おまけ
貴族令嬢Cはスキップしながら待機ルームに急いでいた。
やっと、悪役令嬢の取り巻き役のシーンが終わった。
「ルンルンルン~」
鼻歌交じりに階段を駆け上がっていく。
これで本当に暫く出番がないはず。
残していたカツサンドを堪能することだけを考えてやり過ごしたシーン。
心が躍るわ。
勢いよく待機ルームの扉をあければ、冷機が立ち込めていた。
「寒っ!」
制服といってもいい豪華なドレスから伸びる腕をさすりながら叫んだ。
急いで、大好きな宇宙船モードに切り替えて、座り直した。
だが、あるべき場所に目当ての物がない。
「私のカツサンドはどこ?」
辺りを見渡すと無残に床に転がるラップと自身が書いた”乙女ゲーム出没系モブ貴族令嬢の一口カツサンド”のメモ用紙が転がっていた。
プルプル震える手でそれを掴んで、グシャリと握り潰す。
貴族令嬢Cは恐ろしい形相で仁王立を決めた。
「カツサンド食べた奴!絶対許さない!」
貴族令嬢Cの怒りに満ちた叫び声が宇宙空間を激しく揺らしていた。
果たして、カレーにした奴に命はあるのか?
今のところ誰にもわからない。
ワンシーンなモブキャラの日々は食事が彩る 兎緑夕季 @tomiyuki
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