第18話 チーム〈賢者の秘薬〉
今日のことを、根掘り葉掘り聞かれて、咲希の羞恥心が限界を超えてぶっ倒れたところで、母上様の追求は終わった。
心なしか、肌艶が良いように感じる。
犠牲となった咲希にはすまないと謝っておこう。
それから、退院するまでの数日間で、色々と必要なものを揃えた。
マーケットと呼ばれる、冒険者御用達の巨大なショッピングモールには驚かされたが、
(普通に武器とか売ってるからな)
それよりも、高額商品を値段も見ずにポンポンと買っていく両親にビックリした。
(Aランク冒険者って儲かるんだなぁ…)
まずは、装備品から。
アーマー系はレベルが低くて、力の数値が低い場合、ただ重いだけで、動きを阻害するので、もう少し強くなってからのほうがいいと言われた。
なので、特殊繊維系の動きやすい服と、ヘルメット、グローブ、ショートブーツを購入。
武器はやっぱ剣だろ!と言ったら、剣なんて使ったことないでしょ?と即却下された。
なので、先輩の言うことに従って、軽めの槍を購入。
盾職の後ろから、ちまちま突けば安全と言われました。
そして、
初めの頃は、状態異常をしかけてくる敵のいないFランクダンジョンをメインに活動することになるだろうということで、状態異常回復薬系は今回は見送った。
それと、冒険者の必需品ということで、新しいスマホに買い替えた。
まぁ、スマホという言い方もちょっと違うのだが、冒険者専用の端末というのがある(Dungeon Phoneなので、略してDフォンと呼ばれている)
これは冒険者
最後は、ショルダーバッグ型の
はっきりいって、初心者でこんなのもってるやつはまずいない。
お値段、数百万円だもの…
サイズ的には収納容量は縦横高さが2×2×2メートルで、時間遅延等の付加価値はなし。
Fランク召喚士がこんなの持ってたら、まず難癖つけられるってほどの代物だが、その時はパパンとママンのAランクの御威光でもって黙らせるから大丈夫と言われた…怖ぇよ
一応、念のため、プラス100万円ほどで所有者登録してもらった。
俺以外は物の出し入れができなくなるってやつだ。
この時点で、自分の金銭感覚はだいぶ麻痺していたな…と思う。
それから退院までの日々は
この近辺のダンジョンの知識、ダンジョンに出現する魔物の情報、戦闘方法のおさらい、戦利品の知識、冒険者としてのマナーや常識…等
覚えることは山ほどあったが、父さんと母さんに、明璃と咲希のおかげでかなり助かった。
数日が過ぎ、父さんと母さんは例の断れない依頼というやつのため出かけていったので、残りの期間は明璃と咲希に任された。
昨日をもって、退院し、久しぶりの自宅で眠った。
そして、今日は、いよいよダンジョンデビューである。
咲希が家まで迎えに来てくれるというが、信吾のパーティーメンバーとの顔合わせとかもあるので、かなり緊張している。
ピンポ〜ン
(あれ?まだ待ち合せには時間あるけどな)
家のチャイムがなったので、冒険者としての支度をして、玄関に向かうと、もうすっかり見慣れたビキニアーマーの咲希が、待っていてくれた。
「おはよう、咲希。ずいぶん早いじゃないか。まだ時間あるよな?」
「わたしもちょっと早めに目が覚めてしまってな。まぁ、遅れるよりはいいだろ。ギルドで信吾達を待とうか」
「オーケー。今日はよろしく頼むよ」
ギルドのロビーは主に待ち合わせなどにも使われている。
「よぉ!来たな、咲希、真央」
「悪いな、今日はよろしく頼むよ」
「あぁ、まずは俺のパーティーメンバーを紹介するぜ」
「おーい、小夜、里奈、こっちにきてくれ」
信吾が二人の女性を呼び寄せた。
「あなたね?私は
明るめのパーマボブでちょっときつそうな感じの目つきが印象的な小柄な女性が名乗った。
「あ、わた…わたしは、か、
(あ、噛んだ…)
大人しそうな印象の黒髪ロングで巫女服を着た女性だ。
「あぁ、里奈はちょっと、人見知りなんだ、慣れるまではこんな感じだけど、実力は確かだから、安心してくれ」
すかさず信吾のフォローが入る。
「俺と咲希の自己紹介はいらないだろ?この4人が、チーム
「プライバシーに関わる部分でもあるから、詳しくは言えないけど、俺達はダンジョンで見つかる
なるほど…咲希が俺のために冒険者になったって話だったが、この子達も何か大切な事情があるんだろう…
「俺は獅童真央だ。登録したばかりだから、迷惑かけるかもしれないけど、よろしく頼む」
「いいのよ。それに、私達もあなたにお願いがあるの」
「俺に?」
「正確に言うと、あなたの両親に…なんだけど」
「私達にはどうしても、
「な、なので、ご…ご両親を紹介してもらえないでしょうか?」
「Aランク冒険者なら、私達の知らない情報を持ってるかもしれないから…」
「わかった。今は依頼でいないんだけど、帰ったら必ず紹介するって約束するよ」
「ありがとう」
「あ、ありがとうございましゅ…あぅ」
「よし、問題なさそうだな。なら、まずパーティー登録をするぞ。Dフォンは持ってるよな?」
「あぁ」
「そいつを冒険者
「その辺は父さん達から聞いてるから済ませてあるぞ」
「なら話は早いな。ちょっと待っててくれ」
‘チーム
「お?来た!YESを選べばいいんだよな?」
「あぁ」
‘チーム
「よし、オーケーだな」
「じゃあ、早速、ダンジョンへ行くぞ。真央は登録したばかりで、ダンジョンの進入に制限がかかるからな、これから行くのは東区にあるFランクダンジョンだ」
「了解だ」
東区のFランクダンジョンはこの冒険者ギルドから徒歩で行ける距離にある初心者の入門用ダンジョンだ。
いよいよ、初のダンジョンだ。
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