ミルクセーキ2

「あの、付き合うことはまだ、できないけど、友達にならない?」



「え?!いいんですか?!ありがとうございます!あの、名前言ってませんでしたね、俺海原かいはら恵玉けいたです。」

「私は拝野はいやまひです。」

「舞さん!よろしくおねがいします!」

「よろしくです。、」

「あの、突然ですけど、近いうちに遊びに行きません?」

「いいですよ」

「いいんですか!ありがとうございます! あの、映画とかどうでしょう!好きなもの、ありますか?」

「えっと、あの、これ好きで…」

私は誰にも見せたことのないオタク趣味を見せた。

私はアニメが好きだ。

周りも、親も、アニメがいいものだと思ってる人がいなかった。

「あ!これ!有名なやつですね?!好きなんですか?」

「はい。、」

「じゃあ見に行きましょう!」

「え…いいんですか?、」

「はい!」

「優しいんですね。」

心の底からすべてがしみた気がした。

こんな人っていたんだ、…

人の趣味をちゃんと認識してくれる人。そう思った。






そして、約束の当日。

映画を見終わった。

「うわー!めっちゃよかったー!」

私はとても面白くて楽しかった。隣を見ると海原さんが泣いていた。

「え?!あの、もしかしてあのシーンから?…」

「はい。…あれからです…」

海原さんは純粋。そういう印象ができた。



「いやー!ほんとよかったねー!」

映画がとても良かった。こんなことを言える人ができてとても嬉しかった。

「なんか、もう。感動ですよ、」

私はなにか物足りなく感じてしまった。

「あの、どうしました?」

「いや、こういうときって私よく父とあのお店でミルクセーキ飲んでたなって」



「あの、俺の父は、昔のあの店の店長です。」

「え?!まじ?!」

「はい。ミルクセーキはほんとに頑張ってた覚えがありますね。」

「そうなのー?!いいなー!」

「俺、教わってたんで作れますよ。」

「え?!」

驚きが続いた。

「つくりましょうか?」

「いいの!やったー!」

「じゃあうち来てください。」

そして海原さんの家へいった。

「おじゃましま~す。きれいだなー。」

「そうですか?」

「うん、なんかすごい整理整頓されてる!私整理整頓できないからさ、」

「そうなんですか、じゃあ俺作ってくるんで、そこ座っててください。」

「はーい!」




「おぉー!!」

そこには久しぶりに見たミルクセーキがあった。

「いただきまーす!」

味はあのまんまだった。小さい頃にお父さんと飲んだあの甘い味だった。



「あの、大丈夫ですか?」

「え?、」

「泣いてますよ?」

「え?」

意識などしていなかった。気がつくと泣いていた。

「私さ、あの店長さんが変わってからお父さん死んじゃってたさ、もうあれは思い出せてなかったんだよね。、ありがとう。」

「喜んでもらえて良かったです。」

「あのさ、」

「はい。これからは付き合う前提で友達やっていかない?」

「え?、えーーーーー!!!!」


幸せの甘い味が続いていた。

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