第89話 グリム
「グリム、召喚」
魔法陣から現れたのは、
「ひっ…」
「ま、真央?」
俺の配下のグリムの最大の欠点は恐怖の常時スキルが仲間にも影響を与えてしまうことなんだよな…それでも、多少はコントロールできるようになったから、普通に呼び出せるんだけど。
「グリム!二人が怖がってるだろ?少し抑えろ」
「はっ!こ、これは申し訳なく…王妃様に王妹殿下、何卒、ご容赦を」
漆黒の骸骨が五体投地で謝罪している姿はなかなかシュールだな…
「いえ…私こそ、驚いてしまってごめんなさい…あなたも真央の仲間なんでしょ?」
「
「
明璃はまだ少し怯えているようだ。
「あの世界では女神による制約のせいで、魔物以外を殺すようなことは不可能だったからな…」
「恥ずかしながら、処刑人を仰せつかりながらも、罪人として処刑したのは全て魔物でしたな…して、今回の罪人はどこにいるのですか?」
「ああ、あれだ。今レオンが抑え込んでいる。さっきも言ったが、お前の同類だそうだぞ」
「あれですか…何とも嘆かわしい」
「嘆かわしい?」
「見るからに脆そうで…その身に宿す怨念の量が足りませんな。」
「何て恐ろしい能力なの…」
咲希が死神の能力を知って怯えているが、この能力も元は俺が作り出したんだよな…
グリムのステータスはこうなっている。
【名前】グリム・デスサイズ
【種族】
【LV】850
【HP】72300/72300
【SP】17000/17000
【力】5600
【知恵】3420
【体力】7650
【精神】4260
【速さ】4500
【運】0
【スキル】
冥府の誘い、
超再生、HP自動回復、HP回復量増加
念話、言語理解、生命感知、魔力感知、高速思考、並列思考、無詠唱、
物理攻撃耐性、魔法攻撃耐性、精神攻撃無効、全状態異常無効
「さて、グリム、あの未熟な死神に、本当の死神の恐怖を教えてやってこい」
「かしこまりました」
ゆらり〜ゆらり〜と身体を揺らしながら、レオンによって抑え込まれている、敵の
「レオン殿、主の命により、
「了解シタ」
レオンが抑えていた
ズガァァァァァァン
壁に激突した
「さて、ここから先のお相手は
「クカカカカ…矮小ナ
「ほう…言葉はわかるようですね…ただ…相手の力量を見極めることもできないとは…やはり未熟」
「塵トナルガイイ!」
ガキィン
「やはり、この程度か…」
「バ、馬鹿ナ…」
自身の攻撃を受け止められたことが信じられない様子だ。
まるでそれは何かの間違いだと言わんばかりに、6腕の鎌で猛烈な連続攻撃を仕掛ける。
ガキン、ガキン、ガキィン!
だが、その全ては
「何ダ…何ナノダ…貴様ハ!」
「やれやれ…相手の強さがわからないのはまだしも、同族がどうかすらも見抜けないとは…」
「何ダト?」
「少しだけ見せてやろう…本物の恐怖を…」
ゾワゾワゾワ…と、どこからともなく漆黒の骨が出現し、グリムの腕の先に集まっていく。
振り上げた片腕は、漆黒の骨の集合体となり、巨大な腕と鎌を作り出した。
「何ダ、ソレハ…何ナノダ…ソレハァァァァ!!!」
「後学のために覚えておくといい。これが本物の
禍々しい漆黒の大鎌が振り下ろされる。
「コ…コンナモノ…」
自身の6つの腕と鎌で受け止めようとするが、漆黒の大鎌はまるで紙でも切り裂くかのように容易く、
パキィン
「ア…アガガ…ソ…ソンナ…」
魔石の消失と共に、
「今、貴様が抱いている感情が恐怖と絶望だ…」
グリムの言葉が届いたかどうかは分からなかったが、もはや原型も留めないほどに身体の崩れた
「罪人がただ罪を償うこともなく消えるなど許されるはずもないだろうに…」
消えるはずだった
「オオォォォォォォォン」
嘆き、悲しみ、恐怖、絶望、妬み、怒り、憎悪…
負の感情が混じり合い、怨念と化し、グリムの身体へと吸収された。
「未来永劫、
「うわぁ…」
明璃…言いたいことがあるのはわかるが…飲み込んどけ。
「それよりも、みんなの具合は?」
咲希が他の仲間たちの様子を心配している。
「アルスの中で保護して、
「そっか…」
しかし、グリムを見たらまた恐怖状態になってしまうかもしれないか…
「グリムよ…一度、戻ってもらうぞ」
「
「すまんな…グリム送還」
漆黒の骸骨が魔法陣へと消えた。
「レオンも、急な出撃、大義であった」
「ハッ。有リ難キオ言葉」
「レオンカイザー送還」
巨大な
…
「アルス、みんなの様子は?」
「もうすぐ目を覚ますと思うよ〜」
「そうか」
状態異常を受けて錯乱した4人はアルスの体内から出して、今は床に寝かせてある。
…
「う…うう…ん」
最初に目を覚ましたのは麗華だった。
「こ、ここは?はっ!さっきの化け物は!?」
「落ち着け。あいつなら倒したから安心しろ」
「倒した?あれを?」
しばらくして、俺の仲間たちの
「そうでしたか…御見苦しい姿をお見せしてしまって、申し訳ありませんわ」
「気にするな。あれはそういう魔物だ。俺も気づくのが遅れてしまった…すまない」
「あれは、一体何だったんですの?」
「あれは、レベル75、
「レベル75…そんな…」
「そして、レベル75以下の相手に対して、状態異常を振り撒き、即死攻撃など、厄介なスキルを持っていたよ」
「そうだったんですのね…
「ここにあんなのがいるなんて想定外だったからな、気に病むことじゃないさ」
そうな風に話をしていると、他の仲間たちも目を覚ましたようだ。
「お嬢様…私は自分が情けないです!お嬢様の盾となることもできずに取り乱すなど…」
零士は状態異常にかかってしまったことで自分が許せないようだ。
「真央…あの化け物は?」
「倒したから、安心してくれ」
「そう…」
小夜はまだ若干恐怖が抜けてない…か?
「真央さん…あの…私回復役なのに…ごめんなさい!」
「里奈、あれは仕方ない…そういうスキルを持った敵なんだ」
「それでも!…そう…ですよね。わかりました!私、もっと強くなりますね!」
やはり里奈は芯が強いな。
「みんなの無事が確認できたところで、一度、態勢を立て直そう。ここであんな敵が出てくるのは予想外だった」
「うん」「わかった」「はい」「わかりましたわ」「了解だ」「了解」
「調べたら、やっぱりここはボス部屋のようだ。なら、暫くは安全だと思うから、今のうちにステータスの確認をしておくぞ。ステータスオープン」
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