第14話
ボクは高校一年生になっていた。
時おり殺されかけることもあったけれど、幼いころよりは対処できるようになっていた。しかも、徐々にα-イブの能力を覚醒しつつあるのか、人と乖離をはじめているようにも感じた。
すべてを知る……という、その能力だ。
ただし、あくまでその一部、全能というのもおこがましい。しかし『知る』ということが権能なら、ボクを殺そうとするその相手や、手段についてもつかめるようになってきた、ということだ。
ただ、何者にしろボクを狙って、殺しにくる相手がいる。そしてそれは、全能を謳われたα-イブの子孫の可能性が高い。
つまり、ボクが予見し、回避する力をもつと知ったら、それを上回る対処をしてくる可能性もあった。あくまで、ボクは一般人。α-イブと近似するDNAをもつだけの無能、を演じておくのがいい。
大人になりつつあるボクは、そういう演技もできるようになっていた。
ボクは「子づくり」という、アデラの命を忠実に実行していた。それはエッチの上手い同級生、という評判もあって、簡単だった。ただ、それが恋愛か? というと、ちがうことも気づく。ボクはただマシーンとなって、したいという女の子の相手をするだけだ。
それは、あのときから変わった意識でもある。ダヴィたちに、入れ替わり立ち替わり、エッチを強要されたとき。話を聞く代償として、体を預けたときだ。
あのときから、心を失くした。感度を失くした……といってもいい。あれ以来、誰とやっても心から気持ちいい、と感じたことがない。
体は反応するし、もう子づくりできるように発射もするようになった。
でも、心が満たされなくなった。むしろ、それと反比例するようにボクのα-イブの能力が覚醒しはじめた、といっていい。
「あッ♥」
イッたとき、首を後ろに傾ける癖は相変わらず……。ここは高校の女子トイレ。ボクは根津 美夢と立ったままいたしていた。
「あ~ッ! また中に出した!」
美夢は自分の中に入ってきたものに気づき、ぷ~っと頬を膨らます。
「今日は大丈夫って言っただろ?」
「大丈夫だけど……。溢れてくるのを止めるために、生理用品をつかわないといけないんだから……。最近、お母さんに使用量が多いねって、言われたばかりなんだよ」
「じゃ、一回じゃあ勿体ないから、もっともっとしようか?」
「あぁん♥」
初めてしまえば、甘えた声をだしてくる。
美夢とは、同じ高校に通っている。ランクからみれば、ボクはもっと上を狙えたけれど、「美夢と一緒のところ」といったのが、彼女にとって嬉しかったのか、それからまた仲が深まった。
中学のときも、時おりエッチはしていたけれど、高校生になったらかなりの頻度でやっている。
それでも付き合ってはいない。ボクと一緒の時、彼女も命を狙われており、そのトラウマは消えていない。それにボクも、何者かが命を狙う以上、恋人などをつくると危険であることも理解していた。
立ちだけれど、正面を向いてするのが、彼女は好きだ。かなり体勢的には難しいけれど、お互いに顔がみえ、また少し上に乗る形になる彼女と、ちょうどキスできる点もいい。小さいころはまったくなかった胸も、今では両手でつかむと余るほどとなった。彼女はボクの首にまわした腕で、ぐっと顔を寄せてきた。またイキそうなのだ。誰かが入ってきたら困るので、ボクらは唇を重ねる。声をださないよう、ふたたび同時にイッた。
家では「お風呂に入りましょ♥」と、姉から誘われる。ボクたち姉弟は今でも一緒にお風呂に入っていた。昔は背中の流しっこをしていたけれど、今は……。
お湯もはっていない湯船の中に立って、ボクは姉の後ろから責める。それほど広くないお風呂の中で、姉は大きな声をだしてボクを受け入れる。ボクらが大きくなり、父親は長期の出張に行っている。二人きりの家だけれど、未だにエッチをするのがお風呂場なのは、それがボクらのルールだから。
最初がここだったように、お風呂場はボクらにとって、自分をだせる場所になっているのだ。
いつの間にか、姉の背も越した。大学二年生だけれど、彼氏もつくらず、ボクのお世話をしてくれている。お昼のお弁当だったり、夕飯の支度もほとんどが姉だ。
だからボクは、昔からしてきたように姉が喜ぶことをしてあげる。姉は唯一の家族として、ボクとつながっていたい。
依存――。そう考えたこともあるけれど、大人になれば自然と離れていく。そう思って、今はこのままの関係をつづける。
ボクは背中から手をまわして、姉の胸を揉む。弾力があって、身長に比してやや小さめだけれど、それもボクにとっては好ましい。小さいころから、ずっと触ってきたそれだからだ。
「もう……。私は何度もイッているのに、そらは全然イッてくれない!」
姉は怒ったようにふり返る。それは昼間、美夢と何度もやってきたのだから、そうそうイクことはない。
むしろ、今日は姉が求めてきそうだ……と思ったら、先に他の女の子と関係することで、姉の中にださないようにしていた。姉はボクとの子をつくりたい、と考えているらしい。でも、ボクらは姉弟――。
いくらボクがヒューメイリアンで、姉との血縁が疑われるといっても、姉弟で結婚できない現状で、姉を未婚の母にするわけにはいかない。
「ほら、今度はこっち」
バスタブからでると、姉を椅子にすわらせ、ボクは正面からいく。昔は膝立ちをすると、ちょうどよかった高さだけれど、今では姉が壁に背中をあずけ、ボクが前かがみになって挿入する。
それがボクらの繋がり……だから。
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