第8話
「僕たちは携帯電話しか持っていないよ」
「そっか~まだなんだね」
「じゃあ家の中にいるより外のほうが楽しいね」
「うん。そうだよ」
「じゃあ遠くまで冒険できるね?」
「夏休みなんか友だちと一緒に旅に出るの」
「いいな~」
「途中で『乗せてやろう』ってタクシーの運転手さんが言ってくれたり、『何か食べて行きなさい』って知らないおばちゃんに言われたりね」
「いいな~」
それを聞いた優希は一つの疑問を見つけて聞いた。
「誘拐とか犯罪は心配ないの?」
「誘拐ってな~に?」
「子どもをさらって行くの」
「何のために誘拐するの?」
「身代金目当てで・・・あ!そうか」
お金のない世界であることに気が付いた優希は身代金という言葉は存在しないと思った。
優希はますますお金のない世界に興味を持った。
優希は稔に学校について質問してみた。
「稔君の学校は楽しいの?」
「うん。楽しいよ」
「僕は行きたくない時もあるんだよ」
「どうして行きたくないの?」
「勉強についていけなかったり・・・」
「それと?」
「仲間はずれにあったりね」
「そうなの?」
「だからね、学校が楽しいってすごいなって」
「僕たちの学校はみんなが教え合うんだよ」
「先生が教えるんじゃないの?」
「先生だけではみんなに教えられないでしょ?」
「そう言われればそうだけど」
「だからね、わかった人がわからない人に教えるの。時々上級生と一緒に勉強することもあるよ」
「上級生と下級生が同じ教室で?」
「そうだよ。上級生は教えることを学ぶんです」
「そっか~。本当に理解しないと教えることが出来ないんだね。伝えることも学べるんだね」
「だから勉強するのが楽しくなるんだよ」
「それならいじめも無いんじゃないかな?」
「いじめって?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます