍によって突かれた影の魔人は、その一点より凍りつき、追撃をくらって粉々になり、その砕氷が光を反射し、キラキラと煌めいている。
シキは優雅に影の魔人達の群れの中を闊歩していく。
そんな彼女に襲いかかろうとする影の魔人達は、いつの間にかその身の自由を奪われ、指先ひとつ動かすことができないでいた。
よく見ると、張り巡らされた糸のようなものに影の魔人達が、捕われている。
ピィーンと、シキがその糸を弾くような動作をすると、捕われていた影の魔人達は細切れとなり霧散した。
「すごいね…」
「あいつらが、元々はゴブリンだったって言ったら信じられるか?」
「え?」
咲希は、すぐには俺の言葉の意味を理解できなかったらしく、混乱している。
ゴブリン種は様々な武器に適性を持つという特性があった。
武器マスタリーというスキルの習得にかなり有用だったわけだが、なら、ゴブリンを進化させたら、どこまで強くなるのか?というコンセプトで彼らを進化させまくったわけだ。
魔王の真・魔物作成はイメージで
例えば、ゴブリンを
そして、彼らはその最終進化に至り、現在の種族は鬼神となっている。
ただ、元々はゴブリンだったせいか、彼らは自分達が使い捨ての駒だと思っている節が強く、魔王軍の中でもトップクラスに強いのに、戦場となると率先して切り込んでいくので、いつしか、魔王軍の切り込み部隊と呼ばれるようになったんだよな。
「おにぃ?」
シュラ達の進化の過程を懐かしんで思い出していると、ボーッとしているように見えたのか、明璃が俺の顔を覗き込んでいた。
「あ、すまん。昔のこと思い出してたんだ」
「それって異世界のこと?」
「まぁな」
「戦闘中にボーッとするなんて、おにぃらしくないけど、それだけあの鬼の人達を信頼してるってことかな?」
「まぁ、それだけ余裕があったってことで勘弁してくれ。ほら。もう片付きそうだぞ?」
俺達が雑談?しているうちに、シュラ達はこのホール内にいる、ほとんどの影の魔人を倒していた。
中にはシュラ達の攻撃範囲を逃れて、こちらへと向かう個体もいたが、それはシュラ達の奮闘に触発された、ドルフ達やガルムなど、他の魔物たちによってあっさりと消滅している。
これで、このホールに残っているのは祭壇にいる大天使5体だ。
――――――――――――――――
【名前】シュラ・ゴブア
【種族】鬼神
【LV】900
【HP】41000/41000
【SP】18000/18000
【力】5500
【知恵】2300
【体力】3400
【精神】2400
【速さ】2800
【運】99
【スキル】
真武術、炎魔法、付与魔法、身体強化、限界突破、神気開放、
HP自動回復、HP回復量増加
念話、言語理解、気配察知、魔力感知、並列思考、高速思考、無詠唱、
物理攻撃耐性、魔法攻撃耐性、精神攻撃無効、全状態異常無効
【名前】ケンキ・ゴブイ
【種族】鬼神
【LV】900
【HP】41000/41000
【SP】18000/18000
【力】5200
【知恵】2200
【体力】3300
【精神】2100
【速さ】3000
【運】99
【スキル】
剣術、雷魔法、付与魔法、身体強化、限界突破、神気開放、
HP自動回復、HP回復量増加
念話、言語理解、気配察知、魔力感知、並列思考、高速思考、無詠唱、
物理攻撃耐性、魔法攻撃耐性、精神攻撃無効、全状態異常無効
【名前】ソウキ・ゴブウ
【種族】鬼神
【LV】900
【HP】41000/41000
【SP】18000/18000
【力】5100
【知恵】2000
【体力】3200
【精神】2100
【速さ】2600
【運】99
【スキル】
槍術、氷魔法、付与魔法、身体強化、限界突破、神気開放、
HP自動回復、HP回復量増加
念話、言語理解、気配察知、魔力感知、並列思考、高速思考、無詠唱、
物理攻撃耐性、魔法攻撃耐性、精神攻撃無効、全状態異常無効
【名前】シキ・ゴブエ
【種族】鬼神
【LV】900
【HP】41000/41000
【SP】18000/18000
【力】5000
【知恵】2500
【体力】3000
【精神】2400
【速さ】2300
【運】99
【スキル】
繰糸術、風魔法、付与魔法、身体強化、限界突破、神気開放、
HP自動回復、HP回復量増加
念話、言語理解、気配察知、魔力感知、並列思考、高速思考、無詠唱、
物理攻撃耐性、魔法攻撃耐性、精神攻撃無効、全状態異常無効
【名前】フキ・ゴブオ
【種族】鬼神
【LV】900
【HP】41000/41000
【SP】18000/18000
【力】5800
【知恵】1900
【体力】3200
【精神】2000
【速さ】2200
【運】99
【スキル】
斧術、土魔法、付与魔法、身体強化、限界突破、神気開放、
HP自動回復、HP回復量増加
念話、言語理解、気配察知、魔力感知、並列思考、高速思考、無詠唱、
物理攻撃耐性、魔法攻撃耐性、精神攻撃無効、全状態異常無効
――――――――――――――――
あとがき。
修羅、剣鬼、槍鬼、斧鬼、糸鬼が名前の由来です。
(ネーミングセンスの無さよ…)
色的なイメージは戦隊ヒーローな感じでしょうか。
不定期更新となってしまっていますが、最後まで書き切りたいと思ってますので、これからもよろしくお願いします。
『面白い』
『続きが読みたい』
と思っていただけたなら、
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