第16話

「どうして交換システムがあるんですか?」

「そうだよな~。交換システムは昔からあったからね。それが当たり前だと思っていたから疑問にも思わなかったな~(笑)」

「僕たちが習った経済とは違うんですね」

「そうだね。経済活動ってお金の流通がメインだからお金のない経済活動って考えられないね」

「だからお金がないと何も出来ないんですね?」

「そうだよな~やっぱり不便だよな~」

「お金を持っている人だけが自由って感じ?」

「そう思いたくないけどそうかもしれないね」

 

 

稔は自分なりにお金の要る社会を考えてみた。

この社会では分かち合いは簡単ではないこと。

健司にはその思いを伝えなかった。

 

 

健司は入院中の父親のことが気になった。

 

 

「停電だと入院してる親父は大丈夫かな?」

「そうね、病院は停電に対応出来るだろうけど」

「長時間停電だと困るんじゃないかな?」

「チョット行ってみようか」

「そのほうが良いんじゃないの?」

 

 

稔は深刻に話し合っている健司夫婦の会話が気になって健司に聞いてみた。

 

 

「健司さんのお父さんはどんな病気なんですか?」

「糖尿病と肝臓を患っているんだよ」

「重い病気なんですか?」

「いや。来週退院するから大丈夫だよ」

「僕も付いて行って良いですか?」

「良いけど、病院だよ」

「はい、いろんな所を見てみたいんです」

「わかった。じゃあ一緒に行こうか」

「はい」

 

 

道路は除雪したので通れるようになっていた。

病院へ向かう途中、健司はお金のない世界の病院について聞いたみた。

 

 

「稔君の世界では治療費も入院費も要らないから患者さんは多いんだろうね?」

「いえ、少ないですよ」

「え~、どうして?」

「病気にならないように気を付けているんです」

「どうやって?」


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