第40話 新チーム登録
支部長からの推薦は貰えたし、低ランク冒険者の同行も問題はないということが確認できたので、次はチーム登録をするために受付へ向かうことにした。
その途中で、明璃が、聞きたいことがあるという感じで問いかけてきた。
「ねぇ、おにぃ」
「なんだ?明璃」
「どうしてパーティーでのAランクダンジョン攻略なの?おにぃとアルスちゃんなら、
その疑問に、俺は答える。
「まぁ、確かにその方が早いし、簡単だけどな…それだと、俺しかランク制限が解除されないだろ?」
「うん、そうだけど…」
「明璃はさ…父さん達の仇を討ちたくないのか?」
「…やる!」
少し迷ったようだが、その目には強い決意が現れていた。
「まぁ、父さん達は生き返らせるから、仇って言うのも、ちょっと変だけどな…父さんと母さんをあんな目に合わせた魔物には、きっちりと報いをうけさせないとなぁ!」
少しだけ獰猛な笑みが浮かんでしまったが、俺は、俺の家族を害する存在が許せそうにないのだ。
受付カウンターに着いたので、早速、新規チームの登録手続を申し込もうと思ったのだが、ふと気になったことがあり、明璃へ質問した。
「そういえば、明璃は学校でチームは組んでないのか?」
「ダンジョンに入るときにパーティーは組むけど、正式にチームは組んでないよ」
「俺達と一緒に行くと、友達とのレベル差が開いてしまうけど、いいのか?」
「…うん。それでもあたしはお父さんとお母さんの仇を討つって決めたから!」
「わかった」
明璃の決意は堅いようなので、俺達は新チームの登録の手続きを進めてもらった。
「それでは、こちらに登録するチーム名とメンバーの名前、
と、受付嬢に言われたのだが、いきなり頓挫してしまった。
「なぁ…チーム名、どうする?何も考えてなかったんだが…」
咲希と明璃に相談を持ちかけるも、
「おにぃに任せる」
「真央が決めていいぞ」
との返事をもらった。
「俺のネーミングセンスに期待するなよ…」
そう前置きをしながら、申請書に記入していく。
「あれ?そういえば、明璃の
「そうだっけ?あたしの
「それってどんな
「弓に魔法を乗せて攻撃ができるのと、探索系スキルがいくつか使えるよ」
「斥候系の後衛ってところか…俺達との相性は良さそうだな」
獅童真央、召喚士、ランクB
綾瀬咲希、武道家、ランクB
獅童明璃、魔弓術士、ランクD
必要事項を記載し、受付へ提出した。
「はい。これで受付は完了です。では、これから皆さんはチーム
「チーム
「
「俺の目的に仲間探しがあるからな。チーム名なのに俺の目的を優先しちゃったみたいで悪いけどな」
「おにぃがリーダーのチームなんだから、それでいいよ」
「わたしも、いいと思うぞ」
「ありがとな。さて、んじゃ、後はAランク試験のためのダンジョン選びだな」
今、この地域から行けるAランクダンジョンは3つだ。フィールド型、海底型、洞窟型だな。
フィールド型ダンジョンは広大な草原と森からなる1層のダンジョンだ。このダンジョンの特色は魔物が群れや集落を形成すること。大量の魔物との集団戦闘を制する力が試される。
海底ダンジョンは魔物の強さは一段劣るが、水棲型モンスターとの海中での戦闘が発生する。このダンジョンでは環境適応能力が試されるのだ。
洞窟型ダンジョンは不死系魔物の巣窟となっている。このダンジョンで試されるのは継戦能力、持久力だ。
「みんなはどこがいいと思う?」「正直、あたしはどこのダンジョンでも戦力にはならないと思うんだ…おにぃに任せるよ」
「私は水中ではうまく動けないと思う…」
なら、フィールドか洞窟か…
「よし、それじゃあ、フィールド型ダンジョンへ行こう」
「わかった」
「了解だ」
フィールド型を選んだ理由は、魔物が大量に発生するという点だ。今回はレベル上げも兼ねているからな。
「明璃は学校があるよな?長期休暇まで待つか?」
「ううん。うちの学校は冒険者養成コースだから、ダンジョンアタックだって申請を出せば最大で1ヶ月は休校できるんだよ」
「なら、今から一緒に申請出しに行くか?」
「うん。いいよ」
「咲希はどうする?」
「わたしは真央から貰った装備を確認しとくかな」
実は咲希にはアルスの次元収納に入っていた装備品を渡してあるのだ。
この世界の魔物は何故か魔石だけを残して消滅する。それはダンジョンの不思議と言われているのだが、そのため、魔物素材を使った装備品というのはほとんど存在しない。極稀に宝箱から出ることはあるらしいのだが、それも相まって希少性が高くなっている。
咲希に渡したのは飛竜装備一式で、飛竜の闘着、飛竜の爪、飛竜の靴だ。飛竜装備にはそれぞれ敏捷性UPが付与されている。全て装備すれば、今の咲希なら、およそ倍くらいの速度で動けるようになるだろう…確かに慣れるための訓練は必要だな。
尤も、咲希にはアルスの分体が着いているので、心配するようなことはないのだが。
「なら、明璃の用事が済んだら、Dフォンで連絡するよ」
「あぁ。わかった」
こうして、俺と明璃は冒険者学校へ。咲希は新装備を試すということで一旦別行動を取ることになった。
咲希と真央が別々に移動するのを影から見ている男がいた。その顔には嫌らしい笑みが浮かんでいた。
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