2022年3月15日 月に一度、仕事の日-残り364日-

午後12:30。

私は布団の中で芋虫のように転がっていた。


14:00には客先に着いていなくてはならない。

12:30は起きるタイムリミットだった。


起きたくない。

起きたくない。


月に一度の、貴重な収入を得る機会なのに、私はまるで駄々っ子のように布団の中でのたうちまわる。


辛い。苦しい。起きたくない。永遠に寝ていたい。


「くぅん」


何かを察したかのように、リビングにいたはずの、犬のマロンが寝室に入ってくる。

そして、鼻先で私の頬を押した。

お姉ちゃん、起きなきゃだめだよ、とでも言うように。


「……そうだね」


私はのろのろと立ち上がる。

時刻は12時35分。化粧を簡素なものにすれば、まだ何とか間に合う時間だ。


重たい体を引きずるようにして、洗面所に向かった。

昨日、期限付きの命、と決めたはずなのに、ちっとも動かない心と体に無理やり喝をいれるように冷たい水で顔をざぶざぶ洗った。


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「さて」


午後18時過ぎ。仕事を終えて帰宅した私は一冊のノートに向き合った。


そこには今年一年やり遂げたいことをリストにしてあった。


1.福倉真世名義のKindle本を出版する。(コロナに罹患した体験談に資料等も併せて出版する)

2.シブでサンプルをあげているDear.Usを出版する

3.福井真世名義のKindle本を福倉真世名義に修正する。

4.部屋を掃除し、断捨離と荷物整理をする。遺書を書く。


ちなみに、1を成すためには、部屋を掃除し、部屋の中のどこかにある資料に併せて、私のPCのクラウド上に眠っている資料を探し出して整理整頓する必要がある。

(つまり4を同時並行して行わなくてはならない)


2と3には校正作業と、前書き、あとがきを執筆する必要も出てくるだろう。


と、いうように、やり遂げたいことそれぞれに絡みついてくるタスクを書き上げていく。


自分がやるべきこと、やっていかなくてはならないことを可視化していかなくては。


それと合わせて、今、私が抱えている一番大きな問題

――朝、起きることが出来ない。ということに対する対処を考えていく。


……うまくいくかどうか、わからないけれど。


私はItunesストアである曲を買った。


最近、いつも自分を奮い立たせるために聞いている応援歌のような曲。

それを朝のアラームに設定する。


明日の朝起きたときの自分が 曲を聞いて そうだ、私にはやらなければいけないことがあるんだ、と思ってくれますように、どうか起きてくれ、と祈りながら。


――あと、364日。

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