第3話

「ところで君はどこに帰るの?」

「あの~帰る所が無いんです」

「それじゃあ困るだろう?」

「本当は帰れるんですけど」

「じゃあ帰れば良いじゃないか」

「お父さんがしばらく体験してみなさいって」

「なんだか無責任なお父さんだな~(笑)」

「何でも体験しろって言われるんです(笑)」

 

 

そこへ店長がカレーを持って来てくれた。

「さ~、君だけに作ったカレーだから美味いぞ」

「ありがとうございます。頂きます」

稔は空いたお腹を満たすために食べ始めた。

「美味しい~♪」

「そうだろう?」

 

 

店長は稔の行儀の良さに興味を持った。

お金のない世界ではどんな教育を受けたんだろう?

レストランの経営はどんな仕組みなんだろう?

いろいろ聞いてみたくなった。

 

 

「なあ、稔君。しばらくうちに来ないか?」

「うちって?」

「僕の家にも君のような男の子がいるんだ」

「何年生?」

「中学一年生なんだけどね」

「僕より一つ上なんですね」

「違う世界の話も聞きたいし。どうだろう?」

「はい。よろこんでお邪魔します」

「よしわかった。今日はこれで店を閉めよう」

 

 

入山禁止の山から三人は山から下りることにした。

山から下りる道中、店長はどうしても聞いてみたいことを稔に質問してみた。

 

 

「レストランはどんな経営をしているの?」

「経営って何ですか?」

「そうか、お金が無いのなら経営は無いな(笑)」

「でも、レストランはいっぱいありますよ」

「レストランではどんな食事を出しているの?」

「店長さんの所と同じですよ。でも臭くないです」

「え?臭くないって?」

「レストランに入る前に臭かったです」

「あ~あれは厨房の裏にある生ゴミが原因だね」

「どうして生ゴミがあるんですか?」

「あれはゴミとして定期的に業者に出すんだよ」

 

 

店長は生ゴミは業者に処分をしてもらっていた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る