第4話

先輩の試合を何度か映像で見たことがある。

わが校では体育の選択科目で剣道や薙刀などの古武術をを選択できる。もちろん座学もあるのだ。

「イヤですよ」

勧誘を反射的に断った。

「だって先輩、時代劇で見た剣豪みたいな立ち回りで、試合中はすごい怖いですもん 対戦相手の人試合の後半は戦意喪失してましたよ」

「お~、授業で試合のdvd 見たか?あの学校の剣道部な~部員全員同じ名字なんだよ兄弟とかじゃないみたいだけど、向こうの顧問の方針らしいんだ」

さも当然と語る先輩

「何か闇が深そうなんでこれ以上踏み込むのはやめておきます」

「そうか、しかし残念だな、お前のその僕っ子属性、叩き直してやろうと思ったのに、なあ?」

「これは親が本当は男の子が欲しかったみたいで、

小さい頃は男の子みたいに扱われてその時の癖が抜けないんです。先輩こそ口調が男みたいじゃないですか」

「ちなみに漢字で書くと男と漢どっちだ?」

「また活字じゃないと伝わらないボケをかましますね」

そんな風にとりとめのない雑談をしながら駅前に向かって歩いていると突然先輩が

「今日は何だか機嫌がいいから何か奢ってやる」

ということで急遽駅前のムギダコーヒーに進路を変更した。

事件はそこで起きた。

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