第17話 見えないスキル
「ステータスオープン」
持っていた金属のタグから、ホログラムのような画面が浮かび上がった。
【名前】獅童 真央
【職業】召喚士
【LV】1
【HP】50/50
【SP】70/70
【力】12
【知恵】10
【体力】13
【精神】1
【速さ】9
【運】99
【スキル】
魔物鑑定、契約、召喚、送還、魂の絆(封印中)
【契約中】
1/1
「おぉ〜。これが俺のステータスかぁ…」
「へぇ〜。どれどれ?」
明璃が浮かんでいるステータス画面を覗き込んでくる。
「こら!明璃、人のステータスはあんまり覗いちゃダメだぞ!」
「そうよ。冒険者としてのマナーよ」
「はーい」
父さんと母さんに
「いいよ。家族なんだし、冒険者の先輩の意見は聞きたいからね」
「おにぃの許可も出たことだし…ではでは。明璃さんが見てしんぜよう!」
「ははーーっ!」
そんなやり取りをしながら、明璃の意見を聞くと、
「うわっ!おにぃ…運がめっちゃ高い!」
「おぉ〜ほんとだ!だから事故にあっても奇跡的に助かったのかな〜?」
「いや、ほんとに運がいい人は、そもそも事故に合わないんじゃない?」
「それもそうか…」
明璃のごもっともな意見に納得させられた。
「で、精神の値が低い…と。おにぃ子供っぽいとこあるもんね…精神年齢低そうだし…」
「ぐぅ…否定できない自分がいる…」
「あとは、まぁ、概ね平均ってとこかなー?スキルも召喚士の基本スキルだけだし」
魔物鑑定は鑑定スキルの下位互換でレベルが低くても魔物の種族くらいは見えるらしい。
契約、召喚、送還はそのものズバリ、召喚士の基本スキルだな。
「この魂の絆(封印中)ってのは?」
「え?そんなスキルどこにも書いてないよ?」
「いや、ここにあるだろ?」
「お父さんとお母さんにも聞いてみなよ。そんなのないから!」
明璃にはこのスキルが見えてないらしい…
「なんだなんだ?」
「どうしたの?」
父さんと母さんが、俺達のやり取りに何か問題があったのか?と近寄ってきた。
「うん。おにぃがね、何も書いてないところに、スキルがあるって言うんだよ」
両親が顔を見合わせ、俺のステータスを確認するように覗いてくる。
「ここなんだけどさ」
と、指さして教えてみるのだが、
「何も書いてないな…」
「えぇ。でも、まーくんには見えるのよね?」
「俺の言う事、信じてくれるの?」
「息子を信じない母親がどこにいますか!」
母さんが、俺を優しく抱きしめてくる。
「人類がレベルアップしてスキルが手に入るようになって、まだ3年だからな…本人しか見えない未知のスキルなんてものがあっても不思議じゃないか。」
「でも、効果がわからないし…そもそも封印中とか書いてあるんだよね…」
「まぁ、ここで考えてもわからないことだからな…父さん達も、知り合いに聞いてみることにしよう」
「そうね。もしかしたら、世界で初めて発見された
「おにぃ〜。世界初の
「嫌だよ、そんなの…めんどくさい…」
「あぁ…あれは確かにめんどくさいよな」
と、咲希が取材を受けたことがあるかのような発言をした。
「え?咲希は取材とかされたことあるのか?」
「サキ姉はねぇ〜その時の取材で、冒険者になった理由が日本中に知れ渡っちゃったんだよねぇ」
と、明璃がニヤニヤし始めた。
「あの記者は絶対に許さん!」
(あ〜、この話題は掘り下げないほうがよさそうだな…)
「それより、おにぃ…ここの契約中ってところ…」
「もう魔物と契約したの?」
「いや、してないぞ?ってか、まだ魔物を見たことすらないんだからな」
「そうだな。今日は、私と一緒に冒険者ギルドで鑑定して、そのまま真っすぐ帰ってきたんだ。契約なんてできるわけがない」
「どういうことなんだろ?」
「もしかしたら、それが見えないスキルと何か関係があったりするのかも…」
「う〜ん…でも封印中ってなってるから、スキル自体効果が出ないと思うんだけどなぁ〜」
「わからないならさ、試してみたら?」
と、明璃が提案してくる。
「ねぇ、おにぃ、召喚してみてよ!」
「召喚ってどうやるんだ?」
「さぁ?召喚!って言えばいいとか?」
「もう!明璃ちゃん?適当なこと言わないの!」
「母さんは知ってるの?」
「知り合いに聞いた話だけどね」
「うん」
「契約中の魔物をイメージして、召喚したい!って思えばいいらしいわよ」
「え?それ無理じゃない?俺、どんな魔物と契約してるのかすらわかってないんだけど…」
「それもそうか…」
「ねぇ、おにぃ…契約1/1ってことはさ、もうこれ以上契約できないとか…?」
「え?ちょっと待て、そんな望みのないこと言わないでくれよ…ただでさえハズレ職って言われてんだから…」
「とりあえず、レベルアップしてみないことには先に進めそうもないわね…咲希ちゃん、お願いできるかしら?」
「はい!任せてください!信吾も手伝ってくれるって言ってましたし」
信吾の名前が出された時に、明璃が嫌そうな顔をした。
「信吾って、サキ姉と同じパーティーの?」
「ああ、他のメンバーにも聞いて、真央をパーティーに入れてくれるって話になったんだ」
「えぇ〜…あたし、あの人嫌い…サキ姉を見る目がいっつも、やらしいんだもん…」
「それはわたしもたまに感じるが、そう言ってやるな。あれでも仲間思いのいいリーダーなんだぞ」
「う〜…サキ姉がそう言うなら我慢するけどさぁ…」
納得いかないって顔をしてるが、その後、明璃が爆弾発言をかましてくれた…
「まぁ、やらしいって言えば、うちのおにぃもサキ姉のおっぱい揉んでたから、人のこと言えないか…」
「ちょっ!バッ!明璃!なんてこと言うんだ!」
咲希は思い出したのか、顔を真っ赤にさせて俯いてしまった。
「まーくん?その話…詳しく聞かせてもらえるのかしらぁ?」
興味津々の母上様が降臨した。
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