第53話 レオンカイザー
「レオンカイザー!
叫んだ俺の眼前に、巨大な魔法陣が輝く。
そして、そこから現れたのは、全長10mほどの巨人だ。
「ロボじゃん!」
レオンカイザーを見た、明璃の第一声がこれである。
「どうだ?かっこいいだろ!」
「これが、あのボスと同じ種族なの?どう見たって別物じゃん!」
「造形にはこだわったからな!」
「そういう問題じゃなーい!なんで胸にライオンの顔があるのよ!?」
「ロボなら、当たり前だろ」
「ロボって言った!今、ロボって言ったよね?」
(本当のことを言うと、魔物が無限に出てくる次元の裂け目のようなものを見つけて、1年くらい飲まず食わず、昼夜問わずでぶっ通して戦い続けた時に、変なテンションで悪ノリして作ったんだけどな…)
「お、おい、二人共…今はそんなこと言ってる場合じゃ…」
咲希が俺達の言い争いを止める。
魔法陣より呼び出された巨人が、自身の状態を確認する。
「
「よし!レオン!眼前の敵を排除しろ!」
「
俺の命令を受けたレオンカイザーが背中に背負った大剣を手にして、正眼に構える。
「
「
レオンカイザーが手に持った大剣に魔力が集中して、輝きを放ち始める。
「70…80…90…100…」
大剣の鍔の部分から、徐々に輝きが剣先へと拡がっていく。
「
眩いばかりの輝きを放つ光の剣を構えた巨人が攻撃態勢に入る。
「
背中に付いている、推進機構から、魔力の粒子が煌めきながら排出され始めた。それと同時に、10mの巨体が少しだけ浮く
未だ、敵ゴーレムはズシーン!ズシーン!と重い音を響かせながらゆっくりとこちらへ向かって歩いてくる最中だ。
「一刀両断…輝煌縦裂斬!」
輝く剣を構えたレオンカイザーは背中から魔力を噴出し、浮いた巨体が地面を滑るように、もの凄いスピードで移動する。その先にはゆっくりと歩いて近づいてくる、敵のゴーレムがいた。
ぶつかる!と思ったその瞬間に、レオンカイザーの身体は敵のゴーレムをすり抜け、敵の背後で着地し、剣を構えたまま動きを止めている。
いつの間にか居なくなった真央は、Dフォンを構えて画像を撮っていた。
「やっぱ、この
そんな、子供のようにはしゃぐ真央の姿を見つめる咲希と明璃は、呆れて物が言えないという感じの視線を向けていた。
そして、敵のオリハルコンゴーレムはというと…
剣を構えたままのレオンカイザーの背後で縦に真っ二つに割れて、硬質な体は黒い靄へとかわり、やがて消滅してしまった。
ぶつかると思った瞬間に、身体を両断され、レオンカイザーはその間を通り抜けていたようだ。
敵のオリハルコンゴーレムが消えた後に残されていたのは、やはりあの黒い魔石が1つ。相変わらず、禍々しさを感じる
「
剣から輝きが失われ、背中からの魔力の排出も止まった。そんなものは付いてはいないが、血糊を払うような仕草で大剣を振り、そのまま背中へと背負い収納する。与えられていた命令の遂行を宣言し、真央の方へと振り返った。
「よしっ!良くやった!」
「アリガタキオコトバ」
感謝を伝え、一礼する。どうやら、命令だけを聞く人形というわけでもないらしい。
「で?説明してもらえるのかしら?」
ジト目を向ける咲希。
「うんうん!何なのよ、そのロボは!?」
呆れより好奇心の方が強い明璃。
「ん?俺の作った
「ハジメマシテ。ワタシハ、レオンカイザー。
「このロボがおにぃの仲間の一人ってこと?」
「まぁ、そうなるな」
「仲間って、生物だけじゃないんだね…」
「
「それはそうだけどさ…なんか釈然としないというか…アルスちゃんみたいなのを想像してたというか…」
「我が魔王軍は多様性に富んでいるのだよ」
みんなの驚く様子を見て、思惑通りだと、ニヤリと笑った。
「この感じだと、他の仲間ってどんな人達なんだろうって、不安になるよ…」
「まぁ、そこまで心配するような異形はいないと思うぞ。レオンは元々、拠点防衛用に作ったんだしな」
「拠点防衛用?」
(正確に言うなら、次元の裂け目を監視、出現する魔物の迎撃にあたらせるために作り上げたんだが…今思うと、あの裂け目は一体何だったんだろうな…)
「見ての通り、耐久と攻撃に特化しててな、機動力はそこまで上げてないからな。ちなみに、ステータスはこんな感じだ」
【名前】レオンカイザー
【種族】オリハルコンゴーレム
【LV】800
【HP】85000/85000
【SP】0/0
【力】8800
【知恵】1050
【体力】8500
【精神】7700
【速さ】2000
【運】15
【スキル】
魔力変換、属性変化、獅子咆哮、限界突破、
念話、言語理解、魔力感知、熱源探知、並列思考、高速思考、
物理攻撃耐性、魔法攻撃耐性、精神攻撃無効、全状態異常無効、地形効果無効
「あ、そっか…パーティー組んでると仲間の魔物もステータス見れるんだっけ」
「うわ…すごっ」
「え?こんなにすごい仲間がいても、勇者はもっと強かったってこと?」
「いや…
「そ、そっか…異世界の女神ってやつがこっちに侵攻してくるっていうなら、そんな凄い勇者とかも攻めてくるのかなと思って…」
「勇者が攻めてくる?」
…
…
…
「そ、そうか!」
「どうしたのよ?急に…」
「
「それは…確かに…」
「ってことは…だ。異世界からの侵略はまだ本格的に始まってないんじゃないか?」
「原因はわからないけどな…やつらは多分、こっちの世界に肉体を持って来れないんじゃないかと思う」
「それは、どうして?」
「魔物だよ。魔物が肉体を残さずに消えてなくなるだろ?」
「そういうことか…」
「異世界からの侵攻の鍵はダンジョンにあるのは間違いないんだ。なら、今のうちにできる限りダンジョンを止めておいた方がいいと思う」
「うん!私達にできることをしっかりとやって行こう!」
「ダンジョンの真のボスを倒せば、ダンジョンは止まるし、オレの仲間も増える。一石二鳥だからな」
「なんだか、真央と仲間たちに頼りきりで、私達は真央の力になれているんだろうか…?って不安になるけど…」
「そんなことはないさ。現に、オリハルコンゴーレムを倒したことで、咲希も明璃もレベルが相当上がっているはずだぞ。見てみるといい」
その言葉に、咲希と明璃はお互いに顔を見合わせて…
「「ステータスオープン」」
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