第15話
「はい。街灯とか害獣を寄せ付けない照明の電気とか田んぼに水を汲み上げるポンプとかにね」
「やっぱり電気って自然の恵みなんだな~」
「お金の要る世界って不自由なんですね」
健司は稔にそう言われると自由って何だ?
と思った。
お金のない世界が自由なのか?
お金の要る世界が自由なのか?
健司はもう少し深く考えてみた。
「なあ稔君、稔君がこの世界を見て何を感じる?」
「何を感じるって?」
「僕たちはお金のお陰で便利になったと思っていたんだけどね、稔君の世界の話を聞いているとなんだか不自由を感じるんだよ」
「そうですね。僕もそう思います」
健司はお金のお陰で交換システムを便利にしたことは人類の叡智だと信じていた。
稔は思い付いたように健司に聞いてみた。
「さっき物々交換が便利になったって言ってましたよね。お金のお陰でって」
「そうだよ。あ~そうか」
健司は何かに気付いた。
「稔君の世界では交換システムはないんだ」
「僕もそう思いました(笑)」
健司はパソコンのスイッチを入れた。
インターネットで何かを調べようと。
「何か調べるんですか?」
「うん。お金の役割を調べて見るんだよ」
「お金の役割って知っているんじゃないですか?」
「まだわからないことがあるんじゃないかってね」
「簡単なことじゃないんですね」
「ハハハハ・・・お!これはどうだ?」
「何かわかりましたか?」
「経済学者がこんなことを書いてるよ」
「どんなことですか?」
「お金は自由を得るための道具であるって」
「お金がないと自由になれないってことですか?」
「そういうことらしい(笑)」
現実としてお金がないと何も得ることが出来ない。
交換システムだからである。
稔は交換システムの必要性を健司に聞いてみた。
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