ミルクセーキ1
コツコツコツコツ。
静かなカフェには私の靴の音が響いた。
私は毎日ここのカフェに行って、課題をこなしている。カウンター席の1番端の右。ここが私の席だ。何なら定員さんも知ってるくらい。するととある日から私の席に座る人が現れた。
(私の席。…)
どこか嫌だった。そして私は隣りに座った。何日も、何日も。その人がいるときは隣りに座った。
そしてとある日。
(そろそろ帰ろ、)
コツコツコツコツ。いつも通りの音が響いた。
ダダダダダダダ!
後ろから小走りのような音が聞こえた。
するとそこにいたのはいつも隣りにいる人だった。
「あの、好きです!付き合ってください!」
(え?!いきなり過ぎない?!知らないよ、この人のこと!)
「え、えっと、…あの、とりあえず、話しましょう。」
「だめでしたか、」
「?」
「いつも隣座ってくれるので、… 俺、こんなこと初めてで、勘違いでしたね。すみません。恥ずかしい。」
「ふふっ、そうだったんですね。あなたが来るまであの席は私がいつも座ってたんですよね。」
「そ、そうだったんですね?!それはすみませんでした。」
「いえいえ、」
その時この人にはあの席を譲っていいと思えた。
「お父さん!」
「おぉ!あそこ、行くか?」
「うん!」
「ここのミルクセーキが好きだったな、」
「?」
「実はここ、店長が変わってからミルクセーキの味変わっちゃって、」
「そうなんですね。」
「あれ、飲みたかったな。…」
「……そこの近くに小さい男の子と中学生くらいの女の子いませんでした?」
私は記憶をたどった。
「いたいた!優しいお姉さんだったな。」
「え?」
「私はお姉さんって呼んでた。」
「そうなんですね。それ、俺の姉だと思います。」
「え?」
「姉ちゃんはかわいい女の子といつも話していました。俺はその隣で姉ちゃんの近くにずっといました。人見知りの男の子でした。」
「え、じゃあやっぱりお姉さんは、あなたの?…」
「だと思います。」
「あの、付き合うことはまだ、できないけど、友達にならない?」
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