第102話 両親の軌跡
「二人に何が起きたのか、教えてもらえる?」
「そうだな…どこから話せばいいのか…」
父が記憶を
「父さんと母さんは、麗華さんと零士くんとパーティを組んで
「うん。それは知ってるよ」
「そうか…その時のことはよく覚えていないんだが、母さんが大きなダメージを受けて、頭の中が真っ白になってしまってな…気がついたときには、知らない部屋で空中に浮かんで自分の体を見下ろしていたんだよ」
リアルすぎる臨死体験を耳にして、思わず言葉が出なくなった…
「それはもう酷い有様だった…そして、あぁ…僕は死んだんだなって理解したんだよ」
「私も大体同じようなものだったわ。焼け焦げて炭になった自分の身体を見て、自身の死を理解したのよ」
「自分が死んだことを理解した瞬間にな、天から暖かい光が迎えに来てくれて、そのまま連れて行かれたらあの世ってところに行くのかな?なんて思ってたんだが…」
「私の場合は河の向こう岸にお花畑が見えたわ。あの河が三途の川なのかな?って思ってたのだけど…」
「その時、声が聞こえたんだ」
「初めてステータスに覚醒したときに聞いた声のようだったわ」
“獅童真央と魂の絆を結びました”
「何を今更って思ったわよ。まーくんが産まれたその時に絆なんて結んでいるに決まっているじゃない!」
「本当に真由子の言う通りだと思ったが、その時に僕たちは見たことない場所へと移動したんだ」
「真っ白の何もない部屋だったわね」
「そこで、父さんと母さんは死んでから初めてお互いを認識することになったんだ」
「それは、おそらく、魔王様の魂の中、いえ、スキルによって隔離されている空間だと思います。私達もずっとそこにいましたから」
ミラが謎の白い空間について補足説明を入れた。
「そうだったのか…その部屋にある窓からは真央たちの姿が見えるし、声も聞こえるんだが、こちらから何度呼びかけても気づいてもらえなくてな…」
「それで、お父さんと二人でまーくんたちを見守ろうって話をしたのよ」
「そんな時だ、真央が僕らを生き返らせるつもりだって言うじゃないか」
「驚いたわ。そんなことできるわけないって思ったけど、まーくんがあんまりにも自信たっぷりに言うから…」
「だから、母さんと二人で話し合ったんだ。もし、本当にそんなことが可能なら…このままここで見てるだけでいいのか?ってさ」
「でも、私達は実際見てるだけしかできなくて、なんて不甲斐ないんだろうって…悔しかったわ」
『なら、儂らが鍛えてやるぞい』
「どこからか全く知らない声が聞こえてきたんだよ」
「ほんと、驚いたわよね…でも、私達はその申し出を受けたの」
「誰かは知らないが、鍛えてくれるというならお願いします!」
『では、案内人を送るでな』
そして、父と母の目の前には背中に羽、頭の上に輪っかのある少年のような姿の人物が現れたのだという。天使ってやつかな?
「それから、今までずっと、神界で地球の神様達に気の遠くなるくらいの年月鍛えてもらっていたんだよ」
「気の遠くなる年月って…」
「その通りの意味だよ。神界では時間の流れが違うんだ」
「私達は魂だけの存在だったからね。死ぬことも老いることもなく、鍛え続けてたってわけよ」
「本来なら魂だけの存在は
父さんも母さんも自信ありげに笑っている。
「これが今の父さんのステータスだよ。ステータスオープン」
【名前】獅童 隆
【職業】神護騎士
【LV】250
【HP】5250/5250
【SP】2600/2600
【力】1360
【知恵】610
【体力】1370
【精神】1100
【速さ】760
【運】99
【スキル】
盾術、挑発、鉄壁、範囲防御結界、仁王立ち、魔力操作、身代わり、闘気開放、
神気開放、
HP自動回復
物理攻撃耐性、魔法攻撃耐性、精神攻撃耐性、全状態異常耐性
戦神の加護、鍛冶神の加護、生命神の加護
「私はのステータスはこれよ!ステータスオープン」
【名前】獅童 真由子
【職業】神炎魔導士
【LV】250
【HP】2650/2650
【SP】5200/5200
【力】357
【知恵】1370
【体力】360
【精神】1360
【速さ】1100
【運】99
【スキル】
炎魔法、精神集中、効果範囲拡大、魔力操作、無詠唱、魔力収束、魔力収束速度UP、多重魔法構築、限界突破、
並列思考、SP自動回復、
神気開放、神炎魔法
炎無効、魔法攻撃耐性、精神攻撃耐性、全状態異常耐性、
破壊神の加護、知神の加護、愛神の加護
「凄いな…」
父さん達のステータスを見て、驚いた。
「あれ?母さんって炎魔道士じゃなかった?」
そういえば、父の職業は聞いたことなかったけど、母は炎魔道士だったはずだ。この世界に転職はないって聞いてたけど…
「そうなんだ。神様達が、今のままだと
「
「父さんは守護騎士から神護騎士に」
「お母さんは炎魔導士から、神炎魔導士になったの」
父さんって元は守護騎士だったんだ…みんなを守って命を落としたって聞いてたから、防御職なのかな?とは思ってたけど…
それよりも…だ。
「ところで、父さん。この、神様の加護ってのは?」
一番気になったところを父さん達に聞いてみる。
「ああ。全ての神様というわけではないけれど、父さん達を鍛えてくれた神様が少しだけ力を貸してくれるって言ってくれてな」
「下界への干渉は禁忌だって言ってたけど、このくらいならグレーゾーンだって言ってたわね」
しかし、母さん…破壊神の加護ってヤバい奴じゃないのだろうか…?
そして、もう一つの気になったこと。
「父さん達は神気が使えるの?」
「まぁ一応ね…使えば身体へのダメージがすごいことになるだろうけど」
「やっぱり反動があるんだね…」
「敵は女神なんだろう?神様達が、仮にも神と戦うのであれば、覚えておく必要があるって言ってな…」
「そうなの。まだ十全に使いこなせるとは言えないけれど、覚えるのは苦労したのよ」
父さんと母さんが遠い目をしているように見える…
「女神のことも知ってるんだね?」
「ああ。真央が異世界に連れ去られてからのことも、こっちに戻ってきてからのことも全部神様から聞いているよ。いや、見せられたって言ったほうがいいかな?」
「いきなり、目の前に現れて、神様じゃ!なんて言われても信じられなくてね…」
「話を聞いて、真央の辿った軌跡を記憶として見せてくれたんだ」
「あの方が真央を救い出してくれたんでしょう?それで、全て信じる気になったのよ」
「そういうことだったのか…なんて言うか…黙っててごめん」
「いいのよ。まーくんは私達に余計な心配をさせたくなかったんでしょ?母親だもの。それくらいはわかってるつもりよ」
「ありがとう、母さん」
「それで、神様からの伝言があるんだ」
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