第15話 鑑定結果
「あれ?咲希?咲希じゃないか!」
鎧を着た男が咲希に話しかけてきた。
「今日は用事ができたからオフにするって言ってたのに、どうしたんだよ?もう用事は済んだのか?」
「あぁ…悪かったな。
なんだか歯切れの悪い言い方の咲希だったが、その原因がやってきた。
「お待たせ〜」
「って、あれ?咲希の知り合いか?」
ん?…んー?この男、どっかで会ったことがあるような…気が…
「お前…もしかして…真央か?」
「え?」
「俺だよ俺!信吾だよ。
「え!?…あぁ!信吾か!うっわぁ〜久しぶりだなぁ〜」
「それはこっちの台詞だっつーの!いつ起きたんだよ?」
「昨日だな」
「な〜んだ…そうかぁ…いや、ほんっと、良かったな〜」
「咲希の用事って、真央のことだったのか!何だよ〜言ってくれよ〜水くさいじゃねぇか〜」
「いや、すまん」
こいつは
俺は、突然の旧友との再会を喜んでいたんだが…
その時は気がつかなかった…
信吾のふとした表情に影がさしていたのを…
「で、今日は鑑定か?」
「おう。そうそう。今やって来たところだ」
「マジか!結果どうだったよ?」
「まだ見てないんだよ…」
「あ〜わかる!俺もなかなかすぐに見る勇気がなくてな〜。下手すりゃここで将来が決まるからな!」
「え!?そうなのか?」
「そりゃそうだぜ。今の世界じゃ冒険者の能力格差は絶対だからな〜」
「ハズレ職とか引いたら、人生終わりだぞ?」
「おい、やめろ!フラグ立つだろが」
信吾の忠告を冗談だと割り切って、笑い飛ばす。
「ちなみに俺は盾騎士だったぜ!」
「お〜、なんか凄そうだな!」
「パーティーん中じゃ仲間を守る盾役で、
自信ありげにドンっと胸を叩く。
「まぁ、その代わり、攻撃力はそんな高くないんだけどな〜」
あははと笑いながら、咲希の隣に立って、肩を組む。
「だから、俺達、今一緒にパーティー組んでやってんだぜ!」
咲希は少し嫌そうな、迷惑そうな顔を一瞬だけ浮かべて、信吾を振り払う。
「全く、信吾は…馴れ馴れしいんだよ。他の女の子にもそういうことしてるんだろう!」
振り払われた信吾はおどけた表情で
「してないって!俺は咲希だけさ」
なんて言っている。
うん。俺の知らないうちに、ずいぶんと仲良くやってるようだな。
そんな風に、少しだけ二人との距離を感じたのだが…
「で、どうよ?」
「え?何が?」
「いや、この流れなら鑑定の結果だろ!」
とぼけるなよ!と言いたげに信吾が笑う。
「あ〜、そうだったな…えっと…」
鑑定結果の記された金属のタグが入っている封筒から、それを取り出して、確認する。
【名前】獅童真央
【職業】召喚士
「俺の
そう言った瞬間…
「え…」
「おい…マジかよ…」
二人が信じられないものを見聞きしたような絶望的な表情を浮かべた。
「え?ちょっ…召喚士って、ダメなの?」
不安になって、つい直接的に聞いてしまった…
「いや、ダメっていうか…」
咲希は歯切れが悪いな…
「ハズレもハズレ、大ハズレ職だぞ…」
信吾は信吾で、オブラートに包むってこともしないのかい!
「で、真央はどうするの?」
「どうするって言ったって、俺が召喚士ってことは事実だしな。転職とかないんだろ?」
「転職か…聞いたことはないな…」
「なら、できるところまでやってみるさ」
「いやいやいや!無理だろ!冒険者はそんな甘い職業じゃないんだぞ!咲希も何とか言ってやれ」
「真央がやるって言うなら、あたしは全力で手伝うよ」
「おい、それは…俺達のパーティーを抜けるってことか?」
「…」
咲希は答えられずに黙り込んでしまった…
「ちっ!わかったよ…しゃあねぇなぁ…他の二人にも聞いてみなきゃならんが、しばらくうちのパーティーに入ればいい」
「いいのか?」
「お前のためじゃねぇよ!咲希を困らせたくないからな…」
そう言って、信吾は俺達の元を去っていった。
なんだか、険悪になってしまったな…
召喚士ってそんなに悪いんだろうか…これはちょっと調べてみる必要があるな。
まぁ、とりあえず…
「咲希。帰ろっか」
俺達は咲希と一緒に病室へと帰ってきた。
そこには、明璃のほかに、父さんと母さんもいた。
「みんな来てたんだ?今日は、咲希に案内してもらって、冒険者ギルドで鑑定をしてもらってきたんだ。俺の職業は召喚士だったよ」
と告げた。
三者三様の反応で、
母さんは、冒険者になることは絶対反対!って姿勢を崩さない。
父さんは、やると決めたならやりなさい。とのこと。
そして、明璃は…
「やっぱり、サキ姉に養ってもらいなよ!」だと。
隣で、ボンッという感じで顔を真っ赤にした咲希が可愛く感じられた。
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