再開1

そういえばあの子。何してるんだろう。

あのとき私は人見知り。みんなに話しかけられても、どうしていいのかわからないことが多かった。でも、そのとき、私の前に女の子が現れた。

「ねえ!私とお友達にならない?」

いきなりだった。びっくりした。どうしようかと思った。

「お名前は?」

答えやすい質問だった。

相田あいだ穂乃ほの

「へー!穂乃ちゃんか!私の名前は神野かんの宮聖つきみ!ねぇねぇ!あっち行って遊ばない?」

「うん。遊ぶ。」

あのとき、始めて人についていけた。

この人はどんな宝石よりも輝かしい希望の的なんだなって。そう思った。

「ねえねえ、穂乃ちゃん?なんかあった?」

「なんでもない。ごめんね。」

「えー!なに!!教えて!」

「宮聖ちゃんは、将来の夢とかある?」

「夢かぁー、… 」

そして彼女は黙った。考えてたんだろう。そして数分後。

「私は、身の回りにはいない。いや、この世にいない特別なすっごい人になりたい!」

「そうなんだね、」

やっぱりこの子はすごいんだ。そう思った。







そして数年後。

あ、あの子、なにしてるかな…?

ふと気になった。

宮聖ちゃん……






「えっと、いきなりですが、本社では、このような事業をしておりまして、…」

初めての対談だった。相手は開発者の方だ。上司が、私がいない間に名刺交換をし、話を進めてしまったらしい。相手の名前はわからない。



「で、… どうでしょう?」

「は、はい。いいですね。よろしくおねがいします。」

言葉数が少なく、とても人見知りな相手だった。

こんな子が宮聖ちゃんみたいな子にあったら変われるんだろうな。私も実際宮聖ちゃんのおかげで変われたし。




「それでは、ここにはんこをおねがいします。」

トン。

「はい。ありがとうございました。それでは、あとはこちらでやっておくので、ありがとうございました。  あ、」

はんこには神野と書かれていた。

「えっと、どうかしました?」

「あ、すみません!私の思い出の人の名前が神野だったなと、、」

「そうなんですね、 まだ名刺渡してませんよね。」

「神野宮聖?!」

「はい、なんでしょう。」

「えっと、小さい頃に北花ほっか公園によく来てませんでした?」

「あー、行きました。」

「あの、そこで小さな女の子に話しかけませんでした?」

「よく話しかけてました。あのときは誰にでも話しかけてました。」

「それです!私はその人です!」

一人でテンションが上がってしまった。

「そうだったんですね。再開ですね。」

「はい!あ、名刺… はい!これです!」

「相田穂乃。…」

「記憶に、ないですよね…」

「はい、すみません」

どこか寂しかった。こんな何年もまえのこと覚えてるわけないのに、どこか期待をしていた。

「それでは、私、帰りますね!ありがとうございました!」

「まって!」

「え?」

「穂乃ちゃんって、お兄さんいる?」

「はい。」

「透?!」

「はい!お兄ちゃんのこと知ってるんですか?!」

「中学の時にすっごい仲良かったよ。」

「え?!そうなんですね?!」

「うん。あなたは大切にされてる人なんだよ。よく透が穂乃は、な?って話してきたんだよね。でも、全部穂乃ちゃんの自慢話。えっと、バレーボールやってた?バレーの話はたくさんされた。」

「お兄ちゃんと関係があったとは……」

「まぁ、今ではたまにあって話す程度だけどね」

「今でも仲良かったんですか?!」

「まぁ、ね。」

「まじですか…、 やっば。あ!すみません!先輩に怒られちゃう!それでは!」

私はその後すぐ帰った。

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