第27話

「なんだ、答えるんかい(笑)」

「そうだろうね~。お金のために我慢しなきゃいけない私たちの世界より自由なんだと思う」

 

 

心はうらやましそうにつぶやいた。

 

 

優希は心と稔の会話を聞きながら稔に聞いてみたいことを見つけた。

そして

稔に聞いてみた。

 

 

「ねえ稔君。稔君の夢って何?」

「夢ですか~?いま思っていることはね。社会の役に立つものを何か発明したいってことです」

「なんだかすごい話だね」

「すごくないですよ。アイデアを出すことが好きなんです。学校の授業でもアイデアを出し合う授業があってみんなと話し合うのも好きです」

「へ~僕たちはお金をたくさん稼いで大きな家に住んだり高級車に乗ることが夢にしている友達が多いよ」

 

 

「やっぱりお金をたくさん稼ぐことなんですね」

「お金持ちになることが成功者だと言ってるよ」

「へ~、お金持ちにならないと成功者になれないの?尊敬される人だけじゃないんだね」

「夢や目標を持って実現することが成功だって」

「それは僕たちは達成者たと聞いたよ」

「なるほどね~表現のし方がちがうんだ~」

 

 

優希はお金の要る世界とお金のない世界の違いは何度も聞いて理解したつもりだったが生き方まで違うとは想像できなかった。

 

 

「稔君の世界では人生が楽しくなる気がするね」

「うん。おもちゃのお金で遊ぶ人生ゲームをやってみて思ったんだけどね、お金がないと出来ないなんて大変だな~って思ったよ」

「そうだよな~。お金を稼ぐことで精一杯だよ」

「なんだか中年のおっさんが愚痴を言ってるみたいだな~(笑)」

 

 

健司が話の途中で口を挟んだ。

稔の世界の話はみんなが興味を持ったがこれ以上稔を預かっていては親御さんが心配するであろうと健司はこれで終わりにしようと思った。



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