第7話
何度も怪我や病気をしている所に入ったものだから、ついに手持ちのお金が無くなってしまった。
「お金が無くなったけどゲームセットなの?」
「そうじゃないよ。借金をするんだよ」
「借金って?」
「銀行からお金を借りて、あとから利息と一緒にお金を返すんだよ」
「借金しないとゲームが出来ないの?」
「それが人生ゲームなんだよ」
「生きることと遊びと同じなんだね」
「お金がないと生きていけない社会だからね」
「なんだかお金の要る世界って辛そう」
稔はお金のない世界のほうが楽しく生きていけると真剣に思った。
優希は稔に聞いたみたくなった。
「稔君はどんな遊びをしてるの?」
「もちろん人生ゲームはないよ。外遊びが多いよ」
「外で何して遊ぶの?」
「冒険旅行かな?」
「冒険旅行?」
あまりにも思いがけない答えが返って来たので、優希はますます聞いてみたくなった。
「街の中でも冒険できるの?」
「うん。できるよ」
「どんな冒険するの?」
「学校で習った仕事の種類を見て回ったり、大人がどんな所で遊んでいるのか見るの」
「入ってはいけない所もあるんだろ?」
「もちろんそういう所へは行かないよ」
「今までどんな所がおもしろかったの?」
「楽器を作る所とかおもちゃの工場とかね」
「いいな~、僕も行ってみたいな~」
「この世界も行けるんじゃないの?」
「そんなこと考えたことないんだけど(笑)」
「冒険するのが楽しいのは自由に行けるからね」
「そっか~、お金がなくても良いからね」
「バスも電車もレストランもホテルも空いていればいつでも自由に使えるから大丈夫だよ」
「それって、親が心配しないの?」
「だからこのスマホを持っているんだよ」
「何それ?」
「携帯電話だけど位置情報がわかるんだよ」
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