第4話

「稔君の世界では生ゴミはどうしてるの?」

「学校で習ったんだけどね、ファームシティって言っていました」

「ファームって農場とか農園とか言うんだろ?」

「はい、レストランや家庭の生ゴミはすべて農家に送って肥料にして野菜を作っているんです」

「なるほど。循環システムってやつだね」

「生産された野菜はレストランやスーパーへ送るんです」

 

 

「料理の種類は多いのかな?」

「はい。少ないです」

「それじゃあ寂しいじゃないか?」

「いえ、レストランは毎日人がいっぱいですよ」

「どうして?タダだから?(笑)」

「そうじゃなくて、料理教室があるんです」

「レストランで料理教室やるの?」

「はい」

 

 

店長はお金を稼ぐために美味しい料理を作る。

自分の技をわざわざお客さんに教えるなんて。

思い付かなかったのです。

 

 

「どのような方法でやってるの?」

「家庭菜園で作った人は、自分の野菜を持って行き、それを使った料理を教えてもらうんです」

「野菜を持って行かない人はどうするの?」

「お店で余った材料を使って料理をするんです」

「なるほど、それなら無駄なく使えるね(笑)」

 

 

店長はレストランの仕組みの違いに驚いていた。

そして

次のような質問をしてみた。

 

 

「さっき稔君が来たように子供だけで来るの?」

「はい、お腹が空いたらレストランに行きます」

「家ではお母さんが作らないの?」

「料理の苦手なお母さんもいますからね(笑)」

「そっか~。それじゃあお母さん達も楽だね」

「ストレスが無いって言ってましたよ」

「稔君のお母さんも?」

「はい!(笑)」

 

 

店長の質問が続いたあと稔が質問をしてみた。

生い茂る山の坂道を下りながら林の中を指差して

 

 

「何かあるみたいだけあれは何ですか?」


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